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ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

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日に照らされた紅葉を眺める。紅葉には青空が映える。。


 そしてMRは、今日5つ目となる"名無しの"峠を越える。

 磐梯山と
 天鏡湖を望む峠へ。
4

「そうですか、取り敢えず行ってみます」
 まいったなぁとボヤきながらハリアーのおっさんは下って行く。本当に大丈夫か?

 ハリアーを待っていても助けられる自信は全くないが、携帯を見るとアンテナが1本だけ立っているので助けを呼べるだろうと判断し、休憩を終えて出発する。
 
大体、判断出来ないなら入ってこないだろうから。
 下ってみると、成る程郡山側は確かに優しい、堀が浅いな。こちら側と同じと思っているとスタックするな?これは。


「中山都沢線 起点」
バブル以降の2000年以降に企画立案されて現在も造作が続く広域基幹林道、全線舗装林道である。


 闇の世界から光の国へ。
地形にそってくり返して世界観を帰る。


郡山、猪苗代の市境に到達。
ハリアーのおっちゃんに道を聞かれる。


10Kmは先のこのゲートを除けて
入って来るんだから自己責任でしょ?
ハリアーのおっちゃん



小田都沢線の起点入口。ずらりと工事看板が並ぶが不思議と通行止めのゲートは空きっぱ。


三河林道本線。
通行止めの看板が立ち尽くしている。


これが小田都沢線、紅葉もいいあんばいだ。


 深い砂利に気をつけつつ、佳子ちゃんは何事無く中山都沢線の分岐路に到達する。
 
中山都沢線、このHPでは「新楊枝峠」と目される林道だが、こちらは残念ながら完全舗装林道である。驚いた事にまだ完成してない様でデカデカと「新規林道開通工事」の表示板がある。

 だが、道路封鎖は無いので取り敢えず入ってみる。
 この道は平成生まれの広域林道ではあるが、いわゆる大規模林道の規格ではなく、
小さく造られているのが特徴だ。
 観光有料道路とは無縁で、あくまで営林などの
「麓の地域性に見合った」新規林道なのである。

 郡山(中山)側はこれでもかというつづら折れで登って行き、標高700mくらいで一息ついて平行移動のS字コーナーで市境に近づいて行く。
 沢を暗橋で渡る大きなヘアピンコーナーを過ぎると、再び峠に向かって登り始めるが、最初から比べれば穏やかに登る。


5Kmほど入った所で、再び通行止めのゲートをクリア。


小田都沢線は休眠状態?。
1年前にも来たんだけど進行が遅いな?この林道工事。



 
やがて猪苗代市との境に到着するも、ここはあまり眺望が無い。実際の峠はもっと南だ。
 道は水無山(標高999m)の山尾根をぐるりと半周し、南向きの眺望を提供する。
 
最標高地点で言えば「水無峠」と言うべきだろうか?眼下には磐梯山から猪苗代湖に繋がる一大パノラマが展開する今日のツーリングのハイライトだ。少々薄雲があるが晴天のときには猪苗代湖対岸となる会津布引山の風車が見える絶景である。
 お決まりの写真撮影をして、リステルの東隣りの尾根に降りて行く。
広域基幹林道中山都沢線の終点は丁度磐越道関都トンネルの西坑口近くだ。


町道から県道322号線に合流、進路を東へ。 すぐに壷下の部落で磐越西線を渡らずに再び磐越道の測道に寄り添って行く。
 
本日の最後は古道「楊枝峠」である。

 最後は古道。 5

 まず、尾根隣となる壷下の部落から磐越道に向かって走る。だが入口のボックスカルバートからして間違え、一つ手前をクランクに入ってしまうが無事合流。



市境。
小田は中山(磐梯熱海/郡山市)管轄
都沢は猪苗代市である。


水無山から磐梯山と猪苗代を遠望する。


「素晴らしい!!」
湖面との温度差で僅かに揺らぐ水面の情景が神秘的だ。


 ランドマークの常磐道鞍手山トンネル西坑口主機室を見つけてホッとするのもつかの間、登り始めた林道は完全な沢だ。
 相当の雨量を受け止めた様で、杉林の急な林道は既に擂鉢状の切り通しに変形していた。
 数えて3年振りの楊枝峠は相変わらずハードだ。

車の轍が全くない。
というか自転車やバイクの轍すらない?
何かが起こっている様だ。
 理由はすぐに知れた。
 
沢に掛かる暗橋が完膚なきまでに破壊流失していたのだ。

 霧が無ければ対岸に在る会津布引山の
発電風車も見える筈だ。
これから下る林道も見える。


「さあ、元祖楊枝峠だ。」でも様子がおかしいぞ?


