プロローグ

某所9:00過ぎ・・・。

この風には覚えが在る。
ずっと昔、七ヶ岳スキー場でエンデューロレースのピットサポートに付いた時だ。
ヤケに赤土の土臭さが、初夏の湿度と一緒に上空から吹き降りて来る・・・その匂い。
その割りに、湿気にはタップリと新緑の爽やかな香りが纏い付いてる。

懐かしいその香り・・・・。
その日、特別参加のクセにぶっちぎりでレースに勝ったウイリー松浦氏の無限CRMのエキゾーストが耳鳴りのように思い出される・・・。

そして違和感。

現実には本当にスキー場の様な広大なゲレンデの上の、林道の上に僕ら単車と共に居た。


正確には、MRとおぉじいさんは、寄る年並から(失礼!)降りる事が出来なかったのだが。(核爆!しかも自爆!

だが、
現実は更に過酷な行程を用意していたのだ。
この世には悪魔しか居ないと思える様な、そんな道が・・・。


ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。




2012"初夏のコワい物見たさ"Tour


「集結」その後、給油のため志田浜のGSとセブンで休憩する。
イヤイヤ、休んでいる時間は実は殆どナイ。


 コワい物が見たい
 人達

志田浜7:25分頃・・・。

 お告げ(笑w に因って本宮で集合した我々は一路羽鳥湖に向かう。ルートは何時もの中山峠越え〜猪苗代湖南〜羽鳥湖なのだが、今回は時間節約もあって布引山風力発電所経由ではなく隣りの馬入峠経由とした。
 一度志田浜で給油も含めた休憩を入れて、湖南沿いの国道294号線に出る。
 江戸時代以前からの古い峠である馬入峠は現在県道235号線となったが、かつては隠津島神社から先は獸道で、バイクもやっとの道であった。
 が今は細いながらも舗装林道となっている。特に峠付近は完全一車線で車の擦れ違いは出来ない"険道"となっている。
 ウネウネと続く林道を抜けると国道118号線に合流する。
 羽鳥ダムの上を抜け、古い隧道を越えると羽鳥湖を周遊する県道37号、通称"白河羽鳥レイクライン"を、かつての天栄村直売所、現在は「道の駅羽鳥湖高原」となった集合場所に集合時間に僅かに遅れて到着する。

 
なんと!集合場所にアノ人が !! そう、集合場所の主、紅白饅頭さんである。まだ完全復活とは言えない様だが、思わず笑みが溢れる。
 既に熊五郎さんと談笑していたが、改めておぉじぃさん、Sさんらと双方をご紹介する。
 内心
「ハイブローな組み合わせだぞ!これは!」と細く笑んでしまう。

 早速、行程の提案が熊五郎さんからあり、彼曰く「コワいもの見たさ」なツーリングと銘打っていたが、この時点では全員
"あれ程酷いとは思わなかった"だろう。

 まずは肩ならしという公開不能の某所で遊ぶ事となった。こーはく氏からリポDのご奉仕を受け、道の駅を後にする。


でも、ついマッタリしてしまう
朝飯なんか食べてるし。


隠津島神社の巨大な鳥居がある。
見事の一言。


郡山から天栄村へ。
ここが馬入峠。


県道37号沿いの「道の駅白河羽鳥」には、あの主が・・・!。


道の駅10:30分頃・・・。

 久し振りに古巣とも言える集合場所に顔を揃えた紅白饅頭氏と別れてざっと2時間後。我々は再び道の駅前を通過してハンドルを西に向けた。
 ブリティッシュヒルズに向かうつづら折れは相変わらずの急斜面で15%を越える所では流石のオフバイクも息を切らす。
 だが強心臓に生まれ変わったTTRは傾斜をモノともしないで登って行く。
 むしろ心臓より肺の方が心配な標高だ。そして道はパタッと左に折れて、標識が今度は羽鳥スキー場に変わった。
 羽鳥スキー場に向かう4台のオフバイク、その先頭はお馴染み熊五郎さん&DT200改である。
 相変わらずステディな走りにビタっと付いて逝くのはSクン&XR250R,、この日の為に磨き上げられた銀輪が生き物の様に踊っている。



熊五郎さんを先頭に某所へ。


霧の某所、なかなかに手強い。


再び道の駅へ。



キタキタ、羽鳥スキー場。
あの看板の左手に、
地獄がある。


 やや遅れて3番手がMR&TTR269改、通勤のままなので零度タンクのBox付き通勤快速仕様だが、タイヤはちゃんとアタ用のものだ。そして殿はおぉじぃさん、甲子林道は過去に走った事が在るそうだが、旧西部林道は判らないという、グフフフ・・・?

