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茨城県道218号線 一本杉峠 その2
茨城県石岡市〜桜川市
2010・4・4 来訪

真壁と言えば、トライラルを嗜む方には有名な
「真壁トライアルランド」のある町だ。
日本トライアル選手権のメイン会場とも言えるコースが在る為か、
町全体が「バイクに優しい町」なのかもしれない。

一本杉峠の真髄とも言える真壁側。
いくらトライアルに理解が在るとは言え、
県道もこれでいいのか?

この峠を観察し続ける"一本杉ウヲッチャー"あづさ2号氏と共に、
2010年春、トライアル茨城"険"道R218・大塚真壁線の
渓谷美を堪能する!

参考文献引用(一部修正):そうだ遠くにイコウ廃道index茨城険道218号線シリーズ。
(このレポは画面構成の一部も参考引用させていただきました>MR)




驚異の茨城"険"道R218・大塚真壁線「廃道側」へ!。


ご使用上の注意!
このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。
また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。


このContentsは、適当に増殖します。
廃道日記(Ob-Road・DIARY)021-2

 露出した岩の間の砂は幾台もの車両のタイヤによるホイルスピンで溝が出来ている。一度雨となれば雨水に溝は更に洗い流されるのだろう。まさに洗濯岩!そして更にその先には・・・?
「なんじゃこれは〜〜!?」
 大きな2段に構えたヘアピンコーナーの上の段の最後は、今通過してきたウオッシュボード以降の雨水を露一つ漏らさずに道成に流し、もとい、更に周りからの雨水も残さず道路中央の溝に集水され、やがてその水はヘアピン中間に道幅一杯の沼を形成していた。
 その沼にも似た巨大水たまりから
定期的に流される水は、いつしか路面を削って県道のみを流れる沢へと変化していった。



   
うおぅヘアピンかっ!!。
真壁側で初めての大規模な展開を見せる県道。最初のヘアピンのラストは道幅一杯の"湖"がある。
いよいよ、
険道はその深化を発揮するのか!!


一旦貯水された水は道路下流に向かって安定的に放水される。


ガッツリと路面を削ってナ。

その結果下の段は、ほぼ完璧な沢と化していた。
 いやオフロードコース?
 でも雨が降れば間違いなく沢である。ヘアピンを削った雨水は一時的に路肩の大きなクレパスに流れ込んでゆく。
 ここから県道は沢と共に真壁を目指す事と成る。因みに2段目は暗橋になっているので、
上も下も川と言う事だが?

 地雷原の様に立ちはだかる段差やクレパス、落石を手慣れたコックの様に捌く瀬郎さんを操るあづさ氏の背中には、悪魔の黒い羽が生えている様だ。
その久呂井瀬郎さんが、おもむろに停車した。
バイクを降りて振り返ったあづさ氏の笑顔が、悪魔の微笑みに見えた。
「ここか・・・?」
 日本は四方を海に囲まれ東西に長く、美しい四季に恵まれた水の国である。
 我々日本人はその水が織りなす限りない風景に魅了されて来た。滝や沢などの渓谷美は、その典型である。
ソレは解る。



第二ヘアピンはほぼ枯れ沢である。
画面左のコンクリートは暗橋の基礎が露出してしまっている。


最早普通にコースですな。
Photo by AZUSA No-2

だからといって・・・
県道上にソレを作る必要は無いだろうに。
 渓谷(警告)
4

「ここは渓谷かよ?」
「まあ、そうですね
(肯定)

 
無論あづさ氏のHPは穴が開く程に見たし、動画サイトに上がる現場のVTRも拝見している。
 完全に泥で沈黙した道路を跨ぐU字溝の山側にあるコンクリート升から溢れ出した大量の沢水は幅3m、長さ20mに渡って道路を分断し、反対側にある沢に直接水を流していた。
 数年の歳月を経てそれは県道上に見事な渓流を出現せしめ、未だその深化が停まる事はない。それは競技用のジムニーすら手を焼く露出岩石の幅と高低差が織り成すタイトロープ。



その後、更に幾つかのS字コーナーを跨いで・・・
Photo by AZUSA No-2


「キターーーー」


「あづささん、落差対比の写真撮りたいんで
そこに立ってて貰えます?」

↑「これでいいですか?」
「何故其ノ姿勢!?!」
 (ナゼソノポーズ?)



