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「残雪との戦い」 当日、自宅近くのコンビニに合流、快適に3桁国道を通過し川俣町に合流、町の東側を抜けて県道8号原町川俣線に入る。山木屋の7-11で休憩と補給を行う。
久しぶりの連れが居る林道ツーリング。最近一人で走る事が多いせいか、話し相手がいるだけで和んでしまう。イカン、タバコが美味しく感じてしまう、イカンなこれは。
八木沢峠から冬卦林道"冬住林道"(09'追記)にアクセスする。県道沿いの常磐道延伸の看板を目印に右折南進、しかし林道入口にはチェーン封鎖。だが難なくこれをクリアーする。もと伐採道本道の冬卦林道はやがて山の稜線に駆け上がり我々を太平洋を望む峰にいざなう。
県道舗装路ではそのタイヤパターンから大人しい走りの彼がダートに入った途端「スイッチ」が入った。
所々に残雪がありハンドルを取られるはずなんだが、SJ30Vさんはお得意のスタンディングで雪上ダンスを披露する。とんでもねぇな、この人は。雪上なのに飛ばす飛ばす!付いて行けねぇ〜〜〜!。
良く見るとわざと積雪部分を走り固雪の抵抗を活かしてbrake&turn!マジ曲がってるよ。
あっというまにバリケードのある助常林道の入口に到着する。路上には、そろそろ地面で休もうかというバリケードのお出迎えを受ける。
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PhotoAlbum
一部の写真に林道日記からの転用があります。
★八木沢峠入口
★冬卦林道・助常林道接続点
★助常林道を下る。
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冬卦林道「冬住林道」(09'追記)は伐採林道の本道である。八木沢峠から阿武隈の尾根沿いを走る気持ちの良いルートだ。晴天の際には太平洋も望める。
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ここからは、車の入った跡すらない。
どうするSJ30…「Garrrrrrr〜!」…V…さん?
呼び止める間もなく彼は轍のない積雪路面に突入していった。挙げた手が相手を求めて宙を彷徨う。
躊躇ねぇんだもんなぁ。
思わず、1コーナーをターンするのを確認してから後追いするMRでスた。
助常林道の終点というのが何処か?現地には標柱が存在しないので何とも言えないが、やはりあのバリケードがあるY字路が接続点なんだろう。しかしここから下る支流部分の区間が、実は一番荒れている区間である。特に沢の西側となる今突入した部分が手強い。なんせ普通でも釜房林道状態である。まして残雪だ。橋を渡って沢の東側に辿り着けるのだろうか?一抹の不安がよぎる。
「バガン!」という濁った音と共に山側に車体ごと持って逝かれる。タッチしたブレーキレバーに感触がない、雪で滑っている。のり面に巨摩郡よろしくライダーキック!体制を立て直す。ダメだ!雪か落石かのり面か判別がつかね〜。わずか10分の恐怖だった。
ところが沢の橋を渡り東側に出ると残雪は跡形もなく消え失せ、代わりに新田川水系特有とも言える大量の落ち葉が積もる初冬の佇まいを林道は魅せる。雪によって流線型に洗い流された沢を清冽な沢水が蕩々と駆け下っていく。沢水は林道と共にまずは飯樋川に合流。続いて飯樋川は本流の新田川に統合される。新田川に掛かる落合橋の上で休憩、地図で再確認する。
このT字路こそ、森林鉄道の本線なのである。
正確には助常林道の新田川南側にある川沿いルート部分は、総て森林軌道を拡幅して造られた林道なのである。いま下りてきた落合橋から先の助常林道末尾部分は恐らく後年に林道として造られたもので、林鉄軌道部分ではない。T字路にはお約束とも言えるゲートによって一般林道とを隔壁している。早速ゲートを潜って突入する。
助常林道とは明らかに違う一回り小さい道が、そこには存在した!
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★飯樋川支流沿いには二つの橋がある。
★新田川本流に合流。
★これが鉄道路?
★新田川に掛かる落合橋
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新田川に掛かる橋は異常に幅が狭い。橋脚が林鉄時代の物を流用しているようだ。
勿論、確証はないが(笑。
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●「落橋・廃橋」
「何処かとりつく場所はないかな?
バイクで」バイクで ですか?マジですかぁ?
