「涙のXR250R(1995)」
97年2月、
人生の転機が訪れて、僕のバイク人生もいよいよ1台に絞る事となってしまった。
その際、中古で購入したのがXR250Rである。
逆輸入のレーサーであるXRはXLRと同じエンジンながらハイカム・ハイコンプで武装し、250とは思えないトルク感のあるマシンだった。少々忙しげにスロットルをあけると3速でもフロントを持ち上げる。流石レーサー!
しかしこのXR、個体差があるのか僕のはオイル管理が大変難しい車体だった。
それでも早速改造され、前のXLRのダブル(デュアルとは言わない)ヘッドライトに240W強化ジュネレーター、14,5Lビッグタンク、アルミ製リヤキャリアを装備。
XR-Baja-EXPRESSと名付けられる。
↑ミッションケースの上にセットされるのがパイプ式オイルクーラー。機能美溢れる機体である。
4月にクラブの企画でバイクを走らせた折り、妙に発熱温度が高い気がした.。
そして突然、カタルシスはやってきた。
購入後わずか2,500Km足らずでエンジンが焼き付いたのである。
売ったバイク屋は勿論、お近くの所有者に聞いても「そんな話は聞いた事がないぞ」と言われる始末。何故かオイルパンには僅か0,5L程しかオイルが入ってなかった、ということは残りの1.2Lは全部消費してしまったのか?謎は深まるばかりである。エンジンを見る限り、破綻する理由は見られない、とバイク店の店長はばらしたパーツを見て語る。外部に漏れた跡がないのでスリーブに何らかの異常かあってオイルが燃焼され、焼き付いたと推論した。
かくて、購入後2ヶ月目にしてスリーブのボーリングにピストン、コンロッドを交換し排気量を270ccにアップして使用する事となる。これは当時、純正のスリーブを打ち直すよりボーリングの方が割安だったからである。ここまでは純正250に戻すのとさほど変わらない金額で納めた。しかしその後、激しい熱問題に悩まされる事となる。
オイル的には2000Kmでの定期交換とするが、出てくるオイルは1.2〜3Lで、0.5L前後は熱による消耗と考えられた。激しい熱によって、シロウト目に見ても色が薄く粘度が無くなっている。
原因は幾つか考えられるが…?
どうする?悩んだ末に、最初の修理改造分の支払いが終わるその年の11月、熱対策の為にドリームトキのアルミオイルクーラーを純正と交換して装着する。しかし結局、原因不明の打開策のないまま翌年の夏に再び軽い焼き付きの兆候があり、修理を断念して部品扱いで涙の譲渡とするのであった。
分解されたエンジン。
↑左上 燃焼室。 バルブ周りが焼けただれて白くなっている。
↑右上 シリンダーブロック。 吸気側に激しい傷があるが、幸いボーリングに影響はなかった。
←ピストン/クランク/コンロッド ピストンは原型を留めぬほど大破。ピンも交換。コンロッドの色変化から熱膨張の凄まじさを思い知る。リングもバラバラだった。