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林道日記(OFF-ROAD・DIARY)

ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの覚え書きです。
ですので、スポンサー以外のクレーム一切お断り致します。
走行距離は主にバイクで測定し、旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。
また、掲載される内容は
必ずしも最近の状況及び写真ではありません。
走行日を良く確認し、一か八か?役立ててください。




林道日記(Riding・Report)

Ym-411




民有林林道 大平峠線




越後十三峠の近道として
拓かれた林道。

それは、
単なる偶然であった。
越後街道十三峠に名を連ねる
桜峠。

その横に
裏街道よろしく
小さな峠道が残っていた。
大平峠は
総ての始まりであった。



山ノ神地区、大石沢川に架かる真新しい馬場橋。東側の旧橋跡にはでかい看板がある。
因みに手前の県道8号線、手前が至る叶水・横川ダム、奥が九才峠を越えて
県道378/大規模林道飯豊線(つまり葡萄沢・五枚沢林道)から熱塩加納に至る。


これが民有林林道大平峠線の終点を示す標識である。
ここから大平林道(大平峠)出入り口までは完全舗装である。



林道全長20.452m/全幅4m/制限時速20Km。
地域道路として重要とあるが・・・産業道路?。


●越後街道十三峠の補完林道は、新定番林道になるか?。

 米沢から新潟の新発田に出る道は、江戸時代に「越後街道」と呼ばれ、奥羽山脈越えを擁する難所の連続するこの区間を十三峠と呼んだ。
 米沢側から順に、
諏訪峠
宇津峠(現国道113号宇津トンネル)
大久保峠
才ノ頭峠
桜峠(現山形県道15号線、桜峠)
黒沢峠(街道石畳が残存・遊歩道)
貝淵峠
高花峠
朴木峠
葦ノ峠
大里峠
榎峠
鷹巣峠
の十三峠を越えて新発田に出るルートである。参勤交代にも厳しい難所が連続する区間であった。

 明治期に入ると、あの三島通庸が山形県令(現在の県知事に相当)となり山形各地の道路などが一斉に改良・換線され、またそれに併せて各部落への近道も造り直されたと推測される。
 難所である桜峠を避け、比較的なだらかな大平に道が出来たのは江戸時代の様だが、それは必然と言えよう。

 このうち、桜峠(大平峠)から宇津峠迄の県道15号線(旧街道とも言える)に平行に造られ、都合4つの峠を尾根沿いに一気加勢に駆け抜けるのが、
「民有林林道大平峠線」である。

TouringMapple2008.3版に部分的に林道表記。
広域マップルにも全線表記無し。
一部の地図では宇津峠付近で道路標記のコンフリクトが起こっている様だ。通常のロードマップは表記無し。



路肩の雑草は部落の方が奉仕なさっている。


真新しい橋を渡り、標高を上げてゆく。


大平林道終点に到着。直進は大平峠・・・



道成に右に曲がって行くのが大規模林道の本線だ。本線はここから延々とダートである。
その距離、ざっと17Km?。まま、取り敢えず一休み(笑w。


 今回は都合で終点からのレポートとなる。(再会〜飯豊にて〜2参照)(笑w


最低限の安全設備がある。

●民有林林道大平峠線
 林道総延長20.452Km
 区間総延長(山ノ神〜大平峠)
      :3Km(全線舗装)
 区間総延長(大平峠〜松木沢)
      :9.1Km(全線未舗装)

 林道へのアプローチは実に容易である。双方とも幹線沿いに起点、終点の巨大な看板が見えるからだ。
 今回、終点である山ノ神でも、県道8号から容易に発見できる位置にドカンと建っている。地図上で見当を付けて現地に出向けば、凡そ迷うコトはない。
 全長20Km故に少々レポが間延びする事を、あら始めご了承頂いて先に進もう。


あまり使われてないのか?
ダブルトラックのまま、標高を上げる。


何て長い直線なんだ・・。



なんじゃこりゃぁぁぁぁ〜。
一つ目のピーク。二つ先の尾根に牧草地のような山裾が・・・あそこまで逝くのか?。



 最初の終点部分(変な日本語だな?)は完全舗装で、暫く田畑を眺めて登ってゆく。村の方だろうか?草刈り機で路肩の草刈りをしていた。
 途中橋や路側帯も比較的新しい造りで、新規に投資された林道である事を舗装状態と共に痛感する。

