プロローグ〜電話一本即刻参上〜
「何処かいい所はありませんか?」
頂いた電話の奥で、S氏が楽しそうに質問して来た。
「昨年は中通りや会津の方でしたから、今度は浜通りの方の山はどうですか?」
「いーですね〜」。
 時間と場所を決めた所で数日が過ぎ、HP上からは特に申し込みも無く、当日はS氏と彼の友人と言うH氏が同行と言う連絡が来ていた。
 そして当日、ピーカンに晴れた日曜の朝、MRが集合場所に着く頃には二人は既にヘルメットを脱いでいた。



まいどどうも。今日もお手柔らかに、良い走りを。

PhotoAlbum


あああ、治った!


ステッカーチューンだ!
しかもハイチューン(爆!

「おはようございます」
「あ、オハヨっス!」
相変わらず元気な所が嬉しい。
「おお、New KLX250!(エボニー)
なんで川重はブラックじゃなくてエボニーなんだろうねぇ、なんてしばし新車の話題で盛り上がる。
そんな3人の背後からMRだけに聞き慣れた声が!
「どうも〜Lすずきです〜!」
「オオ!お早うございます」
きょとんとするS氏らにLすずきさんを紹介する。
「ランクル治ってる〜」
「こーはくさんの代理ですか?」
「ハハ・・・はい、差し入れです。
「ゴチになります」
「ファイト、いっぱ〜ッ!!」
 
水分を補給し、Lすずきに見送られて3人は川俣を後に、一路114号線を原釜トンネルに向かって出発した。



盛り上がる本日のお二人とその愛機。


福島県阿武隈山系
縦走路補完計画
Repo MR
Photo : MR
2010.5.5
北部ルート/R114〜R115編



かつての波江高校津島分校前には見事な桜が、・・・
春だね。


●縦走
 今回のルートは昨年秋に企画するものの、参加者の都合が合わずに御和讃となったものである。
 それは、
『福島県阿武隈山系縦走路補完計画』 にある「北部ルート」を走る企画である。
 現実的には国道114号線から115号線までの区間を林道を主軸に縦走するのだ。

 このルートの中には現時点で未確認の部分や営林署によって管理封鎖される部分も在るので、通過が困難を極めそうな部分は今回のルーティングからは除外した。
 南からルート順番に書き出すと、国道114号線の原波トンネル東側にある、
1)昼曽根小畑林道
林道日記62
2)鉄山林道小畑支線(仮)
(廃道状態)
3)鉄山林道第三支線
林道日記34
4)北海道沢作業道及び支線
林道日記34 
5)明治林道第二支線>
林道日記35
6)馬場林道(明治林道起点〜舘岩木戸)林道日記44
7)県道62号線(舘岩村木戸〜助常区間)
林道日記33
8)助常林道(電力管理林道を含む)
林道日記6/32
9)冬住林道(境沢林道(仮)を含む)
林道日記5
10)旧県道12号線八木沢峠廃道日記17(廃道)
11)不動沢林道
林道日記56
12)栃窪橲原林道
林道日記57(廃道状態)
13)落葉松林道
林道日記58
14)小山田/山下林道
林道日記59
15)栃窪高倉林道
>林道日記63(工事中)
16)北ノ入横川林道
林道日記60
17)横沢林道(廃道状態)
(計17路線、林道総数暫定21本/MR調べ)
にて国道115号線に合流、と言う事になる。

 無論、この中にはMRすら未通の区間も在るので、今回は現状で無理無く逝けるルート設定で
青文字の林道を繋いで縦断する事とした。
 全部繋げれば縦断と言いつつ阿武隈山系を蛇行するルートになるが、実走する区間はゲロアタック区間を外した為にシェイプされて、時間距離的にも組み易そうだ。
 尚、レポートをお読みになる皆様に申し訳ないが、当日はMRが終始先頭に居た為、写真が少なく、説明の都合上過去の写真を使う(主に林道日記より抜粋)事をお許し頂きたい。

 川俣のコンビニを出発した3台は国道114号線を一路浪江に向かう。国道は通行量も少なく、途中の津島で信号待ちに遭うと、交差点を挟んで三方全ての停止線にバイクが居並ぶ。
 
