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林道日記(0ff-Road・Diary)


ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの覚え書きです。
ですので、スポンサー以外のクレーム一切お断り致します。
走行距離は主にバイクで測定し、旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。
また、掲載される内容は
必ずしも最近の状況及び写真ではありません。
走行日を良く確認し、一か八か?役立ててください。


このContentsは、適当に増殖します。


林道日記
(0ff-Road・Diary)
My-503



恵みの森は大木を増産してゆく。
水は、総ての動植物を育む地球の体液だ。


国有林林道
不忘山線
(南蔵王林道・東側)


その名の通り、
「忘れがたい」
水の長大林道。

国道113号線の林道迂回路となる峰越え林道は古くからの水源開発に端を発する林道だ。
そこには農民の願いが込められている。



●国有林林道不忘山線
区間総延長:約14.5Km
     (ほぼ全線未舗装)
概要
 南蔵王の北側に位置する不忘山は、江戸時代から宮城・白石〜山形・上ノ山に抜ける水源への山道として地元の里山に恵みを与えてきた。
 横川の源流である不忘山の水資源は白石を中心とした水田開発に無くてはならないものであった。水資源、森林資源の確保の為、昭和33年には現在の林道のメインルートが出来て、36年には上ノ山側の南蔵王林道と接続され、車による分水嶺越えが可能となったのである。


起点。宮城県道51号・南蔵王七ヶ宿線、
硯石のT字路を西へ。



直ぐに舗装路から脇の山道へ、入口がある。
一段高い林道から流れ出る大量の砂利で、実は立ちゴケの隠れた名所。(笑w



正式な名称は「国有林林道 不忘山線」 さて、行きますか!。


舗装路からヘアピンを折れる様に林道に突入する。
すぐに標識類が立っている。ここが起点。


Y字路を左に下るとケッチャグラ沢沿いに長老湖に戻る。
不忘山林道はこの沢を越えて、横川沿いに西へ向かう。



入口には山神様が奉られる。林道の起源は文政4年(1821)まで遡る。

 不忘山山頂付近の山形・上ノ山などの一円を潤す横川堰があり、七ヶ宿共々水を供給しているのだ。
 潤沢な水資源と引き替える様に、林道の開削と管理維持には並々ならぬ労力が強いられた事は言うまでもない。
 断崖に道をへつり、つづら折れを無数の枝沢を跨ぐ橋で繋いだ林道は、たびたび自然災害の犠牲になった。
 2007年、約2年振りと思われる通行止めが解除されて、不忘山林道はようやく一般に開放されたのだ。
 
この林道、MRの前回の全線通過は実に2001年。これ程近くにありながら、
 
この10数年で通過出来たのは93/94/97/01年の4回だけ2回目は既に落石でバイクのみの通過、4回目に至っては台風通過後にジムニーで突破!直後に土砂崩れと路面流失で3年間通行不能となる大災害の直前ばかりである。

TouringMapple2008.3版記載。林道表記。いつの間にか「お勧め」から外れてるね。


いつのまにかここのキャンプ場が閉鎖されている。
いつもの通行止め看板しか、ない!。


ここのキャンプ場、全然設備投資されてねえものな?。ここは蔵王への登山道入口でもある。


さあ、2年ぶりの南蔵王だ?
早速@1、ケチャグラ沢(どういう意味だ?)を
越えてゆく。

ろう。

沢がなくても、雨が降るとその筋は沢となり大雨が降ると濁流を流す。
道路を斜めに渡る側溝程度では、賄えるわけもなく・・・・。


さて、
4回目
(チャレンジだけなら10回目位か?入口で聞き取りして帰るのがほぼデフォ(#^.^#))の通過となるこの日、
不忘山林道は記憶の中では最もフレンドリーにMRを迎えてくれた。
 県道51号線を七ヶ宿から左(西)に曲がり、直ぐに舗装農道脇の横道に左折する。
ここからダートが始まり、以後上ノ山まで続く。

 長老湖に分岐するY字路に山神様が鎮座まします。ちゃんと御神酒も瓶ごと預けられてます。神様が酔っているウチに通り過ぎるか?などと考えつつ写真を撮って通過。間もなく南蔵王キャンプ場に辿り着く。


背中合わせに溶接して補強を付けている。高さは7m位ある。

 確かに一応「通行止め」の看板は立っていたが、これがデフォなので一安心。 



側溝には大量の瓦礫が埋め尽くされる。
もう側溝の役目はない。


ムムゥ・・・これは?。
もうヤだよ、また森林鉄道ネタなのかよ?