「なんだこりゃぁ〜!」道が無いよ。
ヒューム管が露出して、どんだけ集中豪雨だったんだよ!今年の秋は?



 川の真ん中に直径70センチ程のヒューム管が2本、仲良く並んでいる。この時点で車が行ける筈も無い、現にここには軽虎が展開した轍があった。
 その暗橋の直前にあった砂防ダムが完璧に満杯に埋まっていて、その機能を麻痺させていた故にKLXは渡河が出来た。
 
ここからは多分今期初めての山行の様だな、けっこう嬉しいぞ。
 史跡、二本松街道一里塚は街道の左右に塚が残る県内でも珍しい史跡なのだが、塚の足下を流れる小川が氾濫して壷下側の土が一部流失していた。
その土砂の殆どは林道に流れ込み、林道の道床を削っていた。
写真撮影のため歩くと丸太に足を取られ転びかける。
「なんだこの丸太は!」と、林道の登り口を見ると、15~25センチくらいの太さの丸太が何本か、道に対してタテに落ちていた。
「なんだこりゃぁあ!」
 
すでに林道は末期的状況だったのだ。


「楊枝峠690m」
 二本松街道と銘打たれた手書きの可愛いい立て札に迎えられる。

 東北電力がコンクリート舗装化したと思われるつづらのヘアピンがある。


一理塚は2個とも現存、立て札も現存


凄まじい洗堀、流された倒木。
ヘアピン個々に倒木タスクが用意されている。




「楊枝峠」晩秋の楊枝は何と美しい峠だろうか?。


峠から流出した土石流に洗われ、殆どが埋まっている。
 さながらV字溝の様相を呈する林道はもはや林道にあらず、
激甚災害後の被災林道と化していた。
 この急コーナーで丸太越えセクションがあるぞ、
丸太橋の様にタテにそろった流木が難易度を高めてい居る。コレを乗り越え、しかし停車する事叶わず、MRは一気呵成に林道を登り詰めてゆく!

 デルタサイレンサーの吼咆が鮮やかに色づく峠に響き渡り、KLX125は何とか峠に辿り着いた。
 今日7つ目の、最後の峠で、カメラを片手に一休みする。
 小さな楊枝峠を示す立て札に出迎えを受けた3年振りの楊枝峠は、静かであった。自分が踏みしめる落ち葉の音と、時折野鳥が飛び交いさえずる声が散漫に聞こえる。

 豪雨一過。 6


秋なんだな、うん。
まるで新緑の早春の様だな。


「カビバン、落ちて無いよナ!」


晩秋でも緑深い所で、中山の一里塚に到達。


 
変わらずに立っている五百川源流の立て札に前に、約2m程の四角い縄張りが施されていた。
 
結界か?(何のだよ?)


「名前書くな」
まを祭る神社である。村社とあるので村が奉った神社だろう。神社そのものは延期式に在るから古い。

 


そして見下ろせば


すでに橋の面影は無い。


 考えていてもラチがあかないので紐を潜って通過する。異次元に落ちる事無く通過する、何なんだ一体?
ここは思いきり良く「トツゲキ!」
 はたして、結界の先は結構な泥濘地であった。無論この峠デフォのうっすらとした雑草が芝生の様に覆い隠す仕様である。

 フロントタイヤがリムまで潜るシーンは荒木飛呂彦調に
「ヌチャァァ〜!」という纏わり付く様な擬音が背後に踊っていそうだ。
 埋まるM15はセンター2分山という状況だが、おかげで深い泥濘を掘る事も無く両サイドのブロックがさながらバドルの様の泥を掻いて走るという、まさに理想的な状態である。
「こりゃあ思ったよりイケるな。」


微妙な位置に微妙な角度の倒木。
自然に出来てる所が凄いな、この道。





16インチのリアホイールが7インチは泥被ってるな。
歩くなら長靴で完全武装だな



 ヘルメットの下で細く笑むMRは、無論この峠の素顔を熟知しているので、それでも慎重に下って行く。
 2009年頃までカビ色の軽バンが放置されていた面影も無くなった、楊枝峠の旧線と目される上り坂の在る分岐を過ぎて、下り坂は泥濘のまま続いてゆく。あの軽バンは誰が運び出したのだろうか?念のためすぐ脇の沢を覗いてみるが、車は落ちていない。
やはりあの熱海史談会の方々が車両の持ち出しを行ったのだろうか?
中々できる事では無い。素晴らしい。

 そして、明らかに一里の半分位の所で再び一里塚が現れた。
史跡、二本松街道「一里塚」である。

 エピローグ。 7

 そこは、震災の年に橋を造った所だ。恐らく本来なら木橋が懸かっていたであろう沢だが、初めて通過した07’秋には、すでに大量の土石流と流されて来た倒木でダム化していた。

