廃道日記(Riding・Report)











厳冬の雪洞へ













ワイド版 中編(笑。

前編:二ツ小屋編に戻る。



廃道日記 50-2 2022旧国道13号線「厳冬の万世大路/栗子米沢抗口」

「氷の宮殿」

リンク先の皆様は
もう10年のも前から
その美しさの虜だった。
毎年正月過ぎに訪問し、
その年の年末の忘年会で
その氷の宮殿の話をする。

あれから10数年、
コロナ渦で忘年会の話も無いまま
今、僕は彼等の見た
宮殿に迫る。



ご使用上の注意!
このデータは、
あくまでおいらの走った
ルートの覚え書きです。
走行距離は主に
バイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて
無断で補正しています。
また、
掲載される内容は大変危険です。
当サイト掲載内容による
いかなる被害も、
当方は保証致しません。



 
日を改めて一週間後の2月11日に萬世大路栗子山隧道米沢側抗口を目指し出発した。
 
この日は初っ端から大きなミスをした。
 スノーシューの大袋にストックを入れ忘れ、採石場入口の駐車場から採石場事務所までを徒歩で一往復する羽目になってしまった。



積雪は約1m程度だが、大分圧縮去れてる感じ。

 この日は採石場の設備点検と補修のための業者約15人程が出入りしてた為、2回目は事務所裏の駐車場までエブリィで登って来てしまった(汗。

 このアクシデント(ボケだろう>俺)で、
出発時間が1時間近く遅れ、瀧岩上橋から突入が11時半になってしまった。



 本命に向かう。 5
















採石場入口から場内までは除雪されていた。




















採石場事務所。萬世大路入山記帳所でもある。


 雪道を伝って雪洞へ。 6







 
やまやまGPSによれば片道約4.5Kmで2時間、往復 9Km
の踏破に4時間半と鑑賞時間を鑑みて3 時過ぎには下山だっ
たが 4時半にズレ込みそうだ。             
単独なので出来れば陽のあるウチに戻りたい所だ。 








 
「さあ、気を取り直して行こうか」   
  
   果たしてこの時間距離がトレッキング初心者にお誂
え向きのルートなのか? それは終わってみてのお楽し
み、だ。 旧道の前にズラリと並んだ10tダンプは完全に豪雪に
沈黙し、もはやモアイの如き曲線で僕を見下ろしている。    



















さあ、往くか!。ここからが雪道

  
   道は唐突に除雪スペースを外れ
  ると本来の1mを超える積雪に変
  わる。

   目の前に見える足跡は10人程度。
  観光化した二つ小屋から比べるとこちらは
  雪山登山的だ、歩くルートにあまり変化が
  なく、皆さん最短ルートを黙々と 歩く感じ
  だ。除雪スペースからの段差は60センチく
  らいだけど
目前の瀧岩上橋は橋の親
  柱や欄干の遥か上に雪道がある状態だ。
   
恐ろしくて橋の脇に近づけ
 ない。




 
     親柱は完全に埋没(笑。
  看板はかさ上げされているのだろうか?。


 

   それでも路肩に撮影に歩く人がいるぞ?。
      
何て命知らずな!



   やがてゴボゴボという覚え
  のある水音が聞こえてきた。
   そう、駐車場ヘアピンの道端に設置され
  た工場用の取水タンク兼フィルターである。


  




















30センチ程度の踏み跡が続いている。
















瀧岩上橋の上は1mから
積もってます。
欄干より30センチ積雪とは事実上の
雪屁だよな、
コレ落ちたら死ぬな?


















「マジか?」



初夏の水取タンク!
それでも高さは1.5m程。
Photo:2021.7



















 振り返ると見覚えのある線形と位置。
「!、ここゲート前のヘアピン出口か?」




昨年確認した明治道も1m以上の積雪に埋没
僅かに頭を覗かせる「明治ノ泉」標柱。

















 この足下にあのチェーンゲートがあるのだ。



  縦横約1.2m×2.4m 深さ
1.5mの鉄の箱が雪に埋まって
いる!
もうここで積雪2mなん
かーい!          
ヘアピンを折り返すと、例の通行止め
チェーンのある広場が・・・・
無い。