新緑の中現れる砂防ダムへのY字路。標識が指し示す、林道は右に登る方である。


大若沢橋。@2。林道開削当時の面影を残す古い橋だ。
橋の幅は旧規格のため狭い。昭和40年前後の橋には表情があるね。



エッチングの銘板に「大若沢橋」。
恐らくトラックに擦られて、親柱は傷だらけだ。


竣功:昭和40年9月。青森営林局?

 これまで、快晴でも通行止めはアタリマエ。
 雨の日に来れば業者に追い返され、黙って入ると道路や橋が無い、という憂き目は何だったのだろう?
 工事通行禁止などは、重圧なゲートが造られ、場合によってはキャンプ場側から通行出来なくする為、虎ロープが見られた事もあるこの林道。
今日は・・・遮るモノがない。
「信じられない・・・」

 走り出すと、林道はキチンと整備され、実に走りやすい。
 もともと岩、それも適度の粘りを持っているので虎駆ションは抜群に良い。春先特有の砂利が撒かれた部分もごく僅か、ペース良く走れる林道である。
 
水源地の林道であるせいか、横川の枝沢は非常に多い。
 取り敢えず橋は大体撮っておいたが、暗橋で渡る沢も混ぜれば、相当数の沢があるのだ。
 最初の5km位は主流の横川を見ることなく、枝沢ばかり渡ってゆく。幾つか土石流を片づけた痕も散見できた。


@3、岩戸天神沢を渡る。橋名は無し。


ようやく横川の北側、見通しの良い所に出る?


ここに来て排水状況が悪くなる。



50m以上あった横川が林道に追いついて来る。視界が開け、県境の二つ森山が見えてくる。


 林道はアップダウンを繰り返しつつ、確実に標高を上げてゆく。
 途中、目に付いた引き込み線用の支柱。何時からここに居るかは解らないが、
お決まりのナローレール?である。
 南蔵王に森林鉄道が在ったのかどうかは解らないし、管轄営林所内でレールの転用は仕様なので、断定は出来ない。
 砂防ダムのY字路を過ぎると、大若沢に辿り着く。路肩に駐車車両を散見する。
 どうやら林道の再開を待っていたのは我々だけではないのだろう。山菜・渓流釣り・放浪・川遊び・昼食・集団自殺?など、今時の林道はニギヤカであり、対向車には十分気を付ける事が必要だろう。
 老婆心だが、特に高齢者の運転にジレて林道での追い越しは危ないと思う。偏見かも知れないが
、じーさんばーさんが運転する車の後方にいる貴方の動きなど、絶対に見ていない自信がある。十分注意が必要である。
 

沢の、いや橋が無い足下にも水が流れている。まさに生きている林道


やがて、横川の方から近づいて来ると川を渡る橋と、30mはあろうかというコンクリート要壁の崖に見とれる。
 
かつて路盤が流され、この林道を3年も通行不能にした所だ。



@4、地図に無い沢だな?
沢筋はあるが地図に沢表記がない。


@5、天神沢を越える。この沢は大きいな。
このタイプの欄干に橋名は見当たらない。


そしてついに横川が林道に追いついた。



@6、
大規模な土砂崩れ痕。
勝負は水モノと言うが、自然災害に負けた橋と、さらにねじ伏せた橋。
それは自然の力の偉大さか、人間の英知の結晶か?。


その名も「不忘大橋(ふぼうおおはし)」。
ここだけは2回目確定。


昭和43年と在るが古い橋は何時のものだろうか?

「おおっ!隣のこの橋脚は・・!」



その橋脚の桁の広さから、当初から道路橋だったことが伺える。
恐らくは昭和33年製?



ずっと横川の北を走っていた林道が南側をゆく。
道路も川だよ・・・。


 現在の橋が昭和43年製なので、恐らくそれ以前に、林道開削当初からあった橋なのだろう。
 
ちなみに、対岸の崖も擦れ違いに崩落し、互い違いに2年くらいづつ通行止めだった記憶がある。当時bajaで登ってきて、ここで引き返した記憶があるのだ。
 度重なる土砂崩れや復旧工事で発生した夥しい土砂が、かつての旧橋のたもとで均され、夏草の為のプランターになる準備を進めて居た。






上)@7、そして再び横川を渡り、いよいよ林道は県境越えに望む!
橋の名は
「赤渕橋」

横)橋の下には、ほぼナメ状態の川底を持つ「横川」



赤渕橋。昭和59年完成と不忘山林道の橋では1番に若い?