 その為、ハイキングなどの徒歩で歩く人は沢越えが難しい状態だった。
何せ、当時初めてバイクで通過するにも深い泥溜まりとなっていた。
 その後、有志でここに簡単な橋を掛けたのである。
 地形の大きな改変はNGなので、あくまでそこにある木を持って行った木杭で止めた程度の物である。
「すっかり流されたな」
 清冽なせせらぎは、人間の思惑など意に介さぬと言わんばかりに造築物を押し流し、変わりに大量の土砂をそこに置き換えていた。


また倒木
「山神様は難度を上げた」


そして川は道と共有する。


離れては恋しがり何度も逢瀬を繰り返す沢と道。


そしてまた、手を取り合って・・?「取り合うなよ」 


 元々の木橋の影も見当たらない、普通に沢が流れ落ちている情景である。かつて橋が在った部分は完全に流失し、道は沢の上流に向かって1m程後退していた。
もはや普通に「渡河」可能である。その川底も浅く幅もさほど広くは無い。結果よしと言う所でいいだろうか?

さて、気を取り直して再び下り始める。一理塚で街道と沢は3m程の落差を生じていたが、ここからは階段状に街道と沢が抜きつ抜かれつの覇権争いを始めるのだ。
一般的川の育成同様に街道を横断する幼い沢が道一杯に水を溜め込むと、まるでゴルフ場のグリーンの様な平場を造り出す。これはレンコン畑からの静かな警告メッセージである。このサインを見のがすと、バイクは最早脱出不能な底なし沼で泳ぐ羽目になる。
そうして幼な沢が集まって水量も増えると、その重さ故に沢水は滝となって急流に我が身を変えてゆく。そして、次の合流と滝が表れる直前に隣の街道と意気投合し街道を濡らして帰ってゆくのをくり返すのだ。
そしてまた、絶妙な位置で現れる、どんどん難易度が上がるカントの付いた倒木も、今回は豪華枝付きでクリア出来れば高得点!失敗すれば1.5m下に沢落ちだ。
そして、あの!忘れもしない屈辱の場所に、MR家の第一号デジタルカメラCoolpix3500の昇天場所にたどり着いた。


あ、収まった?。


街道の面影を残す広い道路、ではない。
ここ自体が実は”河原”と言うべきだろう。


2連渡河セクションA!写真で見るより段差が在る。


 ここは川と道が交互に入れ代わる所である。
 猪苗代から中山というダウンヒルの場合には、最初の堰で渡らないとその先は川に向かってダイビングというサプライズが待ち焦がれている。
 
山神様の策略にハマらずにここは先に対岸に渡っておく。
 次の再渡河まで、まさに川の字に街道/川/街道という方向性で平行移動となるが、そんな流れの結末がその先に待ち構える。
「おりゃぁあぁ!」
第2の渡河で再び入れ代わり、道はもとのサヤに収まった。


対岸にも道が在るという罠。




2連渡河セクションB!写真で見るより段差が在る。


 KLXの履く2分山のM51は、やっと何とかこの坂を登り上げた。
「流石にこの(タイヤの)ヤマでは辛い!」
 乗り上げた先も何事も無い平場で、道幅3mの林道か?と思わせておいて
ざっくりレンコン畑状態だ。
 
青色吐息で何とかここを乗り切った。下りだからいいけど、登りならば、ほぼ玉砕の坂道だ。

 そのまま下り続けた街道が装いを紅葉樹の雑木林から植林の杉の木が立ち並ぶ鬱蒼とした植林地に変わると楊枝峠もそろそろ終点だ。
 泥濘地は無くなり、杉の根が街道を補強する、小さな沢をひと股ぎすると最後は登りだ。
 
五百川の支流と別れ際に大きな路盤崩落があり、中山側も街道に入ってすぐに自動車の侵入が出来ない状態だった。


最後の難関を突破。


「12:30通過!!」

 その直後に、簡易鋪装とガードレールにエスコートされた楊枝峠の旧街道は磐越自動車道の側道に合流した。
 
こうして晩秋の短い秋を訪ね巡る旅は午前中に大小6つの峠越えを達成したのだった。(つーか、最後はもはや紅葉どころじゃ無かった気ガス?)

●走行路線一覧(林道日記より抜粋)。
 1)県道380岳温泉大玉線/石庭本宮線/林道七瀬線 09'7/23改訂
 2)主要地方道中丿沢熱海線(県道24号)高森熱海有料道路」
 3)広域基幹林道三河小田川線小田達沢線10'9/24 改訂
 
4)森林基幹道 中山都沢線 中山側 / 都沢側12'11/30独立
 5)廃道日記 
009 旧会津・二本松街道「楊枝峠」1 . 2