さて今朝も、朝飯喰らって行くか。林道へ。


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このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

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 合流、そして宴会。 6

 何とかキャンプ場に5時頃到着、受付を済ませて驚いた。
管理棟のすぐ上にあるバーベキューハウスに利用者がないので、その屋根下に幕営して構わ          ないと言うのだ。


旅先Photo !

6時頃からもう夕食。
御飯が炊ける頃にはもう3本目の缶チュ−ハイ。
生憎の雨なので、という心温まる配慮を示すと、5時半の就業時間通りに3人の管理人は下山?していった。
 小雨の降る中バーベキュー用のテーブルを片付けたコンクリートの土間に、バイクから降ろした
テントを組み立て「置く」
 お互い今日の境遇?を話しながら、一杯引っ掛けつつキャンプ用品を並べてランタンを灯し、そのまま夕食の準備をする。二人ともビールに始まり、OJ氏はウイスキーの水割りに、MRは缶チューハイから端麗辛口の日本酒に移行してゆく。



「取り合えずカンパイ!」豪華なんだかチープなんだか解らない夕食。
でもOJ氏は御満悦だ。


 
明日はどーする?という話が出る頃には二人ともすっかり出来上がっていた。
「猫の島に行きたい」というOJ氏。
 件の島
「田代島」は宮城県石巻市に属し、三陸海岸南端を構成する牡鹿半島の先端近くの仙台湾内に存在する。
 牡蠣の養殖を主とする漁業や釣り客・観光客を相手とする観光業が主な産業となっている。「ネコの島」やマンガの島として知られているが東日本大震災で大被害を被り、島の主産業である漁業が高齢化も手伝って停滞。ネコ目当ての観光産業はこれを補う形で発展している島だ。
 この石巻からも連絡船が出ているが、片道50分程度掛かり、午前中に往復すると島の滞在時間が2時間切ってしまう事を嘆いていた。まあレンタサイクルで一周くらいは出来そうだが、ネコもふだけでは不十分らしい。
 天候不順の湾内とはいえ、船に不慣れで躊躇していた。
 MRは個人的定番の雄勝町の「荒浜海水浴場」に林道経由で行く予定と話した。



備え付けのテーブルで夕食を広げる。
セローのシガーソケットが水没して、
仕方なくOJ氏から電気を貰う。
 昔良く使っていたのが県道192号線であるが、震災以降通れるか判らない。また峠の周辺に林道が在る筈なので行ければ行ってみようとこの時は考えていた。
 じゃあ一夜限りのツインキャンプだね、と談笑しつつ、石巻の夜はふけてゆく。

 翌日、既に明るくなっていたにもかかわらず、屋根下でなかなか明るくならないまま、朝寝坊の朝を迎えた。
寝袋からテント、テントから外へとまるで脱皮のように躍り出たこの世界は、昨日と違って明るい青空に見直されていた。



BBQハウスの下の仮設キャンプ場。コンクリート堅い(涙。


最終日の晴れ。二人は信号で別れ、それぞれの道へ。



隣尾根に林道があるので行ってみる。
でも入口がよく解らない。



「これかな?」


「なんですと?」
県道192号線、通行止めだと?。

 既にOJ氏は昨日出来なかったで在ろうキャンプ場内の徒歩に拠る散策を終えて、トイレで軽量化して戻って来た所である。
 話に因ると、本来のキャンプサイトは山砂に芝生の筈が流され、岩盤の様

な赤土と枕の様な高さの木の根が露出して、もはやサイトの役目を果たせない事が判明。
 成る程、そりゃ仕様がないねぇ〜と言う感じだそうだ。
 そんなこんなでコーヒーと朝食の間に日が昇って暖かくなり始めた。

 青空のもと、散歩後に干したシェラフが乾くのを待ちつつ世間話をだべっていると、突然スクーターで出勤されたのを皮切りに公園の管理人さんが次々と出勤して来た。
なんだもう8時過ぎたのか?と思いつつまたコーヒーをもう一杯。



遊歩道なのか、林道なのか?行ってみるしかあるまい。


 どうやら割としっかりした林道だな?。


どんどん山に登って行く。
側溝や水回りは完備しているので、重要路線なのか?

 早起きしたのに二日酔いっぽいOJ氏、動きも緩慢だ。結局テントを畳み終えたのは9時過ぎで、OJ氏は田代島には行かずにそのまま帰る事と成る。
 まるでネコの様に振り向き、次回また、とつぶやく。
 キャンプ場の皆様にご挨拶して出発!帰るOJ氏は路地から国道398号線に出た所の交差点で互いに手を挙げ、互いの無事帰宅を祈って別れたのだった。

 交差点。 7

そして、話はプロローグに戻るのだ。

 
雄勝半島を横断する県道192号線雄勝峠の袂に辿り着くと、県道は平成30年まで災害復旧工事のため全面通行止めという看板に塞がれた。

 地図を見ながら、その北側に位置する林道にアタリを付けて、県道迂回路からそれらしい林道を登ってゆく。
 途中、コンクリート舗装を交えて幅3mくらいの林道を登ってゆく。写真を撮りつつ地図を確認すると、林道は尾根端の所に電波塔マークが付いていた。
 