 横川の近接する場所は等高線も一息付く所だが、実際には岩塊と沢を迂回して林道が造られている。


@8、空沢(からさわ?)を越える。
不忘大橋辺りから、
多数の釣り人が竿を振るっている。


所々に空き地がある。
そもそも平坦だが、災害復旧の跡地とも思われる。


「空沢」に架かる「清流橋」
これも昭和59年11月完成
。赤渕は地名だろうが、ここは何故「清流?」そのネーミングセンスがよく解らない。

 道路傾斜が緩くなると、たちまち林道路面に池が出来て、水の林道である事を思い返す。
 林道は都合3回ほど横川を横断、その間にも手持ちのROAD MAPに影すらない細かく小さな枝沢を越えて、ようやく分水嶺に向かってのぼり始めるのだ。この橋の区間は林道の周りに空き地や沢に降りる足場が多数存在し、見通しの効く開放的な景観から多くの釣り人や野宿、バカンスを楽しむ人が多いので、通行には十分注意が必要である。
 
そしていよいよ、林道は鞍部に向かって登り始めるのだ。



@9、その名も「南蔵王大橋」
枚石沢とナンバ沢が合流した沢(南蔵王沢?ウソ?)に架かる。この欄干の意匠には見覚えがあるな?


いて「南蔵王林道」に向かう。

道路は林道はいよいよ横川を離れ、登り始める。


@10、途中で地図に無い枝のさらに
枝らしい沢を越える。
橋名が見当たらない???


ヘアピンと直線を長く繋いで登る
荒れ気味だ。


@11、またしてもヘアピンの合間に橋梁?。


@12、流れ出た沢水が橋の上も川にしている。


小さな法面崩落。一般はともかく、
管理者のスルーは如何なものかと・・?。


@13、橋はついに13を数えた。暗橋も4つは確認。


ひら仮名で「みなみざおうおおはし」とある。何処かで見た意匠だな?と思ったら、新沢橋の親柱に似てるな?


竣功昭和36年。どうやらこの辺の年がこの林道の竣功年だろうか?。

 ヘアピンの度に沢越えをしつつ、長い直線で一気に標高を稼いでゆく。
 因みに横川と交わる橋の区間の標高は800m程度、鞍部は1100mもあり、それを僅か2kmくらいで登り上げるのだ。途中には恐らく災害時放置であろう軽ワゴン車や降雨観測所などもあるが、山チャリで来ようものなら、県境の南蔵王林道接続地点までのガチンコタイマンバトルで在る事は疑いない。

 登り区間にはいると、傾斜角もさることながらその荒れ具合も拍車がかかる。

不忘山降雨観測所(多分)。耐雪構造でガッチリ作られてます。

 かつて台風通過直後にジムニーで走った際には、この辺の法面から(普段は全く水気のない溝や穴)から幾つもの水柱が延び、場所によっては法面から林道中央に水が注がれていた事を目撃している。差し渡し3~4mは「放水」していた訳だ。


災害時放置であろうスズキエブリィワゴン。回収に来いよ、持ち主は。

 またこの山登り区間では、初めて訪れた際に件のヘアピンつづら折れで落石と土砂崩れに取り残されたマーク2を目撃しているので(この時は幸いバイクのみ通行出来ましたが)天候急変前後のこの林道への立ち入りはかなりの危険が在ると言えよう。
 そして標高1100mの分水嶺に到達する。

 不忘山林道の終点はこの峠であり、ここは山形側の南蔵王林道の合流点でもある。峠には車10台ほどが駐車できるスペースがある。
 またY字路でもあり、さらに北側の尾根沿いにある船引山山頂登山口及び横山堰(所在地は七ヶ宿)への管理林道もある。

 駐車場から一歩南蔵王林道に踏み込むと、上ノ山を一望出来る眺望に恵まれる。


調査日(08/05/3)の状況:
 道路自体は一般の広域地図に載っている有名林道、ツーリングマップルにはいつの間にかお勧めから除外されている。思うに、あまりに通行止めが長期間の為、旺文社に「記載されて情報と違う」等々のご指摘が絶えなかったのではないかと邪推している。
 路面状態は良好、橋や一部の暗橋がコンクリート化されているが、殆ど手つかずのダートが原生林の中を通っている。文中にもあるが水源地なので雨期の林道突破は熾烈を極め、場合によっては命に関わる。
 道路幅自体は確保されているので大型オフ車でも十分堪能できる林道である。
 通行量も多く、平日は業務用大型車の対向に、週末は山菜や釣り人に要注意である。



最後の登り区間、つづら折れ。
長ぁーい直線とコンパクトなヘアピンで標高を荒稼ぎする。


舟引峠。
南蔵王林道終点側(南側)から不忘山林道終点を撮影。
写真中央が不忘山林道、左手の登り道が横川堰への管理林道である。




舟引峠から上ノ山を遠望する。ここは既に「南蔵王林道」である。



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