 約3Kmで旧大平峠の終点に合流する。右カーブの真ん中に林道が繋がっているかのようだが、経線は明らかにもともとは大平峠だけへの道だったという状態だ。
 分岐を越えて林道は登りの手を緩めない。小さな峠を越えるとどこまでも尾根沿いに右肩上がりの経線が続いてゆく。途中、山菜を検索中のジモティ老婆にお聞きすると、間違いなく隣の部落に繋がっているようだ。
 尾根道が入れ替わった所で先を見通す最初の緩やかな峠に達すると、やたら標高を稼いで居る事が判った。地図が古い為、既に場所は見当でしかない。行き先も大いに不安である。
「もし、あの2GBがボケて居たら・・・
零度は何処に向かっているんじゃ!」

(その不安かい!)


大規模林道と違い、身の丈に合った路面状況だよね?

 
まあなんだ、路面状態は良好なので、いきなり終了!は、ないだろうが・・・
 殆ど平行移動のまま標高を変えずに進むと、尾根筋の高台に登り詰めた零度君は、二つ目の緩やかなピークで山向こうに巨大な牧草地を見る。



ちょっとだけ下って、直ぐまた登り出す。


しかし、ほぼ平行移動の状態。


林道は二つ目のピークを迎える。


長い!(笑w。牧草地が近づいて来たが・・・
え?あれが全部ワラビ園なのかよ!


道筋が観察出来ることから林道はあそこまで続いて居る様だ。
つーか・・・・
「ホントに全線ダートなのか?」

まさかこんな所にこんな林道があるなんて・・・・?
 その後林道はここから平出沢に向かって下り始める。

第一期工事は平成九年。キチンと起点終点杭がある。・・・・圧雪で倒れている方が多いが。

 
最初の峠にあった林道開設標柱が幾つか散見される。
 期間がややバラバラだが、古いモノは平成9年からあり、近年は平成18年を確認した。延々10年をかけて都合3つの沢沿い林道を統合したと言えそうだ。
 林道は急速に下り始めるが殆ど直線的に下ってゆく。6月にしては砂利の締まりも良い。場所によっては林道指定速度の3倍程度まで加速出来るが、例によってダラダラと長い直線の後にはブラインドの急コーナーが待っているので油断は禁物である。
 この直線の時間的効果は凄まじいだろうなぁ。

 恐らく平出沢と思われる沢をヘアピンと暗橋でかわしてゆく。それ自体が大きな砂防ダムのようだ。標高が高いことを示すように、支流の沢には未だに残雪があった。これから起こる惨事を前にした小さな幸せであった。


下りの急激な所には一部舗装が施されていた。
それにしてもここらは急だな。


林道の下にようやく沢筋が見えて
林道は長い直線の後に90度の右コーナーを迎える。



平出沢の暗橋をヘアピンの形状で越えて、いよいよワラビ園に向かう。


残雪・・・?」細い沢筋にへばり付くように最後の雪が残る、涼しい。



残雪の下はこれから春?

 
残雪で冷却を完了すると、走り出して間もなく白子沢部落が運営する「白子沢ワラビ園」に突入する。取り敢えず通過は出来そうだ。しかしワラビ園で愕然とする。


白子沢ワラビ園に到達・・・?。


最初、牧草地と思われていた所は部落が山を借り受けて運営しているワラビ園。
産業振興林道って、ワラビ園経営かい!


「林道を大型観光バスが走っている!!」
 10数年前に白神山系迫良瀬大橋の袂で遭遇して以来の出来事だ。
 もうもうと砂埃をあげてうねうねとした細い林道をバスが軒を連ねて走り去る姿は、ライブラリで見た万世大路大峠の車道開削時の映像を思い出させる。
つーか・・・
「流石のバイクも避けようねえじゃん!!」
 バスの前後のオーバーハングは、もう道路じゃ無い部分を流れてゆくよ。
勘弁してくれ・・・。

 ワラビ園から林道は平出沢を離れ隣の森残川に向かう。3つ目の峠であるが、さほどアップダウンを感じず白子沢字高松地区に到達する。
 川沿いのT字路には例の民有林林道大形看板が建っていた。ちゃんと現在位置の記名もある。初めて通った時はここで漸く現在位置の確認とおおよその経路が予想出来た訳だ。
 T字路にはワラビ園の誘導看板が元の林道標示板より目立って付いていた。
 古い青い標識には殆ど判別不能に薄まったペンキ書きの文字で「高松林道」と記名されていた。これはどうやら、民有林林道大平峠線に編入される以前の路線名と推測される。