山チャリは大変多い。渓谷区間まで普通に乗車。
「凄え、これで県道」



何だ!?この段差は!!!
Photo by AZUSA No-2


しかし途中で諦め、チャリを担ぐ。


基本は「ノーヒットノーダメージ」
だと思うが。


基本は「現場は足で確認が定石」
まさに教科書通りのあづさ氏。

  まあ、バイクならまだルート選択の自由度があるが、車となるとある程度の改造がないと侵入すらおこがましい程の落差である。
まさに『車でゆく
三次元立体テトリス!!』

 一通り撮影を終えて沢に降り渓谷美を堪能する。途中、二人の山チャリストがこの沢をチャリを背負って登っていった。山チャリス派には聞こえた県道なのだろう。
 そして路肩沢沿いの玉石で組まれた要壁の上に、多分ここで敗退したのであろうジムニーのリアブレーキシュー片側一揃えがポツリと置かれていた。
「そこまでして逝きたいんか?」
もはや驚きを通り越して、呆れるしかない。
「じゃ、逝きますか
魔の渓谷下りに。




かべ

けい

こく
素晴らしい渓谷美だ。いやマジで。
Photo by AZUSA No-2


「ま・・・
魔壁渓哭!?
 人が憤りを感じているその脇を、何だかフツーに海岸線にでも走りに逝く感じで、あづさ氏は瀬郎さんに跨がらず手慣れたライン取りで第一セッションを押し切り、手早く待避所に瀬郎さんを押し込む。
「いきなり押しかい!」
 
カメラを取り出し撮影を・・なんて言うウチに逝かれてしまい、呆然と立ち尽くすMRの耳奥で死んだハズの尾崎が絶叫している。
「歪んだバイクで走り出すぅ〜」
え?違うだろ、ソレ(←ちゃんと覚えろ>俺)
「いーですよ!」
 
全然良くは無いんだが、誘われてGo!Signがでてしまったので、取り敢えずニコTで突撃を開始する!!。ところが乗車すると最初の段差が予想以上の角度だ!お陰でフロントを落としただけでドギマギするMR。


慣れてる、熟れてる、完全に。


何気に「押し通る」あづさ氏。


「キモチ悪ぃぃぃ〜」思い切りが悪いMR(爆。
Photo by AZUSA No-2

 
高さが怖いのではない。
フロントタイヤの接地している
組み上がった浮き木材があまりにグラグラで頼りなくて動けないのだ。
 これが四駆なら気にならないが、二輪車のフロントがすくわれるのは心臓に悪い。
「MRさん、思い切っていっちゃうんですヨ」と、あづさ氏。
「いやぁビビリますぅー」と、MR。
 意を決してスロットルを捻ると、ニコTは転がる怖さを感じる前に通り抜けた。そのまま待避所に雪崩れ込む。
「どうぞお先に」
あづさ氏に言われ、引き続いて怒濤の攻撃、
すかさずその先に突っ込む!




「うりゃうりゃぁ〜」
「そっちスか!?!」
と連呼するあづさ氏を尻目に登る。
Photo by AZUSA No-2


「え!?そっち逝っちゃうんですか?」
 沢そのものが滑ると判断したMRは横断を避け、路肩で足のかかる裾の辺りから突破する。
「おっけーです〜」
 そしてあづさ氏が沢を豪快に天元突破する。成る程あれがベストラインなのかと細く笑むMR。
ふたりは、これでもかと言う程に日本の渓流美を堪能した。振り返ると、魚が遡上してゆく脳内ムービーが・・・
「凄い県道ですよね」


続いてあづさ氏。
バンバン弾んでますが。

 

瀬郎君の吼咆とともに本線復帰?するあづさ氏。


 MRの一言に我に返ったような顔を見せるあづさ2号氏。きっと彼にもオサカナが見えていたのだろう。脳内限定画像だが。
「ホント、茨城県は素晴らしい」
二人は、現場を後にした。

 そしてサプライズ
5

 真壁町へ下る道中にも面白い物が散見された。
2ストロークの甲高い排気音に最初のY字路を振り向くと、立入禁止のテープと共に人の頭程の玉石が敷き詰められたコースの様なルートがある。



Y字路が在る。県道は画面右へ。


振り向けばそこには玉石の登りコース、しかも石デカいよ。
私有地なので基本立ち入り禁止らしいが、林の奥に2台のバイク。しかも2st。


「これは見たことがある!」
 
一応私有地らしいが・・・?後日検索すると結構有名みたい。
 次のY字路で、
またまたあづさ氏がリュークの微笑でMRを待っていた。
「お勧めは右の県道ではなく、こっちですが、逝きます?」
毒も食らわばデトックス皿までっつー奴ですね。
「逝きましょう」