春なんだから、しようがない。
今この時期に走らなきゃ、乗ってる意味はない。彼等の目がそう言った気がした。

 国道沿いの桜が、晴れ渡った青空に向かって己が華を突き上げて春を謳歌していた。風が舞うと、華やかな香りと僅かな花びらを運んでくれる。
 ペース良く3台は国道114号線から原浪トンネルのある県道72号線に左折、昼曽根林道や鉄山林道第三支線に後ろ髪引かれつつ、馬場林道の入口に到着、小休止する。
お楽しみはここからである。


馬場林道到着、旧横川橋。
06'5.28

噂の距離票、未だ結論出ズ?
06'5.28

舘岩村、木戸の部落で休憩。


県道62沿いの「南相馬市」
06'6.20

馬場林道も県道62も
基本フラットダートである。
県道は砂利が大盛り。
06'6.20


「助常林道入口」新田川沿いに神社が在るためここに鳥居がある。だが、
ユニック車の通過の便宜を図るため中央を切断されてしまった。左側は倒壊済み。
09'5.5

●林道へ
 しかし、馬場林道は相変わらず車の出入りが多い。一声かけて、3台が林道に突入する。
例によって先頭から順にご紹介しよう。

 今日のTopはご存知管理人@Macx-Riderと愛機TTR-250R改、通称”ニコT”、二番手はすっかりお馴染みXR250RのS氏である。彼とは昨年末の米沢/俎板ツアー以来だ。その際同席したおぉじぃ氏と共々、ダートライドには定評がある。
 最後尾にH氏、S氏の仕事仲間で、今回は新型のニューKLX250を直参、丁度馴らしも終わる所である。他にシェルパもお乗りだという根っからの川重派らしい。ずっと大型のZRXを振り回して、近年にオフでトコトコ走る様になったというH氏、「のんびりペースで行きますから」と言われる。
 こちらも「今日は道案内だから」と断って車の多い馬場林道を抜ける。途中、例の標柱を指してここがかつての森林鉄道だった事を説明する。
 木戸部落でコーヒーブレイクしながら県道62/助常/新田川の林道を経由してもう一度ここに戻るループになるとガイドする。


2009年春、ゲートが新設される。
09'5.5

緑のトンネルを潜って走る。
09'5.5


新田川に下りてゆく。こういう経線好きだな、俺。
08'4.26


落合橋で別れる。因みに写真は逆向き。この風景は当日はS氏しか見てない。
09'5.5

 馬場林道に比べて殆ど人通りのないK62は相変わらず浮き砂利が滑りやすいスピードコースだ。既に春先に撒いた砂利で、滑り出すともォ〜どうにも止まらない!山菜取りのオッちゃんはともかく555の数字ペイントされたWRXは「一体何しに来たんだ?」と大きく首を傾げる。

 小さな峠を越えると、助常林道の入口で再集合する。助常林道はゲート閉鎖。前回使った南側にバリケードが追加されている。
 当然、MRは北側にアタック、難なく突破する。
手慣れた感じのS氏と、いささか窮屈にこえるH氏が対象的である。


●善悪の中間?(約束のグレーゾーン)
 新田川に沿って北に向かう助常林道は、峠を越えた所で伐採に因って展望が開け、その後つづら折れで新緑のトンネルに入ってゆく。
 若々しい緑の吐息を胸一杯に吸い込んで、人もマシンも気持ち良く崖っぷちのダウンヒルを楽しむ。川面が見えると助常林道は川沿いに現れる旧原町森林鉄道新田川線の旧線と合流し、落合橋までの約2Kmをエスコートする。


