さて、朝飯喰らって行くか。林道へ。


ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。



 プロローグ 1

 
風が吹くと、ほのかに潮の香りが届いた。
 林道の末端は恐らく灯台か電波塔跡、多分後者だろうか?四方を巡る高さ2.5mくらいの鉄製の柵はその入口に扉も無く、敷地の奥の柵から先は、夏の青空と海が見える。
 時折風が止むと、むせ返る様な夏草の匂いが襲って来る。
 先ほど見た旧坂の末端が、敷地の柵の角で合流して来る。道は一本の轍で結ばれていた。フルペイロードのツーセロでここを下りるのは気が引けるので、交差点まで来た道を引き返す。そこは、県道と放牧場を結ぶ尾根沿いの道だった。
眼下には夏の色をした石巻の海岸線が遠く見えた。


「取り合えず天気の保つ所に!」県道46号小坂峠から南蔵王へ。


「昼はソロ、夜はツインのキャンプ旅」


 雨を読んでの逃避行 2

 最初、天候が悪かったらKLX125を積んで行こうかとも考えたが、取れた時間は一泊二日が精一杯で
「あくまで旅先で偶然会ったかの様なカンジで」という要請?も在り、まあ前回の岩木山で使い果たしたタイヤも交換したての新品で林道も走りたいという事もあってセローで走り出す事とした。
 初日は雨から逃げながらという感じであるが、明日の晴れは全国的に確定の様なので、今日何とか逃げ切ってやれ!と走り出した。
指定されたキャンプ場は山なので、この際夜は雨でも仕方ないと割り切る事にする。
一方、件の要請を発した友人”0J”(オージェー)は既に前の日の土曜日に旅に出ていて、鳥海山の麓の海岸線沿い二ある「西浜キャンプ場」に一泊、既に現場を出発した連絡が入っていた、二人のゴールは石巻である。


旅先Photo !

小坂峠の入口に在る巨大鳥居。
天下の県道にこんなモノが掛かってるなんて、と いつも思う。


峠の向こう側に在る「万蔵稲荷神社入口」
小坂峠の入口から峠道はかつての参道?ではなく後に荷車を通す里道として神社の為に開削されたらしい。


 そして何故か
午前中は太平洋側より山形方面の方が降水確率も低く、浜通りは朝から雨のうえ北側にフルペイで走れるロングダートも無い事から、セローは自然と南蔵王に向かって行った。
そう、久しぶりに走りたかったんだよ、不忘山林道!
と言う訳でセローは林道に突入した。



七ヶ宿から南蔵王へ。「ふるさと緑の道」は宮城県が定める林間トレッキングルートの総称である。全17コース、後に再びまみえる事に成ろうとは?


いくつもの沢を越えて林道は進む。
逝けるか?



「不忘大橋」林道名が
そのまま橋の名前に成る程に重要な橋だ。

 手前のキャンプ場には連休と言う事もあり数台のクルマが停車していた。
 その裏にどかされた通行止めの看板がある。
空いていたのか、開けたのか?答えは1時間後という所か?
 この不忘山林道も幾度となく通行止めになる道で、七が宿側の幾つか在る小さな沢が土石流で埋まるのは日常茶飯事、3〜4年に一度は大規模な災害で3〜4ヶ月の長期通行止めになることもある。
 時計を見るとまだ9時だが、改めてウェザーニュースを見ると雨雲の米沢到着が早まりそうだ。
 やっぱり11時まで雨は待ってくれそうに無い。仕方ない、原田の蕎麦はまた後日と言う事になるだろう。 


 南蔵王にて。 3

南蔵王は静かで美しかった。新緑の季節を迎え、まだ朝の気温が低いせいか虫も少なく空気の湿り具合も埃が立たないのでいい。
 雨上がりのややスリッピーな路面ながら、フルペイロードに空気圧2,2のままローストセローは軽々と登って行く。
 僅かに風が林道をなめて、霧が窪みに向かって流れる、そこは小さな沢だ。渡る橋から下流にはおそらくブルドーザーで均した鉄砲水の残礫が押し出されていた。
 1m未満の岩石や太さ40センチぐらいの倒木が片付けられているが、上流を覗き見ると、細やかながら清冽な清水が流れていた。



 昭和48年製の橋の横には、その前に在った旧橋の橋桁が残る。道幅は今より狭そう。



この区間は横川もかなりの広さが在る。
魚も居そうだ。


橋の前後をクランクとして横川を渡る。
川に崩れ落ちる対岸の崖が地形の脆さと増水時の恐ろしさをを物語る。


日陰はがっつり雑草、道幅半分は塞がれてる所も。

峠に迫る大ヘアピンカーブ付き上り坂。どう見ても濁流に流されてる道。

その水量の差が恐ろしい。
 勝手知ったる道ながら、
この林道を横断する小さな沢のほぼ総てで土石流の残骸を確認出来た。一体この山に春先、どれほどのゲリラ豪雨が降ったのだろうか?