成る程、電波塔建設の為の林道開鑿なのかもしてないナ。



「ヘアピンで標高をあげる」いい感じになってきたな。


 やがて林道は現地の地図に「水沼ツツジ園」と書かれた、もう絶対開けたく無いトイレとともに、クルマ30台程度が駐車出来そうなキャンプサイトの様な空き地が広がっていた。
 道は尚も登坂してゆくが、道の右(南)側が地図にある水沼(らしい窪み)とツツジ園の様だ。残念ながら水場は無い。





坂自体も傾斜をあげてゆく。峠迄いけるか?


左側(写真右)は砂防ダムへの工事道、
いまは釣り師しかいない。

ここまでクルマで来て、漢キャンプするには良さそうだ。
 
さらに登る。風が吹くと、ほのかに潮の香りが届いた。
 林道の末端はNTTの電波塔跡、四方を巡る高さ2.5mくらいの鉄製の柵はその入口に扉も無く、敷地の奥の柵から先は、夏の青空と海が見える。
 時折風が止むと、むせ返る様な夏草の匂いが襲って来る。鍵が付きっぱなしの扉は解放済で、そのままバイクで入ると遠く太平洋が見える。

 鉄格子ぞいにして、門の北側に登ると、左手(南側)から先ほど見た旧坂の末端が、敷地の柵の角で合流して来る。
 道は一本の轍で結ばれていた。斜度はおおよそ30°くらいか?
 フルペイロードのツーセロでここを下りるのは気が引けるので、交差点まで来た道を引き返 す。
 
改めて地図で確認するとそこは、林道と放牧場を結ぶ尾根沿いの道の中間だった。
 振り向くと眼下には、夏の色をした石巻の海岸線が遠く見えた。



「あれれ?」

震災で崩れてしまって、しかも片付けてある。

  GPSログを紡ぐiPotmini4から、時を同じく山下達郎が南へ〜SOUTHBOUND #9〜を歌い出す。
 
いや、思い切り北に来たんだけど、と思いつつ気持ちのよいキャンプ場の様な広場でヘルメットを脱ぐ。
 曲が終わる頃、赤坂さんの名調子が風に乗って聞こえて来る。MRは広場の奥にある看板に現在地を確認した。
いま、登って来た道は「水沼林道」というらしい。



「さらにヘアピンで上に」


 
牧場から距離があるが、よく見るとそこかしこにエンデューロタイヤのブロック痕があるではないか?半島を東西に渡る県道と、地図上北の上品山放牧地と南の雄勝峠経由まで山道が繋がっている様だ。
まさかぁ?と、取り敢えず北に向かう。
 道は水沼山山頂付近をぐるりと半周す
る軽虎幅の林道だ。入口にある簡易なゲート(といってもロープを張る為の鉄パイプが2本立っているだけ)。


なんと!キロポストがある。
そんな本格的な基幹林道なのか?
重要施設なんだろうか?



ガードレールが旧式の角パイプ型だよ。
昭和30年代の製品だな?





「ここが水沼ツツジ園」トイレ恐い。
水沼林道は未だ先が在る。まだ登っているよ、林道。


「まるでキャンプ場だよ」見晴しはメチャいい。


 
規制を意味するチェーンなどなく、事実上のウエルカム状態である、時計回りに半周した所でクルマを回転させた足跡とともに消え、その先はバイクだけが通るシングルトラックと化していた。
 
マジかよ、目前に芸術的なまでに湾曲を描いて廻るコンパクトヘアピンが現れた。僅か5〜6m程で一気に6m程の高低差を交すヘアピンコーナーの出現だった。 
写真を撮りつつ上に登ると林間コースが、まさに木を縫って森の中に消えていた。
 
マジですか?またマニア道なんですか?マジで。



「ツツジの時期に来たらハチ恐い」なんだ道だらけだよ。


「隣の峠と繋がっている」硯山まで2Kmないな?。


カギは付いている。
見た事の無いような高級な(恒久?)な南京錠。

と自問自答しながら歩く。イケそうかな?
 イヤイヤ、新車フルペイロードなんだからヤメた方が良いだろうな?
どうしてくれよう?
 そうして歩って行くと、目前には長い登り坂が現れた。残念にして幸運な事に、タイヤ痕はどうやら坂を上りきった様だ。
 
マジですか?長さも勿論ですが角度もあるな、カーブが無い分マシか?
 四倉じゃターンでスピード殺されて登れなかったからなぁ。



「NTT電波塔跡」恐らく船舶無線用とか?
こんな立派な林道の行く先(終点)だものね。。


良く見るとまだクルマが走っている。


水沼山を半周しているな?。


ここで軽虎もギリギリくらいか?