頭上注意?確かに。
06'5.14

切り立った法面、切り立った路肩?
06'5.14


隧道を抜けて飯樋川の源流を楽しむ。「
こんな所に道があるなんて」


取水口の広場で一休み
、対岸に森林鉄道の遺構を見る。


落合橋で新田川沿いにある二つの支線にバイクで入ってゆく。
こういう経験の無いH氏が心配する。
「進入禁止の所に入っていって大丈夫なんですか?」
「ん〜、本来ならやるべきではないでしょうね」
「じゃあ・・?」
「助常林道に関しては、一昨年(08')まで自由に入れました。営林署や林道を委託管理する部落などでは、状況に応じて通行を制限しているので、そのルールを守っていれば、怒られる事があっても警察沙汰にはならないと考えています」
「・・・・」
「例えば、リサイクル法が制定されて、実は山に電化製品などを都市部から捨てに来る人が増えて、困った自治体が林道を閉鎖する場合があります。」
「確かに多いですね」
「高値で売れる山菜を二度と芽が出ない程に採取し、本来地元で山林を委託管理して山菜を収入源にする部落に迷惑が掛かっている場合があります」
「我々バイカーの中にも少なからず居るかもしれません」
「まあ、バイクで冷蔵庫捨てに来る奴は居ないだろうが」(笑w


左右垂直の切り通しは
原町森林鉄道の真骨頂。
06'5.14

崩落!つい最近かな?


突破!
一人の時は戻ればいいんですよ。


「自己責任という言い逃れを振り回す訳ではありませんが、迷惑を掛けずに”ただ、風景を眺めて、通り抜ける”のはお目こぼし願いたい、という感じでやってます」
「怒られたら謝ればいいし、危険な時は戻ればいいんですから」
「・・・成る程」
「実際何度かありますが、にこやかに通してくれることも多いです。工事や伐採、集材の土場なんかでも大抵通してくれますよ」
うんうん、と頷くS氏。
「特例としてウチのリンク先のみしぇる氏の様に雑誌の取材と間違えられる、というのも在ります。
 やはり雑誌の様な公のメディアで紹介されると、人が増えるのでしょう」

「それにこれから行く所は、電力さんだけが知っているんじゃ一寸もったいない風景ですよ」

 10分後、3人はその風景の只中に居た。 凄い渓流だ、こんな所に道があるなんて・・、初めての風景に驚いているのだ。
 幅1.3m程の縦長の隧道を抜けると、岩盤を削って流れる飯樋川の源流が見事なコントラストを用意していたのだ。森林鉄道とはかくも厳しい条件で造られていたのである。

 飯樋川の取水場から引き返し、再び新田川に戻ると、今度は野手上ダムに向かう林道に向かう。こちらでは途中で小規模な崖崩れが起きていた。
 S氏が定石通りにバイクを降りて、自分の足で岩を登り浮き石を確かめ、そして通行可能の判断を下してくる。その確かなやり方に、異論を挟む余地はない。3人は問題なく3台のバイクを通す。
こういう時に一人なら引き替えせばいいんですよ。無理して事故れば、道路管理者に迷惑が掛かりますからね」

野手上ダムで休憩、湖面の風が涼しい。

ゲートの功罪。
 
林道は緩やかに登る、いわゆる鉄道の路盤傾斜そのものである。


鉄道の傾斜だよなあ。
06'5.14

野手上側のゲート。
左折?は野手上山への遊歩道。
06'5.14

もう一回りして今度は冬住林道へ。


この辺から尾根ぞい。
冬住林道のハイライト区間だ。
09'4.21


確かに旨いスープなんだが、
焼豚クレ!! スゲーアツいの。


 ただ森林鉄道は規模が小さく、つまりは使われる機関車やトロッコも大変小さいので、かなりの湾曲率のコーナーでも曲がって行ける。
 これが道路化されると、それこそミニマムでコンパクトすぎて、管理の為に走る軽トラさえ気を使う道路幅となる。場所に因っては普通車の通行も困難を極める程の“最強最狭線”なのだ。
 
つまりここはバイクの独壇場とも言えるルートであるが、油断してはいけない。出口側となる野手上ダムのゲートを越えて釣り人がスクーターで入って来ていた。極僅かだが一般人の出入りも在るのだ。

