林道日記(OFF-ROAD・DIARY)

ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの覚え書きです。
ですので、スポンサー以外のクレーム一切お断り致します。
走行距離は主にバイクで測定し、旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。
また、掲載される内容は
必ずしも最近の状況及び写真ではありません。
走行日を良く確認し、一か八か?役立ててください。



このContentsは、適当に増殖します。


林道日記
(OFF-ROAD・DIARY)
075


実質二日間で300mmの豪雨。
まさに、
「バケツを引っくり返した様な」
と言う表現のまま・・・

降り続いた雨は山を溢れ、
保水能力を失った山肌を、
地鳴りと共に
土石流が襲う。

この林道が助かったのは、
万に一つの
偶然か?





路傍にある工事看板の地名に語彙検索が引っ掛かる
大規模林道飯豊檜枝岐線の最終区間にある「小峠」にて。


●災害の爪痕を残す新規林道。

 普段我々が使う地図に、林道が企画立案/開削制作/開通掲載されるまでのタイムラグは一体どのくらい在るのだろう?。同じ公道の範疇に在る普通林道は、実際の所は町中の路線変更より遥かに遅く、競争させれば兎と亀どころか徒歩と新幹線くらいの差が在るのではないだろうかと思う。



ゲートにはバーが無く、チェーンにはカギがかかるが・・ノープロブレム。
因に、旧道が写真右手から合流してますが何か?。



小平沢林道?平沢林道?平成24年11月末日まで工事中。12月からは多分冬期通行止めでしょう。

 
平沢林道は国有林を市町村が借りて林道を造り殖産振興を促すもので、その仕様は当時の緑資源機構の林道開削マニュアルに準じたものだろう。
 例えば郡山〜猪苗代にある中山都沢線などはようやく先月、開削が終了して全線が繋がり、今年度一杯で道路の舗装や安全設備の設置、法面/崖面の補強工事等を経て、平成25年春に完成するだろう。たかだか8Km程度の林道に工事開始から実に22年が経過してる。
 そして実際に地図に載るのは早くて2年後くらいだろう。
 
 さて、本題の平沢林道。
2~3年おきに買っている聖書Tマップルに平沢林道が初めて出るのは2003年度版からだろうか?2005年には小豆温泉から川沿いに細〜い道路線が描かれだして、08には林道全長の半分が点線表記で登場!2010年には林道名が表記され林道の指定がある。

ところが 2011年!!

 2011年秋、あの会津線に打撃を与えた「平成23年7月新潟・福島豪雨」の際に檜枝岐村も猛烈な豪雨に見舞われたのだ。国道352号線は土砂にのまれ、民家の裏庭まで土石流が迫った。
 勿論、この林道も大打撃を受けたハヅである。
 只見に一日300mmの雨を降らせた集中豪雨、この平沢も相当荒れ狂っただろう。その為川際の路盤が押し流されたり、法面が枝沢に崩れたりしていた様だ。。
 そしてこの日、実際に赴いてみると林道の前には工事中の看板が・・・。
さあ、平成生まれの林道は今どうなっているだろう?いざ初めての林道へ。

TouringMapple2008.3版より掲載開始!初登場!林道表記。


林道内に突入、じつに快適。


渡河が在る、水は無い。
いわゆるジャンプスポット?


この辺はちょっとドロドロ?暗橋が在る。


ここは路肩が川に流されている。
何気に沢まで10m?の落差。



工事現場?え、ここ?。
どうやら林道本線は直進の様だ。三叉路右の林道は開削中?修理中!?


●ふるさと林道 平沢線
区間延長:約6.9Km
未舗装区間:6.6Km(本線を含む)

舗装区間:0.3Km
   (キャンプ場前接続道路を含む)

 林道の入口には工事看板がありゲートはチェーンにてクローズしていた。
 工事看板の表題は「小平沢林道災害復旧工事」?平沢ではなく小平沢ですか?よかった平沼林道じゃなくて。
 きっとスゲー水没隧道や高い吊り橋が在る相当オブな廃林道に違いない(笑w
 それはさておき、地図的にもここで間違い無い筈なので取り敢えず入ってみるか。さっそくゲートの外からバイクを入れてみる。
 それにしても終点側は標柱は勿論、何も表示が無い。工事看板が無ければ少々奥目に在るゲートを見逃してしまう所だった。実際、後から追って来たジムニーはここを見落としたらしい。

では逝ってみよう。

 終点側入口からの林道は極めて穏やかに移推する。この林道は終点付近がルート中最も高い標高を稼ぐので、今日はダウンヒルとなるが、特に目立った外傷も無く林道は淡々と下ってゆく。時折、沢渡りも交える良い林道だ。この内容なら大型バイクも走れそうだ。
 幾つかか細い平沢の源流とおぼしき所に僅かに路面流失の前兆が見えるが、キチンと危険を示す表示があって発見し易い。
 と、気が付いた所で、気が付いた。
 作業用ダンプの轍と、ぬかるんだ路盤に砂利を充填した跡がある。作業用車輛が峠側から入る理由は、土建屋の近道か、林道の入口前半が通行不能かのどちらかだろうか?
 実に全体の4割ほどを走った所で思わず三叉路にブチ当たった。

 ちょっとした広場になっていて、道路工事事務所が進行方向左(西)側にあり、実際の工事現場は反対側の右(東)側の様だ。路肩に林道標柱起点を確認するも、肝心の林道名は表記が無い?あるいは消えたのか?とにかく判らないが、道はある。
 特に封鎖がないので先遣隊?が様子を見に行く。その間に地図確認するも、やっぱり三叉路なんて無い。
 取り敢えず地形から見て、現在位置をおおよそ把握する。

 
結果論から言えば、これが平沢林道支線小平沢林道と言う事だ。
 先遣隊に因れば、工事は古く細い伐採道を道幅3mの林道に直しながら広げているとの報告だった。災害復旧を名乗るくらいだから、もともとの伐採道が落ちているのだろ。車が入れないので車道を造りつつ進む「限られた予算で一石二鳥作戦」と思われる。
 そして、ここから先がまさに通行不能区間だったのだ。


林道起点標柱はあるものの、名称が無い。


盟友が先遣隊として突入、帰還。
「道を作り直していますね」


小平沢林道は取り敢えず置いといて、
平沢林道本線に改めて突入。


ちょっとだけ、登り。
罠っぽいな。


渡河だ!好いね、林道ポくって!


