温泉ツーリングスポット


大塩温泉 共同浴場


(福島県)




2007年、春。初めて大塩温泉に入る。


泉温37.7℃とある入浴心得。
大塩温泉第四源泉、とある。


どうやら平成8年から協力金を募っている様だ。


急な長い階段。お年寄りには辛そうだ。


下の浴場棟?はどうやら昭和32年頃の
シロモノみたいだ。
やけに古いです。


 「つるの湯」で知られる早戸温泉のさらに奥、本名津川林道入口からさらに20分ほど、大塩の部落に小さな温泉がある。

 大塩温泉は国道121号線から僅かに部落の方に振った位置にあるが、
国道ぎわに看板らしい物がない。

 お陰で昨年初めて来訪した際には小さな部落を一周してしまった。
 ツーリングマップルの温泉マークを頼りに来てみると、かつてガソリンスタンド跡地の駐車場から只見川に向かって南に下る細い路地を見つける。
 突き当たりに旅館「たつみ荘」さんと大塩温泉共同風呂が並んでいる。

 この日は連休明けの月中頃、路地の正面で旅館と温泉を分ける袂の桜の大木は既にその身を若葉の新緑に衣替えしようとしていた。

 大塩温泉に
露天風呂があるとさる登山を趣味の友人から聞き及んでいたが、共同浴場だろうか?
 まずは左手の共同浴場玄関前にバイクを停めて、ヘルメットを脱いだ。

 その建物の外観から想像に難くなく、湯船は敷地から目測4m程下の部落と只見川の岸辺との中間にあるようだ。鉱泉独特の黄金色の湯道が建物の脇から見え隠れしている。

 玄関を入ると左手にトイレ、右手に風呂場に降りる急階段がある。ソファ付きのロビーというよりほぼ廊下だ。
 入浴料を納める賽銭箱?「協力箱」があり、まずは
200円以上と書かれた案内に沿って投入する。

 かつては無料だった入浴料も口コミで温泉の知名度が上がったり、温泉を暖めるボイラーの燃料費が高騰したりと、もはや東電からの援助金ではやりくりが難しい情勢の様だ。
 昭和23年に下流の本名ダムが完成し、大塩温泉は水没を免れるべく現在の場所に移動した訳だが、現在の玄関と階段は2代目の様だ。


んん〜もはや鏡の役目はしてないな?
昭和30年代の鏡?





素晴らしい・・・味わい深い温泉である。


60年以上を経過し、
「熟成にも似た味わい」を魅せる湯船。



4人もはいると一杯の小さな湯船。


美しい風呂場には余り見えないだろう。
しかし、キチンと面倒が見られている、
小綺麗な浴室だ。


 そして、比較的新し目の玄関と階段に比べ、下の温泉棟は驚く程に古いのだ。昭和30~40年代に造られた脱衣所は狭く暗く、浴室に至ってはろくな洗い場もない。
 
水道の蛇口など、実際に水を出してみるまで、本当に水が出るのか?心配な程だ。
 身体を洗って6人程度で一杯のちいさな浴槽に一人身を委ねる。

「はふ〜〜〜〜」

 源泉温度が37℃と書かれているが、ボイラーで加熱している事から考えると、送湯管が長いのか?只見川に沈んでるのかと思ってしまう。まあお陰でゆっくりと風呂に浸かれるよ。


天蓋を見上げると、年代を思わせる。
時計も妙に似合う。

 後年に付け替えられたアルミサッシの窓枠を開けると、只見川の風と共に若葉の香りも吹き抜ける。
 代わりに独特の鉱泉臭が水面に吹き出される。

 露天風呂は無いようだが、ここまで只見川に近い窓際に腰掛けると、もはやこれで十分という気がしてくる。

 灰色の天井と壁にやや赤茶けて濁る温泉、長い年月に夥しく流れた模様を重ねる湯船には黄金色の文様・・・。
 極めて質素だが、何処か暖かみのある古い温泉に体も心も癒される、そんな感じである。

 そして、後から入ってきた常連さんに指差指示で教わるのだ。



窓から只見川を眺める・・・。


黄金色に染まる湯船とお湯・・・。


「あれが、春しか入れない露天風呂ですよ」
「え?」
「今年はもう終わりましたがね・・」
「え、ええぇ?」

そう、伝説の季節限定混浴露天風呂は存在したのだ。

泉質:  ナトリウム塩化温泉 (旧源泉名 塩化温泉)
源泉温度:約37.7℃(動力楊湯)
効能:  神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、間接のこわばり うちみ くじき、
     外傷(擦り傷、切り傷)やけど、慢性皮膚病。
     慢性胃腸病、打撲、骨折、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、動脈硬化症
     (二酸化炭素泉に準ずる効能:高血圧、心臓病等の循環器疾患も考えられる)
入浴料: 200円以上を協力金として入金。



露天風呂から眺める大塩温泉の浴室棟