 やがて登りの林間コースを抜けると、林道は一旦川に向かって緩やかに下って行く。
 平行して米沢に向かうのは横川だ。林道はやがて広い河川敷を見渡しつつ、断崖を背景に横川を渡って行く、
不忘大橋(ふぼうおおはし)だ。
 昭和48年製の橋の横には、その前に在った旧橋の橋桁が残る。この後しばらく横川沿いに橋で横断が続く。やがて昭和34年竣工の南蔵王橋を渡る不忘林道はいよいよ
舟引峠に向かって猛烈な登りを開始する。我々は一括りに「南蔵王林道」と言うこの道も、東の宮城と西の山形の県境を境に、林道名は別だ。西を南蔵王林道、東を不忘林道と言うのだ。
 特徴的に長大なヘアピンを介して、不忘林道はモーレツに登って行く。

 頂上付近にたどり着くとそこは三叉路、クルマが回転出来るスペースと
「横川堰」という灌漑用水の地下トンネル出口へ向かう船引林道がある。



「船引峠」峠の手前に船引林道の起点と成る空き地が在る。


「そして野辺沢から蔵王へ」
尾根隣の部落から蔵王エコーラインにショートカットしてゆく。



 
明治13年に当時の山形県令三島通庸が宮城県令の求めに応じ、宮城の田園灌漑の為に認可した水路が在るのだ。この林道は水路の管理で生まれた林道なのである。
 しかし横川堰には行かず、ここで一旦休憩して天気の具合を見ていると、野太いエキゾーストが聞こえて来る。
 
後ろから登って来たのは宮城ナンバーのXR600である、なるほど。
 3速フルオートマシンじゃこのくらいの林道、トルクだけで登るか。天気とルートの話をした後、別れる。



林道ヤサド線に合流、異国情緒溢れる名だな?
ヤサドの意味が不明。


「左、林道ヤサド線経由で入口の部落に戻る」蔵王は直進。


宮城・山形県道12号線
「蔵王エコーライン」へ。さあ、マクるぜっ!

 蔵王エコーラインに抜ける野辺沢林道は尾根隣の部落から入るんだった事を思い出し林道を下るが、ダートから舗装路に成っても南蔵王林道の起点標柱を見付けられない、ううむ?見落としたか。
 原田の蕎麦を食べるには時間も早く雨に追われる身故、ここはスッパリと昼を諦め、隣りの部落から野辺沢林道に突入する。
 私営放牧場から蔵王エコーラインに入ると宮城方面へ転進、今日のダートはここで終了。

 ここからはロードツーリングと切り替えて、黒い雲に追われつつ蔵王の峠を越えてゆく。



クルマ邪魔!
つくづくオートマの大型車とはリズムが会わんな。


蔵王連行頂上付近。
やっぱり霧でお釜も見えない。


「青根温泉へ左折」一路山形道川崎インター方面へ。




川崎インターに入らず釜房湖へ。
国道286号線を川崎バイパスから秋保温泉へ。


しかし船台南から南部道路に入れない事を再確認してしまう。やむなくそのまま高速で泉インターから北部道路経由で利府JCTへ。

 キチガイとマチガイ。 4

 県境を通過し蔵王のお釜を越えて下る。目前にクルマの居ないクリアラップに猛然と飛ばして行く。リアがしっかり重いのでグイグイと曲げてゆくと、青根温泉の標識で左折。温泉街で国道457号に接続する。ここから山形道川崎インター方面に進路を取る。

時折、パラッと雨粒が落ちて来るが、気にしない。
 国道286号に合流すると川崎インター前から国道に沿って左折し、そのまま仙台南インターに向かう。全部通った事のある知った道だが、ここで誤算があった。
 
ここは川崎インターまでR286にお付き合いしたら、また457号に戻り、国道49号線から仙台中央インターに出るべきだったのである。
 その答えは南インターの入口で答えあわせと成った。
「仙台南インターから仙台南道路に入る事は出来ません」



「松島春日PAで何とか昼」
雨雲迫る中、のんびり飯喰ってるバヤイではない。


石巻「道の駅上品(じょうぽん)の郷」に到着。

無情にもETCの前で舌打ちするMRは、
ええぃままよ!とばかりにそのまま突入、東北道を北上する。
 泉インターから富谷JCTで仙台北部道路に転進。利府JCTから三陸道に直接コンタクトする。
 高架橋同士の三方立体交差の利府JCTはなかなか見応えのある道だった。
道を間違いはしたものの、これはこれで満足するMRであった。所詮道路マニア、マチガイでも良かったかも。
 例に因って春日SAで休憩し、やっと固形物を飲みんだ。



道の駅に併設される沸かしの温泉「ふたごの湯」
前回入ってないので、意地でも入浴してやる!


建物東側に在る「ふたごの湯」
高超性中性冷鉱泉という高濃度の鉄分と塩分を含んだ冷泉をボイラーで加熱している。
  
石巻「牧山市民の森」キャンプ場は左折。


 再会。 5

 窓の外は…
え?天気雨?、「おおお、追いつかれたか雨雲に」
 ウェザーニュースの雨雲を見て奥松島に廻るのを諦め、まっすぐ高速で石巻河北インターまで行ってみる。
 そして、そのままインター近くの
「道の駅上品(じょうぽん)の里」に併設される「ふたごの湯」に滑り込んだ。
 間一髪、ゲリラ豪雨が一帯を襲う。
さて、雨雲レーダーだと4時台に雨の止む時間が見て取れる。ここからキャンプ場のある「牧山市民の森」まではざっと30分くらい?買い出しも含めて1時間位で到着出来るだろう。

 既にOJ氏は到着している連絡があったので1時間程雨をさけて風呂に入ると決めていた。冷泉を湧かした温泉と聞いていたが、風通しの良い露天風呂が在り、リクライニングチェア−でうたた寝する程気持ちよかった。あやうくそのまま道の駅に泊まり込む所だった。

 やっと起きて風呂を後にすると、濡れた路面に写る空がはゲリラ豪雨の中断を告げて、
ローストセローは石巻湾の東側に在るキャンプ場に行く途中、小さなスーパーで夜の買い物をして牧山に向かう。
 スーパーを出る頃に空は雨雲で埋め尽くされ、再び雨は振り出す。
「いらっしゃい」
時計が5時を回った頃。二人はやっと合流出来たのだった。




牧山キャンプ場到着。
御好意でバーベキュー棟の中にテントを張って雨を凌ぐ事に。

まったりと、次回へ。