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HONDA XLR&XR250"Baja"


「僕のXLR250R Baja(1992)」





 
初めてXLRは新車で購入した。
当時僕はセカンドバイクとしてDT125Rを所有していたが、さる理由で廃車となった為、長距離オフを念頭に購入したのがこのBajaである。車体は細身ながら高く長く、しかしサスペンションには初期加重における沈み込みが十分配慮され、身長165の僕でもつま先が十分付く。
 コーションカードには始動方法が記され、スロットル1/7回転でキックと書かれていた記憶がある。その他エンジンに関して色々と但し書きが在った気がする。
蛍光のレッドはむしろオレンジに近く、華やかな色合いだった。
 所有された方はご存じと思うが、純正ノーマルタイヤはブロックパターンが優しく、ついカッとなってオフ向きのエンデューロタイヤを装着すると、燃費が激減する。
僕の場合、某D社の603に換装したところ、実燃費で10Km/Lほど落ちた。また高速道路における最高速・巡行速も激落ちし、最高速で時速100Km/hしかでなかった記憶がある。実にノーマルの30Km/h落ち!当時は激しく狼狽したものである。タンクは6Lだから、L=40Km走る計算も成り立たない。なにせリザーブまで200Km走らないのである。高速に乗れるオフバイクを買っても、航続距離がないも同然だった。
 これが、最大にして最弱のアキレス腱であった。他にまあ、転倒するとエンジンが掛かりにくいのは、今も泣き所の一つである。
 この2点を除けば、おしなべて高性能なマシンであった。


 特に素晴らしいのはそのエンジンに尽きる。
心地よい排気音とともに打ち出されるトルクは必要にして十分であり、川崎育ちの僕的に敏感すぎるホンダのハンドリングも、ことオフに関しては実に軽快であった。そして、林道の下りともなると2ストKDXを追いつめる動力性能とバランスは、設計思想の高さを証明する物だった。
そういった意味で、
このマシンの持つ普遍的なステイタス性はこの時代には既に定着したスタンダードとなっていた。世界的にもアール・ベイカーなどの名カスタマイザーやショップワークスが存在するのも、XR系ならではの世界観となってゆく。
惜しくも交通事故で全損廃車になってしまうが、思い出深いマシンである。






ROAD IMPRESSION「激突!ミラクオーレ」


オフ以上に俊敏に走れる町乗り単気筒はたちまち速度を法定速度にひっぱってゆく。
照射範囲の広いダブルヘッドライトにより、進路は勿論、相手にも視認させやす…
キキィ・ガァン!
どてっぱらに横から怒付かれ、フレームがくの字にまがったBajaは一発廃車!
僕は左足全治3ヶ月の骨折入院だった。



OFF-ROAD IMPRESSION「激闘岩洞湖・来襲スズメバチ」




それは、永遠の悪路である。
 いまも通い続ける某●斉タイヤの若社長に勧められたのは岩手のさる人工ダムだった。
ちょうど悪友T2氏もKDX250SRを購入し、二人で二泊三日の林道ツーリングを組んで走った。遠野から早池、区界峠を抜け、御大堂スーパー林道を走るのは、まさに至福の出来事だった。
思う存分走った最終日、
美しいパノラマを見せる岩洞湖の北西側に位置する湖の外周路が生き地獄となった。

 足を付いて満足に立てない程の赤土の泥。
水たまりは大きく深く道幅いっぱいに広がりバイクで入ると膝上まで水没する泥沼、
しかも豪華倒木入りである。
土手の法上がり高さ1m辺りにモトクロスタイヤの轍が一条残る。快適なジャンプコースと聞き及んだここは、地獄であった。トドメに軽自動車幅の溝付き登り坂に出くわす。もう何度転倒したか覚えていない。スイッチBOXが浸水しホーンが鳴りやまなくなる中、轍を外して登ろうとしても、ぬるんだ泥でたちまち轍に落ちて前進不能となる。もう力が出ない……後ろからの叫び声に気が付くのも時間が掛かり、振り向くとT2氏のあちこちにスズメバチがたかっていた。2ストオイルの臭いに集まってきたのだ。

 背後に多数のスズメバチの気配を感じた瞬間、二人とも力任せにバイクを押し上げてゆく!。

 僅か2Kmに6時間…国道に命からがら辿り着いた我々はそこに、
「出光イーハートーブトライアル」順路標識を見る事となる。
 岩洞湖外周路。それは(多分)今もコース指定の永遠の悪路である。



エピローグ(使用記録)

DATA
保有期間 1992〜1994(約2年9ヶ月?)
保有期間総走行距離 26.000Km
メータ読み最高速度 時速130Km/h (東◆自動車道●島トンネル下り出口直線にて)
満タン式最長燃費 リッター48.2Km(93'春のツーリング/純正タイヤで記録)
満タン式最短燃費 リッター31.7Km(93'秋のツーリング/D603で記録)
使用オイル 納車/整備時 ワコーズ4CT
      3,000Km毎交換、E、6,000Km毎交換。
使用タイヤ ダンロップD603/605エンデューロ(F/R)
その他装備品 キジマリアキャリア、レンサルアルミハンドル、サイクラムナックルガード 
現状 94年、事故一発廃車。ウィングの常連に1万円で部品譲渡。




Part-1 僕のXLR250R(1992) 

Part-2 涙のXR250R(1995)

Part-3 9年目のXLR250R(1995)