 ジモティの軽虎やワラビ園へのお客が部落に向かって左折する中、零度君は右折する。


路肩の除草具合に部落の気合いを感じる。
バスの通過を意識した広さだ。


を、広域林道のビッグサイン!。
反対側には支柱を残して消えた林道標示板。


ここもかつては高松林道のみの
林道だったのだろう。


現在地は勿論だが、地名も書き足されている案内板。



古い標識が残っている。まあ、マターリ基本ですかね。


●民有林林道大平峠線
 林道総延長:20.452Km
 区間総延長(松木沢〜沼沢峠)
     :約3.3Km(全線未舗装)
 区間総延長(沼沢〜宇津峠)
     :約6.1Km(全線未舗装)

 最初に現れる見事に番号の揃った巨大な土嚢を横目に、林道は小さな切り通しの所でまたしてもT字路となる。

橋の竣工は平成8年12月とある。
事業開始年度だろうか?

 これを左折すると林道は森残川を渡ってまたしても登りに転じる。一部に短い舗装を織り交ぜて、今度は小さなS字を連ねて登って行く。

奥から1番2番・・・それぞれに色を付けると
いいかも。


森山川に林道はぶち当たる。
道成左に進むと川を渡って対岸へ。


多分
「森残橋」 (ちゃんと確認しておけよ>俺)。
いよいよ後半戦に突入!。


 この路線から林道の両側面に排水溝が埋設されている様子だ。しかし、大平〜白子沢間と比べると雑草が多く、一部ダブルトラックに戻りつつある。
折角の機能設備も草むらに埋もれている状況だ。
 この先にも沼沢部落のワラビ園が在るわけだが、春先ワラビ園に向かう部分だけが良く整備され、この区間は少々おざなりなのでは?と推測した。

 また、この区間には林道表示が設置されてあった。開発年度が若い為か、初期の標識は既に残雪によりその殆どが大地にひれ伏していた。


部分的にコンクリート舗装される。
周りの雑草具合が気合いのなさを感じる。


いかにも新規に開発したイメージのある林道の風景だ。


 開削標柱からすると平成9年から11年頃まではこの標識が使われ、高松から沼沢までの区間だけであった様だ。
 先程の森残橋の竣工8年を鑑みると納得出来そうだが。


はい、お休みなさい。
残雪に抱かれて、醸され中です。


初期の標識に山形らしいデザインを感じる。
 小刻みなコーナーを連ねて変哲もない丘の様な通算4度目のピークを越えると、ゆったりとした傾斜と見渡す限りダブルトラックの直線を下ってゆく。
 森残川の源流と思われる沢を暗橋でかわすと、林道はいよいよ宇津峠に向かって登り始める・・・。

ピークを過ぎると
林道は長い直線の下りに転じる。


そしてまた、暗橋で深い沢を遠巻きに渡る。


いよいよ前方に宇津峠らしき山並みが
見え始める。


山麓の中腹で迷う。この時点で鉄塔が宇津峠に向かっていると気が付いていれば・・・。
間違わずに右折したのに。


8_.*
最初こそ喜んだ案内板も、ここでは間違いの元に・・・?。



沼沢の部落から来ると、サラリと沼沢わらび園の案内板が建っている。
なんで気づかないかな>俺。



何故に見落とす?案内板。

 しかし沢から離れると林道はまた登りに転じ、直ぐに視野の開けた分岐点に転がり出た。
既に手元の地図には全く表示もなく地形からも現在位置が定かではないが・・・
「沼沢部落への分岐路
 初めて来た時はここを間違って左折してしまったが、このY字路は
右折し、沼沢部落の運営する「沼沢わらび園」方向が大平峠線の本線である。
というか、
「大規模林道はわらび園を貫通していた!」
のである。