誰か独りショートカットしてる…
明治道を登って来てると判る足跡(笑



(笑





























ゲート前の筈なんだが?。完全に埋没


初夏の警告標識!高さは1.5m程だ。
Photo:2021.7       


雪原となって道成り直進になるのか!
積雪は大体2.5m程だろうか?。ちなみに看板で1.8mぐらい。
Photo:2021.7


















 
最早周りの自然と一体となって広い雪原に変わってる。
「そうだよ、全部雪の下だもんな」



窪地に埋葬されてます…(笑。
風の通り道なのか?看板位置の壁沿いの窪みに
標識を見付ける。


七曲がり一のむすり…。
「むすり」ってヘアピンコーナーの事ね(笑


















 
この時初めて、昨年予行演習的にセローで米沢坑口まで登ったのは全く下見にもならないのでは?と戦慄したのだ。
















「伝えておくれぇ12月の旅人よぉ〜」
真正面に太陽の光を浴びて、1人雪原の一本道で大瀧詠一の喪失感が口を突いて歌になる。


ここ、ショートカットされてる。
一のむすりから3のむすりに短絡している(笑




  
  
俺も別にSCして3のむすりに到達。
   キャメラは二のむすり方向を撮影(笑



   二つ小屋の時もそうだが、スノートレ
  ッキングで重要というか問題なのは、必
  ずしも道路なりに歩く必要は無く、標高
  差を地図や地形から読み解いて歩く事が
  肝要では無いかと思う。
   
誰しもショートカットで何処でも歩け
  る訳ではなく、どうしたら安全で疲れな
  く登り、楽に早く下れるか?
という事だ
  ろうか。 登りに係る時間距離を下りで
  如何に回収するか?と言うべきか。






















 選択の損得。 7

































               

 

 
ところが初心者には今トレースしてる足跡が登り足跡か?下り
の足跡か全く判断が付かない。               
多分ベテランは判る(ハズ)だが、さらに他人が二度踏みすると全
く判らないのだよ、ワトソン君。              
 雪が無ければゲートの広場から最初の”七曲がり一のむすり”
まで延々と直線を登ると7連ヘアピンの1番目に辿り着く。  
コーナーの内側にショートカットの足跡が散見出来るが、
コレ
全部下りだろうな。             
             


初秋の同じ橋か!

積雪は2m程だろうか?。
ちなみにここも路肩が雪屁と
なって恐くて路肩に寄れない。

Photo:2014.10




























橋から振り返って撮影。


 前回のGPSログを呼び出し一から三までのむすりで地形的に楽なのは、やはり二を飛ばして直登で三の入口に向かうべきと結論した。
 確かに誰も歩いてない所を登るのは足が重いが
ショートカットしておく。なんだ寒いどころか暑くて一枚脱ぐ勢いだよ。まだ残り5つはあるのに。

 
三のむすりに辿り着く、道路右手の沢と共に遡上した大路が沢と決別し尾根登りを始めるターンでここは流石にショートカットがない。
ん?人だ。服装から女性の方だと思った。凄い下山スピードでくるのだが途中から2人と判り、たちまちすれ違った。

 
頑張ってと声を掛けられたので隧道までどの位ですか?とかかる時間を尋ねると1時間弱ぐらいと返答された。
 いやいやベテランの山ガールとお見受けしますが、私初心者なんでそんなに早く歩けません。
 遠ざかるのもあっという間で、まるで飛ぶように歩いてるよ、スノーシューで。

 気を取り直して進むと小さなヘアピンは雪に埋もれ、ある意味ショートカットしてる。


















いよいよ最終区間突入か?(多分な)
つーか、あのリボンの所、動物用のカメラか?   




























ここは林道沿い…恐らく七のむすり


ここにも橋からの登りSC。












  
むすりで言えば四と五のむすりだろうか?   
なんせ看板類は全部雪の下だ。一番深い沢  
渡で積雪3m近いだろうか、先人の足跡と地  
図を睨めっこして歩いてゆく。        
       時折写真を撮るのは何もHP用だけでなく、  
 帰りにルート確認をする為だ。        

           













「おお、これは?」       
確実に小さな尾根一つを直進して短絡している、  
がこれは下り専用だな?七むすりは尾根沿いまでな  
ので、六のむすりから直接四のむすりまでショート  
カットするのだろう。               
「帰りにチャレンジしよう」


ここは七のむすりから下るSC(笑
















 
六のむすりは完全に積雪で道が分からず、
足跡をトレースして急な斜面を直登する。
 すると突然視界が開け尾根向かいの栗子川
本流の谷を見下ろす尾根道に出た。

 七曲のむすりを突破!
したのだ。
この切り通しが七むすりだ。



雪崩では無い、倒木が
「雪の壁」
となってる
(笑


「完全に雪山登山」だよ。
 切り通しの先を見ると、林道は完全に雪に埋まり、状況は最早トレッキングなどというレベルではなく、何かの拍子に今越えた進行方向右手の斜面が雪崩れば、一緒に谷底までエスコートを余儀なくされる勢いだ。
 いやいや今手前の誰かの踏み跡を踏み違えただけでも谷底までご同行されそうだ。
最早林道はただの斜面となっていた。
「これは・・・ヤバいかも」