 野手上ダムを周遊すると、また木戸の部落内ダートを走って先ほど休んだ店のY字路に戻り、再びK62から助常林道を通り、今度は落合橋を渡って冬住林道に入って来る。同じ道を2回走った所であまりオフでのマスツーリングに経験の少ないH氏が遅れだす。
 S氏の体も温まって動くせいもあるだろうか?
助常と冬済を繋ぐ境沢林道(仮)は登りになるが、相変わらず荒れ気味だ。
 一度沢に目を遣ろう物なら思わず釘付けになりそうな枯山水の世界が対岸に横たわっている。
 冬住林道終点と目される鉄塔ポイントでH氏が追いつくのを待って冬住林道を走る。
 太平洋を望むポイントで休憩と考えていたが、ポイントは薮に包まれ、もはや展望足り得ない。
 仕方なくそのまま林道を突破、旧道との分岐で休憩する。二人ともここが旧道と言われる迄判らない程に、すでに旧八木沢峠は薮に没していた。
「逝きます?豪華路盤崩壊3カ所に泥沼1カ所」
「いや、今日はまあ・・・」

プレミアムスープ。
 時計は既に1時前、3人は無理せずそのまま県道12号に合流、県道沿いの食堂で昼食を摂った。
「限定ラーメンがあるぞ」
熊の湯は名前の通り旅館であるが、日中は食堂もやっているという、極ゴク普通の形態だろうか?
 
20食限定!プレミアの横文字に弱いMRとH氏がこのラーメンを注文する。
S氏はこれまた定番のカツ定である。だが待てよ?この時間で限定が残っているってドユコト?
 来たラーメンは全く何の変哲もないラーメンであった。つーかチャーシューすら乗ってない。
「スープにトコトン拘ったらしい」


取り敢えず給油。


落葉松林道入口に入る。
09'7.23

うわさのべこ湯さんを通過。
09'7.23

落葉松林道から右折直ぐ小山田林道
09'7.23

小山田林道から山下林道へ。
09'8.11

県道268号線に出た。
09'8.11

栃窪字北ノ入地区からはいる
09'8.21


栃窪高倉線のハイライトは真野ダムに連なるスカイラインだ。
10'3.21

「動物性タンパク質を極力排した透明スープ?」 確かに・・・美味しい。
オレも日本人なんだろーなー、
やっぱ焼豚がないと物足りない。

 時計が2時を回る頃、S氏がガソリンに不安を訴え、一旦原町市内で給油、栃窪まで戻って午後の部に入る。落葉松林道からべこ湯さんの前を走り、小田山、山下線を抜けて栃窪の部落に出る。県道268号線を少しだけ真野ダム方面に戻り、新設林道「栃窪高倉線」に入る。
 全長8Kmを駆け上がると、眼下に真野ダムを俯瞰するスカイラインとなる。
「ありゃ、未だ工事中だ」
 3月中(前年度)終了予定の林道開設工事は期間が延長されていたのは知っていたが、それにしても進行スピードが遅い。幸い重機の間を縫って通過が出来た。真野ダムの袂である高倉地区で県道268に合流、再び栃窪地区に戻ると、同じ林道の分岐から今度は「北ノ入横川林道」に入る。ここを越えると、いよいよ国道115号線沿いの横川地区に出る。


だが、工事が終わってなかった。
スンマセン。

10'3.21

再び栃窪から北に抜ける林道へ。
09'8.21


松川浦をパノラマで楽しむ。


まだ薮になる前で良かった。夏場じゃこうはいかないだろう。


 途中、尾根沿いの展望ポイントから松川浦を俯瞰するパノラマを堪能する。
「お〜、これは良い風景ですね」
 時間は4時を過ぎ、横川に下りて来た横川林道の分岐路で記念撮影、国道115号線に合流した。取り敢えず完走?かな。
3台は掛田のコンビニで解散した。
「また、そのうち走りましょう」
 そう、この計画は未だ未完なのだ。なんせゲロアタック区間はスルーだったんだから(爆
 そして次は国道114号線〜国道288号線の縦走も企てなければならないのだから。


下ってくると横川地区。
115号線が隣接している。
09'8.21


「とうちゃく〜」本日の予定はフルコンプリート!。


クマ!!(爆! S氏、こういうの好きだよなぁ。




ご注意と
お願い。
当レポは禁止区間の通行を奨励するレポではありません。立入禁止区間での往来は基本的に禁止です。
また、文中の会話も個人見解であり、その場所の事情や管理者の規制理由を反映した物ではありません。
通過の際には周りの状況を良く吟味し、
道路管理者に迷惑の掛からぬよう判断して下さい。