 想定外の? 3

 などと善からぬ事を考えているウチに分岐点に到着する。
「さあ、誰から順番に逝きます?」悪魔の微笑で熊五郎さんが振り返る。周りには霧が立ちこめ、林道の奥がちょっと霞む様な感じ。
「雨で濡れてると赤土の地肌ヤバいんですよ」とおぉじぃさん。
「ええ、ですねぇ」
Sクンは全く不安感がない。おぉじぃさんに絶大な信頼が在るのだろう。
「んまぁでも、30分も在れば大丈夫ですかね」
とこちらも余裕の熊五郎さん。


なんだコレは!やはり只の豪雨ではなかったのか・・・?。


 後日熊五郎さんは「自分の何気ない台詞がマズかったのかもしれない」と唇を咬んでいる。ナメては行けない林道なのだ。

 先頭はおぉじぃさん&セロー、二番手にDT200改の熊五郎さん、XR250のSくんが続く。殿はMR&ニコTだ。スキー場の浄水施設を過ぎて最初の写真を撮る頃には、先行の3人はたちまち見えなくなっていた。
 おぉじぃさんはこういう道がメチャクチャ早い
(いやまあ、普通でも相当早いが)なんとあの熊五郎さんが追いすがれない。

流石玄人最初から達人(さすがくろうとハナからプロ)最初のBH手前の路盤ダダ流れの所でようやく追い付く。殆ど待つ間もなくSくんのXRも追い付く。

「気を付けよう。
  優しい微笑の
セロー乗りは
 危険のサイン」

の標語?通りと彼(熊五郎さん)は語るが、MRから見れば彼も同類である。またそのペースに事も無げに付いて逝くSクンも侮れない。ここで順番が変わって先頭は熊五郎さんになる。

その頃、殿のMR。

「何かマズい事が起こってる・・」


道路が剥がされ、流されて行く。


うわ、ドコ走れば良いんだぁ?。


初観測のBH!。 すっかり開口部が整理され、頑丈そうなフタが付く。
イヤイヤ、騙されてはイケナイ。


「ぐも〜ん!」そうは言っても穴自体は健在だし、深い。


 MRがいきなり写真を撮り出したのは、最初の道路を横断する側溝の路肩に深い洗掘を確認したからだ。
 間違い無く
大量の雨水が林道に流れ込んだ証である。
 これは荒れるのが早すぎる、つまり
荒れてる距離も延長されていると言う事だ。
 案の定側溝は完全に流失、そして恐怖の霧が再び立ち込める。

 メドの立たない穴。 4

「荒れている・・・想像以上に」
 二番目の横断側溝は、あのHBH(羽鳥ブラックホールが最初に確認された所だ。
 最初の穴も、見付けた時から比べると逆に小さくなったし、現実として穴に渡された側溝のフタの為に開口部は確かに小さくなっていた。


カベの様に見えるのは洗掘された横断側溝。
どう見てもダムだよな?


