「ヤマハの生んだ絶対無比のツーリングマシン」
プロローグ
本当に何でもない事なのである。
こうして文章にすると実に他愛もない性能なのだ。
「でっかいキャリアが付けられて荷物が積みやすい」とか「適度に低いシートは積載時に跨ぎやすい」とか「でかいタンクで長く走れる・燃費も良い」とか「メーターが使いやすい」などなど…。
書き出すとまるでスズキジュベルXCのレポートか?と思う程である。
こいつが出るまではみんなバハを改造していたんだ。
それを「Raid化」と言ってたんですよ。
大盛りの系譜
YAMAHA TTR250"Raid"は1994年(TTR250発表から1年後)発表、発売される。
そのスペックは当時発売ツーリングマシンの決定版と言える内容だった。
もともとTTRがセロー225のフレームワークのエッセンスを取り入れた”トライアル的”な重量配分と、ホンダXLRシリーズのような(当時の流行的)デザートラリーレイドイメージを巧く融合させた、といって差し支えないだろう。当時ヤマハには既に「セロー大盛り」の異名を持つヤマアルテイシア400(愛称セイラさん>爆)があったが、ある意味TTR-Raidの方が「大盛りの直系」と言えよう。現在のヤマハにはない機体であり、開発したヤマハには申し訳ないが、トリッカーに望みを絶たれたレイドファンも少なくないはずだ。
新開発の空冷エンジンが回るとか、ハンドリングがいいとかいう突出した性能が在るわけでもなく、ただただ荷物を満載に林道を走る、いや走破しつづけると言う能力に抜群に優れたRaidは、発売当時まずはオートバイ関連のジャーナリスト達に愛用されていく。