奥が例のY字路。短い直線である。




ここが運命の分かれ目?!画面右が県道218号線、左が地獄の入口(TvT;)/。


「問答無用の秒速転倒」
さ、三分山では太刀打ち出来ん。



うわぁデロデロ。
矢張り泥濘が定めなのか、俺のツアーは?(爆。

あづさ氏の後追い、直ぐに後悔した。
泥だ!
真っ赤な泥!
ルートは正真正銘のコースらしい。
1コーナーでフロントブレーキに指が掛かった刹那、
もう車体は地に伏していた。
 あとは水路の泥出し(デトックス?)したようなもんである。
 出口に朝見掛けた四駆のグループがたむろしていた。
 見ると
ジムニーとジープ4台のうち2台がパンクしている様だ。
 いやいやジープはもう
片側前後のタイヤが完全にビート落ちして外れている。
 
あの渓流を空気圧1K以下で無理繰り通したのだろう。コンボイを組まないとこんな遊びは出来ない。

 なんとか現道復帰する。もうリムからブーツから泥だらけ、真っ赤に染まっている。さらにその後、
トライアルコースやコース受付所などが現れ、それなりの賑わいを見せていた。

 聞けば昔から加波山周辺は江戸時代から鉱物資源に恵まれていた。
 一部の道路愛好家に愛憎される三島通庸閣下を暗殺すべく、日本初の爆弾テロを画策した自由民権運動の右派である鯉沼平八郎も、地元加波山からその材料を調達したのか?。



だあぁぁ〜グチャグチャ。
朝見たジーパー(こんな呼び名も、最早死語)が休憩していた。
ちょっと羨ましいな。車でアタック(爆。



 昔から良い御影石が取れ、そこらに石切場がゴロゴロあるのだが、かつて全国一と謳われた墓石などの石材も、
安い輸入外材に押されて需要が減少しているのだ。
 そこで、石切場の再利用としてトライアルコースなどに「転用」しているらしい。
 県道218号線は大塚側が営林の為、真壁側が石材などの鉱物資源開発のために県道化されたが、真壁側が極端に荒れているのは石材需要が見込めなくなった為なのだろうか?
 いやいや、我々のようなスキモノの為に
ワザと放置プレイにしておく一種の新規需要開拓なのではないだろうか?と勘ぐってしまう。
 そう思うとゲートのない入口ウェルカム状態も妙に納得してしまうMRだった。

 エピローグ
6

 舗装路と共に例の通行不能の標識が真壁側にも現れ、県道218号線のダート区間が終了。舗装路を真っ直ぐ進むと、集合場所の信号機以来、実に3時間振りに信号機で止まる。
「MRさん、あれ」
 彼の視線の先には、
真壁側で唯一の県道表記があった。
 早速バイクを寄せて撮影する。
 その後、近くのコンビニまで行って解散したが、お店に入ることは躊躇われた。何故なら、先ほどの枝道で泥まみれ、瀬郎さんなんか見た目ゴールドリム化したようだった。当然我々の姿も凄まじい。
「じゃ、またそのうち」
「何かありましたら」




造林と石切場の合間に空き地が在るが、眺望は無い。


画面右の赤いポストの辺りに小さなコースや管理プレハブを散見した。


真壁側の舗装が復活する。
写真手前左手に神社の鳥居と案内板がある。



全長の7割がダートの県道?しかも7割の半分は、
通行不能に認定された極上の廃道であった。


 また、何処かの廃道で会う事を胸に秘め、それぞれ次の目的地に向かったのだった。


調査日:10/4/4の状況:
 県道の全長は9.271Km。うちダート区間が約5.8Kmと全体の6割強を占める。県道表記は僅かに3カ所しかない。まさにゴーストルート。
 さらにその内、一本杉峠を挟んで大塚側(東側)は荒れ/一部大荒れである。ブルで土をカタしたり路面を横断する仮側溝が無数に掘られている。
 単に雨量が多いだけでなく、短時間で大量の雷雨に対応した道路造りと思われる。けっしてジャンピングスポットを狙った訳ではない様だ。

 真壁側はさらに過激、例の真壁渓谷は殆ど反則とも言える県道上トライアルセクションである。
間違ってもキャンプ用品満載のトレールで真壁渓谷は登れない。バイクですら難儀するのだから車なんてもっての他だ。しかし北関東ではアタリマエらしい。まあ、壊した部品や車体は速やかにお引き取り願う事を切に要望する。
 塔するにハッキリ言えば、
「廃道に付き通行禁止」言わない茨城県土木課に拍手の逸品である。


交差点で言われて気がつく。


真壁側唯一と言われるヘキサ。



「お疲れ様でした」「どーもですぅ」30分程情報交換して別れる。
楽しい道を有り難う、あづさ2号様