 見なかった事にしよう、と 踵を返してバイクに戻る。

 初転倒。 8

 バイクに戻って改めて地図を確認する。GPSはMRの予想をほぼ肯定していた。
 やはりこの道は放牧地に出る様だ。 ならば今日の所はGPSにログを出来るだけ残し、改めて精査する必要があるだろう。


やむなくそのまま高速で泉インターから北部道路経由で利府JCTへ。

 
地元の誰かが、あるいは特定のグループがここを練習コースに使っているに違いない。
 本当に四倉と状況が似ていた。
 では、フルペイだけど、純正の新品タイヤだけど、空気圧も2kPaだけども落とさずに行ってみよう、
行けるとこまで。




「そして」なんだこれは?。




今度は完全な一本道。
バイクの轍しかねぇ。


ダブルサイドバックが邪魔!


「初転倒」


カメラ位置を正面水平にすると、バイクが写らない程の激坂。


「ヘアピン」
ど真ん中に2連ジャンプスポット付き?。登るんだろうなぁ。


 最初のS字は溝が掘られていた為に期せずして二輪二足と成って難なく登り上げる。
 少し根の張った林間コースは片側が崖、セローの独壇場ながら木と木の間が狭くダブルサイドバックが擦れる。が、構わず前進!ここでバランスを崩す訳にはいかない。
 無事通過する。一旦停まる。
登れるのかよ、コレ?
 まあ性分だから取り敢えず一回は挑戦してみよう、
十分な助走を付けて、3、2、1!

 さっき歩いてみて、
 ゆるい鍋底の真ん中は軽いマッドで恐らく(タイヤが)喰い付かない。雨が振れば水が流れた筈だ、昨晩辺り。
 狙いは左右の道の縁だ、あそこなら滑らないで登る。
 反射的に右側の縁に舵を切って、腰から前屈みにハーフスロットル!すると木の根絡みの段差がある。
 越えると同時に僅かにフロントタイヤが宙を舞う。すかさず続けてフロントに体を預けると再び舵を取り戻す。
 
次の瞬間二つめの瘤石が視界に飛び込んで来る。
しまった。
 下を見たく無くても激坂故に自然と見なくてもいい物まで視線に飛び込んで来る。避けられないのでそのまま乗り越えると、再び重心が後ろに戻る。
脳裏に、
"まるで振り子の様に揺れ続けるんだ、片時も、停まる事無く”(解る人はロボットマニア)
というフレースが流れる。

 三度フロントに加重しようともがくが、体勢が浮いて掛からない。勢いの落ちたリアタイヤが瘤石の上で鍋底に向かって滑ると慌てて僅かにスロットルを戻すが、
戻し過ぎだ!
 傾いた左に脚を出す、もとい出そうとする事に因ってフロントに掛ける筈の重心が雪崩の様に左を襲う。
 
そしてお約束の様に出した左足は空を切った。
アウチ!
 急激に左後ろに移った移動体重はリアタイヤに駆動力を方向性を帯びて付けさせ、着地したフロントタイヤの次に左脚を通り過ぎて反時計回りに車体を回しつつ倒れ始めた。
 
フロントタイヤがその先の新たな木の根に引っ掛かると車体は逆の時計回りに横倒れとなった。
 脚が挟まって・・動ける?ダブルサイドバックが絶妙に空間を作り、パタリと倒れたもののすぐに起ち上がれた。
 
ここまでか?取り敢えず記念写真を激写(爆

 足下が滑る中、汗だくでセローを起こして木の根もとで一息ついてイオン飲料を買った事を思い出し、飲む。
 
ふむ、奇跡的に土が付いただけで特に破損は無いな。
 取り敢えず一安心、
MRの人生史上こんな穏やかな転倒は立ちゴケを入れても無いと断言出来る(爆、しかも自爆


何とか無事でした。
時間的にも終了。




 エピロ−グ
 だがしかし……
9

 
何とか最初の水沼ツツジ園に戻って来た。
 何時もの事だが写真を撮りながらの往路に比べ、復路は半分の時間で戻って来る。
 
今入って来た北側と反対側の南にも道があり、案の定バイク以外の足跡は見ない程だ。
 地元の愛好家が走ってる。年間の通行数は・・・まあ、楊枝峠くらいかな?
 お楽しみが増えた所で時間切れ、この回答は、秋にでも?と言う所で帰り脚と成った。
 ブルーインパルスに見送られながら石巻から撤退する。
国道45号線から改めて高速道路に入る頃、気が付いた。

 
だがしかし、KLX125で登れるかな?あの激坂・・?
 
リベンジを誓いつつも、不安を隠しきれないMRだった。

 そんな謎とは裏腹に、携帯には無事帰宅したお知らせメールがOJさんから返信されていた。



ツツジ園の南側、バイクの轍しかねぇ。


ちょっとだけ様子見、どう見てもエンデューロコース林間セクションだよ。

ブルーインパルスに見送られ、帰路に。



まったりと、秋に。