大丈夫そうと見せかけて、
オーバーハングに路盤下が抉られているという



法面からの鉄砲水にヤられた林道。


 それまで林道の優等生だった平沢林道は工事現場を過ぎると突然グレ始める。入ってすぐにダブルトラックになって、中央の雑草も次第に高くなって行く。
 日当りの良いよく踏みしめられた道は未だに林道らしく、渡河地点は玉石組でグレートな作りだが、ちょっと日陰の水はけの悪い所はたちまち雑草にまみれ始める。

 
そして、唐突に路肩欠損から荒廃が始まる。
イヤイヤイヤイヤ、よく見ると川側はオーバーハングに抉り採られ、岩盤剥き出しで止まってるぞ。


気分はすっかり高揚、
「なかなか面白くなって来ましたね」



側溝周りが流失。ううむ、羽鳥ブラックホール並だな。


 
続いて、法面山側からの鉄砲水だ。読んで名の如く、主に沢水が一気呵成に流れ落ちるアレだ。鉄砲水は割と範囲が狭い分水の流れは速いので、それなりにコワい。
 土石流の様に泥や表層を削り取って流さないので林道は破壊される物の泥や岩石、材木等は少ないかもしれない。
 鉄砲水で破損した路肩を抜ける頃には二人とも段々テンションが上がって来ている。
 平沢から一時的に林道が離れると、終点付近の様な平穏な表情が戻るが、それは長く続かない。
 暗橋や側溝の在る所では増大超過した雨水に水路がパンクし、濁流が路盤を押し流していた。
 
まさに水と言う水が山から溢れ出し滲み出し、一直線に平沢に殴り込んだ感じなのだ。
 これでは、昭和60年代の規格で作られた砂利転圧仕様の林道など、ひとたまりも無いだろう。
 やはり、実質2日で300mmの雨量はハンパじゃなかった訳である。
 全体の2/3を過ぎて平沢の川幅が広くなって来ると、林道は完全に河と平行に列んで作られ、
その後も続々と路盤欠損が現れる。
 特に土石流で流失した道路と残された残土のコラボなどは実質1年以上も車の進入を拒んだままであった。

 二度目の三叉路は矢張り広い土場を伴っていたが、名も無い支線には平沢を渡るコンクリート橋の欄干でチェーン規制があり、進入を割愛した。
 道路が寸断寸前の平沢林道ではあったが、それでも2台は何とか小豆温泉キャンプ場に辿り着いた。
 起点ゲートは何故か遮断バーすらなくウェルカム状態だったが、その手前には
貧弱なトラロープの災害通行止めの手書き規制があり、「1年間このままなのかよ?」と驚いた。


山側はカルい土砂崩れ、
沢側はモノレールがそのまま川へ
(爆!


ここは岩盤が無かった為にオーバーハングが崩落してしまった。
残り1mの道幅。



土石流の凄まじさ。
山側左を見ると、ウォータースライダーの様に真っ直ぐ流れ落ちた土砂が延々続いている。
写真手前右側は完全に川に崩落。ここが事実上の車止め。



正体不明の三叉路に出る。撮影側手前から写真右奥が平沢林道本線だ。


単車に優しい簡易通行止め。(笑w



「この先林道決壊のため通行禁止?」
イヤイヤ、もはや崩壊だろう?
 
 ゲートを過ぎると、部分舗装の後目にも鮮やかな舗装林道が現れたと思ったらキャンプ場に合流する。
 そして、起点標柱も見つからないまま、舗装路は国道352号線に合流した。被災した林道ながら、下りでの突入も在って、無事通過は幸運だったと思う。

調査日(12/10/7)の状況:
 
基本的に通行止め。
 本林道は平成23年の集中豪雨により林道決壊の為、基本的に通行止めの林道です。
こういった災害道路に慣れた方以外は進入をお薦め致しません。また進入は自己責任でお願い致します。
 今年度(平成24年度)は支線の小平沢林道に改修工事が入っています。
平日の林道への進入は控える様に宜しく願います。


その先に本林道の起点側ゲートが在る。
起点標柱は未確認。
簡易舗装は荒く、100m行かないうちに完全舗装。


起点標柱かと思ったら、造林記念票のようなものだった。くすん。


小豆温泉せせらぎオートRED BEANに接続。
キャンプ場は写真左の平沢を越えた橋の先になる。
撮影地点のすぐ左が管理事務所だが、10月の連休には既にクローズだった。


 また、支線を2本確認しましたが今回は割愛しました。小平沢林道は工事中、もう一本の不明林道はチェーン規制通行止めです。
 起点に在るキャンプ場は7~9月までの会期で、この日は冬期閉鎖でした。

小豆温泉せせらぎオートキャンプ場レッドビーン
(直訳かい!)
http://www.ina-area.co.jp/modules/ina2/
小豆温泉の入浴料が割引になるサービスがある。



ああ「ふるさと林道」なのね。


伊南川を渡ってR352に接続。ああ、面白かった。