側溝はダム化。



ダムにブチ当たった激流は路肩に放り出される、
水量、水圧ともにかなりの勢いか?。


「沢?澤ですか?」
と聞きたくなる様な道の佇まい。


これはハーフパイプ?。
「流石スキー場、でもココには
要らない」



「ば、爆裂してる?」
こっちから上がれるから・・って、上がれるの?
俺。

 
 だが深さはあの時よりの深く、また南側の枯れ沢に水が抜ける出口も、前回以上に開口部がドデカく変貌していた。
 しかしそれより驚いたのは、その先の道の佇まいだ。

 多いかぶさる森の木、拳大の岩が浮き石となる、洗掘した粗い・・もとい洗い出しの路盤。
 それらはここが、もう林道では無いという事象を指し示していた。

 三つ目の道路を横断する側溝が、ダムとなって手前の道路を抉り採っている所で、MRは戦慄を覚える。
 道はまるで生きて進化しているかの様に変化していた。いや、化粧となって深化したと言うべきか。
 最早カンペキに違う林道となっている。イヤイヤ廃道か。

 先行する3台は、その完璧なる廃道に、踊る様に走る大峠マスター熊五郎さんをビタリと追うSクン、おぉじぃさんが連なる。

その前には、 超巨大ブラックフォールが立ち塞がる。
 まるで爆裂したかの様に
巨大な滝壺と化したその情景には、林道の"り"の字の面影すら無い。
 流石のおぉじいさんも一瞬たじろぐが、先頭の熊五郎さんが間髪いれず対岸の壁となった所の、一番なだらかな所から勢いを止めずに登り上がる。
 反射的にSクンも同じ立ち位置から登り上げる。とは言え、2人ともやっとこ登り上げた状態で、手強いの一言に尽きる。3番目のおぉじぃさんも一呼吸置いて食らいつくが、ちょっとセローでは出足が力及ばず滝壺に呑まれる。だがここは小型軽量のセロー故にすぐさま押し上げた。
 やっと3人が這い上がった所で、殿の重量車、ニコTとMRが追い付いた。

「最悪ここから上がれます!!」というおぉじぃさんの指示(最初から最悪かよ)に、意を決して突っ込む先は落差1mはあろうかという赤い壁だ。



「転落と言うより墜落!!」

と言うかフォールダウン(堕落)?。


「オラァ!!!」
よし!登ったぁ!と誰しもが想った瞬間、ピタリとエンストしたニコTごと滝壺に落下するMR。
「しょんなぁ〜(泪」

 しかし、そのまま横倒しにはならずに、滝壺にハマる格好で沢沿い?の洗掘に落ちる。
 セルでエンジンを掛けて、しかし左右にガッチリと挟まったTTRのドコに手を掛けて良いのか判らない程である。下から押す人、上から左右に引っ張る人と別れて上げる事となり、そのまま"滝登り状態"で引き上げる。


洗掘が熊笹に覆い被されて行く。
足下が見えねぇ・・・(泣w。


「超巨大!!」ほぼ、軽自動車が入り切らない大きさ、深さ。


左右真ん中に洗掘。ドコ走ればいいんだぁ〜〜!


 エンストばかりでエンジンのかかりが悪い。ここら辺から次第に地獄の苦しみが始まる。
 暑い・・・熱い・・。バイクを押している時間が増えるごとに、霧が立ちこめる深い緑の林道の気温があがってゆく。思い羽音と共に親指程の大きさのトラ色の昆虫が飛び始める。
「マズいな、旋回を始めた」早々に移動を開始する。

 更にその先にもう一つHBHが・・・
「でか」
2m四方の巨大な、まさに「ホール」と呼ぶに相応しい
穴。
と言うか、この辺、そこらじゅう穴だらけだ。この穴、反対側からジムニーなんかで来ちゃうとブッシュで確認出来ないうちに転落しかねない。
 さらに周辺は惨憺たる状況だった。蛇行した洗掘が悪さをしているのだろう。
「ここはブラックホールの巣だ!」
 
気温の上昇と共に霧が晴れて来て、それは遊弋する危険昆虫達が活動を始めるファンファーレと言えた。
 立ち去りたくても早く走れないこの路面、なんと洗掘は三条あって、必ずどれかに落ちる仕掛けになってやがる。もう全身汗だくである。
 意識がもうろうとして、リアBoxから荷物が落ちた事すら気が付かない。
熱中症か?
 