MRは内心空いた口が塞がらなかったが、何故か
「橋を渡る手前から逝ければ・・」と即答した。
「じゃあ、逝ってみましょうか」
こういう時のSJ30Vて怖いんだよ、俺。前にもそう言ってスタンディングでも高さが足りないような激藪を平気で入っていったからなぁ。(身長180?+WRのステップ高250=230cm?) 案の定「ここから」と指さすと、いきなり杉林にバイクごと突入してるし。
成る程、確かに導水管とともに石垣の残骸がある。地形的にもそれらしい踏み跡すらある。しかし軽量な新型レーサーほどのパワーもタイヤ山も無い旧式Bajaで斜度35°がどうにかなるものではない。こうして本日初転倒はウッズステージとなった。
実際挙がってみると、確かに導水管は何かの上に埋設されている。
導水管のためバイクでの前進は不可能なので管の上を歩くと先ほどの橋の上に出る。斜面を下る導水管と、もう1m上に向かってゆくルートがある。これをゆくと、やがて崩落した橋のたもとに出た。
「街道Web(管理人TUKA様)」の解説によると、この飯樋線の終点は不明であるという。導水管は明らかに森林鉄道の軌道を基準に敷設されており、あくまでバイクでの突破を目論む我々の手には負えない…
「MRさん、この部分を突破すれば、バイクであの沢の奥に出るのでこのラインで逝けるんじゃ無いだろうか?」
この一言でまたしても開いた口が塞がらないMR。
「…………!!!!…?」マジ?
提案された迂回路は橋落した部分から沢に斜面沿いに歩き、沢の緩やかな部分を渡って対岸にとりつく。幅30センチ程度の踏み足とも思えない段差を指している。
ほぼ平行移動だが、大量の落ち葉で覆い尽くされている。沢は急速に落ちて谷底まで20m位、バイクごと転落しても落ちた橋の残骸で沢まで逝かないだろう。つーか、そう言う問題ではない。
「いや、この路線自体の通過可能が確定的ならまだしも、折り返しの沢越えなら最初からやらない方が良いでしょう」
と答えるMR。
おそるおそるSJ30Vさんを見上げる。
「…………!!!!…?」マジかい?
ホント攻略考えている??
「そうですね。歩くの熱いから帰りましょう」
なんじゃそりゃ?。
実は二人とも防寒着を2重3重に巡らせているので、バイクから下りて4月上旬と予報されたうららかな山道を20分程散策しただけで既に汗だくだったのだ。加えてMRの転倒と引き起こしで二人とも既にぼろ雑巾の様相である。
オフライダーの鉄則通り、取り敢えずバイクで逝けるところまで逝ったので、ここは後日ということで折り返す事とした。二人はそそくさと元の新田側本流・飯樋川支流の合流点に戻った。こんどはMRが先頭で新田川本流を遡る。
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★対岸の杉林にあるのは?。
★導水管?。
★道の代わりにもなるが。
★下は廃道??。
★ずんずん歩く。
★こりゃ、見事だ。
★戻って新田川にゆく。
★お得意の技法。
★ダム配水管が交差する。
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林道から更に南側にむかう遊歩道。県道62号沿いに出るのだろうか?
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相変わらず深く垂直な掘割りが続くが取水口の近くに土場らしき跡があり、本線はここまでと思われた。
後日これにも問題は残るのだが・・・。
しかし林道は相変わらず続いている。広域地図を見れば東の野手上ダムに繋がり県道62号に戻れそうだ。
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★いけるかな〜??。
★ホントに逝けるかな〜?。
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気が付くと林道は急速に尾根沿いに近づいていった。そして、何時しかSJ30Vさんの姿がない。気が付いて停車したところで眼下に妙な物を見つけた。
「橋だ」
しかも明らかに道幅のあるコンクリート製の林道の橋である。だが前後の取り付け道路は見当たらない。だまし絵のように、つーか橋の上に木が生えてるよ。取り敢えず撮影し、探しに戻る。途中、先ほどのご夫婦と……道、違うじゃん!
ご夫婦は隣の飯樋線を1時間前に歩いていたのだ。とっさに飯樋線ラストの橋にある階段を思い出した。成る程、そう言う事か。
とある広い広葉樹の中に大量の落ち葉に紛れて騙し絵のようにTTR-WRが佇んでいる。
彼は一人、うららかな日差しに体を温めていた。
「こういう景色って大好きなんですよ」
空を、言い知れない時間が流れてゆく。
結局我々はダム周辺を少々散策し、例の飯樋川と新田川を繋ぐ遊歩道を確認した。例の夫婦の行程が予想出来たところで空腹を感じ、またFWは燃料補給も必要となり、やってきた助常林道に戻り県道62号から原町市内で給油とかなり遅い昼食を摂って帰路に就いた。
帰りも結局県道62号を通り、国道399号から国道114号に経由して帰路に就いた。
途中、県道62号の町境の下辺りダートが積雪とアイスバーンで、MRが痛恨の転倒をした以外はアクシデントもなく、というか114号に出る国道・県道は総てアイスバーンで、最も道幅の広い国道399号線を使うしか手がなかったというのが実態である。
最後に、二本松市で洗車し、二人は別れの挨拶を交わして帰路に就いた。
わずか200Km足らずのショートツーリングであったが、収穫とそれ以上の謎を秘めて林道ラビリンズが幕を開けた日となった。
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★溜息しかでない美しさはなんだろう?。
★ダムサイトに到着。
★管理看板がある。林道表記なし。
★先ほどの遊歩道に出る。
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広葉樹のだまし絵の中、佇む。春の日差しに心も温かくなる。
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