 実はロープ一本持ってないMRである。iPadのアンテナは3本立っているな、最悪助けは呼べるか?谷底を吹く風がかなり冷たい。


 閣下、本気モード。 8




































樹氷が重すぎて木が持たない(笑



 太陽が隠れ、ここから上は霧が掛かっている。隧道辺りは雪雲にも見える、標高もあるせいか気温が低いのだ。故に足元も崩れない。
 慎重に斜面と化した林道上をトラバースしてゆく。
 登ってゆくと
対生物用監視カメラにセンサーを発見、取り敢えずピースサインをしておく。
 谷沿いの一直線も終わり再び地形に合わせて道がS字にうねり始める、てか
これ橋だ!
 
ここまで来たか!行程の1/4をやっと消化した。















「足が重い……」



樹氷が美しい、
人間に厳しい自然は美しいもんだ
(笑


スパイクだけで踏破してる
強者もいるぞ
(笑


もはや何処にSCしてるか?
判らない
(笑止




















倒木では無い、積雪した枝が凍結してる。



















恐らくここが明治の石積(多分な


 ほぼ道也直進という所は多分石積みの法面がある筈だが、全く分からない。そもそもこのルートが林道也かも不明だ。

 GPSでは違う気がするが?この辺は倒木も多く樹氷と化した木を避けながら進んでゆく。と思ったら違う倒木ではなく
立ったまま凍みているのだ。
 
やがて、目前に風の神様が造形したような凄まじい雪庇が現れた。
 高低差のあるヘアピンで内側が風の通り道で飛ばされた雪は、コーナー外側の崖っぷちに綺麗なカーブを描いて堆積している。
 
これは雪の一本橋、ヘアピ

















小さなヘアピンを皆SCしてゆく。
結構急な斜面?いや法面だが、登って来てる。

ンに曲がってるけど皆さ
突端を歩いてるよ。

 ここだけはショートカット無しかよ!内側の谷はほぼ林道道床なので3m 近い高低差があるんじゃないか?これ、どっちに落ちても脱出不能?。


 
SCで山越えしてるんかよ(笑


振り返ると道に見えるな。


斜面の足跡を伝って進む(笑


「それでも美しい」
 
陶芸を思わせる曲線はマ・クベも唸る美しさだ(笑。
 写真を撮って前進すると、山腹の一角が造成されたかのように平たく切り取られていた。かなり長いスパンだな?700mくらいは・・
そうか!
 
俺の知る限りここしかない。倒木だらけの高低差のあるヘアピンをターンすると、長い直線を介して大ヘアピンで再び切り返し、道は隧道正面に標準を合わせる。

「最終ヘアピンをショートカットか!」

登山スキーか?シューとはまた違うルートだ。





















林道上だが完全に斜面。道幅1m程か?。


深い!シューでもズボズポ埋るぞ(笑


 皆、道也に進んでいない。最終コーナをスルーしている。
 上の道から斜面を勝手気ままに滑り降りた跡ばかりで、登口は何処だ?
 一番奥の一番登坂距離が短い跡を見つけて登り始める。
 つ、辛い!!!!
 
いつ来ても萬世大路米沢ルートの最終コーナーは俺に辛く当たるな、泥の次は深雪かヨォ。
 
無理をしないで休みたいが気を抜くと足元が崩れ落ちる。ある程度窪みの具合を見ながら一気呵成に登る


栗子山が開けてくる。



















しかない。            
い、息が、酸素が間に
合わない〜〜。     
「ーーーーー……!!!!」



あ、ここ最終コーナーの
一つ手前のコーナー(笑


うわぁ300mの大2連へアピン!もはや雪原(笑





















正面に栗子山が近付いてくる。




















みんなショートカットしてへアピンの斜面を強引に登ってゆくぞ!。


初秋の同じ最終ヘアピン。

積雪は2mを越えている、もはや完全に別風景。
ち最終コーナー周辺は一種の丘陵地に近いので崖や雪屁がないので心配は少ないかも。
Photo:2021.7







斜面を登って………

つまり振り向くと最終ヘアピン(笑。


正面は栗子山、そして抗口・・・何処?(笑