再訪ではもう解っているので、
強気で右折を攻める。


わらび園の敷地入口にチェーン閉鎖用の鉄杭。
120のH鋼を突き刺した頑丈なモノだ。


「デカヒロっ!」これ全部、わらび園かよ・・・。


宇津峠に向かう高圧線と立体交差する大規模林道。
何か高圧線の保線道も走れそうなあんばいだが、さて?。



ゲートには進入禁止の看板が立つ。

 沼沢わらび園については、沼沢部落がワラビ園としてここから先は林道の通行を禁止していた。
 いわゆる山菜シーズンの5月末の日曜から7月2週目の土日まで。6月は平日も全面通行止の様子だ。
 ちなみに後日、全線を改めて走ったが、総てのゲートやチェーンは撤去・解放されていた。
 春先さえ除けば、基本的に解放されている林道のようだ。
 そして、写真にも写っている様に、山頂のまさに尾根沿いを高圧電線が飛んでいる。あれが宇津峠の頂上を跨いでゆく高圧線なのだ。

 大規模林道は遂にファイナルステージを駆け上がってゆく。
 程なく林道は上昇を続けながら高圧線と交差し、標高694.2mの出ヶ峰の西側をかすめて行く。
 この数えて5番目のピークが大規模林道20Km中の最高標高位置である。
 ここには、林道開削時の残土置き場が現在もそのままの用途で残されており、宇津から飯豊に向かう山々を遠望出来る展望台となっている。
 そしてここから宇津峠まで、直線距離で約1Km、林道は約2.5Kmで100m以上の降下に入ってゆく。最初は緩やかな下り坂も、宇津峠東側付近に入るとヘアピンコーナーの連続で急激に標高を下げてゆく。
「ここで標高、辻褄合わせかい!!」


この立体交差の直下にわらび園の宇津側ゲートがある。下の駐車場から丸見えです。


ちゃんと直してます。
ガードレールが無いのは多分、仕様でせう。


またしても小刻みなS字で堅実に標高を稼ぐ。


写真左手の切り通しが大規模林道中の最高標高地とオモワレる。
で、



零度君が佇むこの展望台?は、多分林道開削時の残土処理場と思います。
今でも土砂棄て場として機能している模様。今通ってきたわらび園まで一望出来ます。


 ヘアピンの途中に宇津峠の旧道に向かう伐採道への抜け道ルートを織り込みつつ、最後に怒濤のダウンヒルを決めて大規模林道大平線の起点に辿りつく。
 起点は宇津峠、宇津トンネル西側抗口に接続する二つの間瀬橋(川を跨ぐ方と米坂線を跨ぐ間瀬跨線橋)の間、北側にある路地が起点である。

調査日(08/6/8)の状況:
 置賜営林署謹製のお得意高原スカイライン林道です。しかも、既存の林道を上手く繋いで、単体の事業費を削減するという新しいタイプの事業形態でしょう。つーか、
「その事業がワラビ園て、どうよ?!?」

この宇津峠の区間が一番真新しい区間の様だ。
最後の下りがゆっくりと始まる。


コーナーの途中に二つの怪しい分岐・・・。
まずは左へ。そして・・・


右への分岐(零度の居る場所から宇津旧道へ)。
写真手前から左にゆくのが大規模林道。


三島経線ほどではないが、なかなかダイナミックに駆け下るヘアピンの応酬。


見通しも良く気持ちよい程に走れるが、特に下りはオーバースピードに注意だ。


という問題は棚上げなんですが?。ま、確かにわらび園の外貨収入は重要なのは解るのですが、ええ。


工事用林道起点(計測用?)。
流石、マッキー極太仕様か。

調査日(08/8/10)の状況:
 夏にはワラビ園も総て撤去・解放されて、ついでに観光バスの転圧作業で浮き気味の砂利もすっかり均されて路面状況は実に良好です。
 ただ、これはあくまでワラビ園沿いの路面のみで、全体の4割程度は春と余り変わりません。
 総じて飛ばしやすく快適で極めて危険な林道です。対向車に十分注意し、シーズン中はワラビ園以外の所でも、いきなり茂みから道路に飛び出すGBにも対応出来るスピードでの通行を、お願い致します。


一度山を廻る様に南に向いた林道もヘアピンを介して尾根筋を乗り換え、北に真っ直ぐ下りてゆく。


紅いトラス橋は間瀬橋、国道113号線と
林道の起点が見え始める。



「民有林林道大平峠線、起点」
ま、巨大標識がなけりゃ、普通の林道だ罠。


沼沢部落のワラビ園として、部落がここから先の通行を禁止している。
期間は5月末の日曜から7月2週目の土日まで。6月は平日も全面通行止っぽい。。


次の林道に進む。