 
それにしても、道の上には沢が在る訳でもないのに、この流水は異常である。酸素が足りないアタマで原因を考える。


荷物も落ちる「河原」。


蛇行する沢が、やがて穴を作り出す。


「突破」いやぁ、死ぬかと思った。(爆


でも、甲子は見に行く様だ。みんなタフだよ。


DT200改を先頭に甲子林道に向かう。西部林道は良好だ。


 そんなだから草むらに隠れた小型BHを踏み抜いて、命からがら脱出する。
 遠くSクンの背中が見えるのでグループ全体のスピードも相当落ちている様だ。汗が止まらない。
と、唐突に林道に躍り出た。
「おめでと〜ご苦労様」
 MRは拍手と掛け声に出迎えられ、旧西部林道廃道区間を突破した。
"おめでとうといって拍手される"のは、カンベンして欲しい所だが。


流石に道幅と共にアベレージも上がって行く。


唯一の法面崩落。既にブルで均されている。管理も良い様だ。


 そして、奈落の底で。 5

 アンダーを脱いで林道に搾ると、まるで雑巾掛けの様に汗が滴り落ちた。
 この約2Km程の廃道で、3Kgはオチなんじゃないか?と思える程の分量だ。見ると時計は1時を過ぎた所、腹ごしらえと言うより間食の感じで食べ物を頬張る。
「ハラ減った〜」こんな状況でよくメシが食えるな、Sクン。しかも足りないらしい。MRはとても食欲などないので、彼に買い置きのお握りをあげると、喜んで腹に収めた。
え?もしかして疲弊してるの俺だけ?
 休みながら話し合い、甲子林道は取り敢えず現状確認の意味合いも兼ねて、まずは逝ってみる事とした。この西部林道旧道の荒れ具合から推察すると、甲子はヤバいのでは?
「本当にコワいもの見たさですね」ちょっとすまなそうに熊五郎さん。
「いや、本当ですね〜」と笑顔でおぉじぃさん。
「いや、ビックリしましたよ」と嬉しそうにSクン。
その笑顔、あんたら、ぜんぜんコワいなんて思ってねーだろ!
 甲子林道の三叉路までの道程は比較的安定していた。途中一カ所に村か営林署が片付けた土砂がまだ残っていたが、良い道である。

 
問題の甲子林道前も素敵異様な雰囲気だった。



林道から大量の水が流れ出した跡で西部林道の道床も洗掘されている・・・。
ハナから沢かよ?どんだけ流されてる?


 林道から流れ出た多量の水が、西部林道を横断して東側の沢に崖崩れと共に流されていた。その水は横断地点を階段砂丘に変えて深く抉っていた。
「マジかよ」

 林道は完全に笹薮に覆い隠され、路面が見えない。更に言わせて頂ければ、今年は1台も車は通って無いのではないだろうか?砂利に残るトレッドパターンはみなバイクのばかりである。
「逝きます!」

 覚悟を決めろとばかりに熊五郎さんが言い放って
"トツゲキ!"


西部林道起点標柱が在る。
甲子林道の表記は見当たらない。


「ハイドロモノレール(廃泥単線)キタよ、洗掘一直線。


 おぉじさん、Sクンがコレに続く。ところが
今度は全然差が付かない。怒濤の熊笹に見えない路面は最凶のタッグが組まれていた。
「ウヒ〜〜(泣w
 それは洗掘された赤土の岩盤剥き出しの上に拳大以上の川石が"凡て浮き石"化した路面だったのだ。
 そして、出ました!ハイドロモノレール、幅2m程度(見た目は1mを切る様に見える)の道幅にユラユラと法則無く一条の洗掘軌道が踊っている。
 4台はそのレールが敷設された対岸を走る訳だが、途中で何度もレールを跨いで対岸に渡らなければならない。
 それはまるで森林鉄道の沢越えが川幅の一番狭い所で架橋する道筋に酷似して来る訳だが、実際は足下に無限に転がる玉石によって思う様に進路が確保出来ないのだ。
「うおっ!」


たちまち捕縛!


脱出不能。ここで20分位もがいて、やっと抜け出す。

 殿のMRがまたしても玉石にフロントを乗り上げる角度が甘く、フロントが越えた物のリアタイヤが溝に落ちつつエンストしてしまう。
 するとまるで、魔法の様に跳ね上げたフロントが洗掘の上に跳ね返る様に戻ってしまうと、僅かに切れ込んで落ちる事を辛うじて持ちこたえていたリアのツーリストが路面に打ち込んだブロックごとタイヤが崩れて落ちてしまう。
「ああっ!! マジでぇ〜〜(泪w」
堪えられない・・。



「ハイドロダンス(廃泥蛇行)
悪夢は続くよタイトロープダンシング。
今写真を見直しても、
まさにこれが「石と泥の祭典」と言う感じですなぁ(爆。


 まるでアタリマエの様に、イヤイヤ、あつらえた様にスッポリバッチリ洗掘にハマるニコT。
 前を走っていたSクンがたちまち視界から消えた。遠く右奥から熊五郎さんのチャンバー音が響き、遠ざかって行く。洗掘の底にリアタイアは全く到達していない。あと10センチ以上在る。
 その為、押せども引けどもびくともしなかった。
 フロントを引き抜き一速に入れると前だけ登り竜のように持ち上がる。凄いぞツーリスト!このまま横倒しにして・・・・
倒れない。
 幅が狭すぎるので少し後退した所でもう一度アタック、フロントが上がった瞬間に角度を変えて脱出するも、そのままバイクが林道から飛び出し、今度は路肩から林道に復帰する。
「つ、疲れたぁ・・・」
 全身汗だくで湯気が立っている。
 ヘルメットを脱いで暫しの休憩。セルモータでの掛かりが悪い。さっきの西部旧道で大分酷使したからなぁ。


ほぼ"波打ち際"。


だぁ〜〜。ますます荒れる路面状況。


 
あまりの遅さに熊五郎さんが様子を見に来てくれた。どうやらそんなに距離はないらしい。
え?と言う事は・・・?、
 あのメンツで攻めて、そんなに猛烈な路面なのか?

「正解!その通りです(笑w
 その奥にはさらに凶暴な洗掘がまさに思いのままに、縦横無尽に路面を洗濁し続けていた。ただ、一部に草刈りした様な平場や、洗掘した路面をショートカットしたルートも散見された。GW明けにカブで走破したブログもあるらしく、それではないかと思われた。


石デカすぎ!
腕もパンパン足はフラフラ、地獄です。


撤退? いやあ厳しい、やっぱり国道開通から手入れされてないのだろうな?。


 MRは熊五郎さんに連れられヘアピンを登り切る最後で、先行して待っていたおぉじぃさんと合流すると、おぉじぃさんが沈痛なおもむきで口を開いた。
「撤退しましょう、コレは今日は無理です」
 合流した彼の意見は冷静に時間を俯瞰すれば、それは正しい選択だった。
 時計は3時を過ぎた所、全体の1/3にして休憩場所である通称"展望台"にまったく届いていない。現時点で未舗装区間の1/5にも満たないかもしれない。と言う事はここまで1時間と見て単純に甲子峠には4時間後の夕方6時頃だろう。確かに時間行程に無理が在る。

 脱出、そしてエピローグ。

 結局道の駅に戻ったのは4時だった。
帰る頃には既にニコTのバッテリーが完全消耗する程エンストを繰り返し、最後にはキック以外で掛からなかった。故障となればこれ程の廃林道の走行は無理だろう。加えてMR自身も熱中症気味で変調をきたしていた。
 おぉじぃさんの判断は正しかったと言える。
 また熊五郎さんはカエルコールが届いて、早々に帰宅となってしまった。
残された3人は道の駅で遅い昼食を摂って志田浜のセブンで解散した。

 後日、我々が入る一週間前に他のグループが夕方に突入して一晩中掛かって走破したブログが見つかった。
 MRは改めて感心した。
「おぉじぃさんの選択は、正しかった」と。





●甲子林道(鎌房林道/天栄村村道2008号線)
 
区間総延長:17.7Km(今回走破距離:約2.1Km/全線未舗装(廃道))

調査日(12/07)の状況:

入山禁止、マジヤバい。



次の旅日記にゆく。