ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

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当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
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 プロローグ
「神様、信じる者は救われると助かりますが」
1

「こんにちは」
 県道の坂を下って来た二台のKTMは、林道入口の写真を撮っていたのがMRと知ってか知らずか?明朗に声を掛けて来た。よく在る道ばたでの情報交換である。
「これからここ(林道)ですか?」
「ええ、今銅山の方から登って来て、面白いトライアルコースみたいな所ありましたよ」
 余程楽しかったのか?少年の様な眼差しで語る彼のヘルメット横には、ソニーか松下辺りのウェラブルカメラが装着されていた。走行中の動画も撮っているのだろう。
「ここ、面白いですねぇ」どうやら地元ライダーではない様だ、関東圏かな?
ここで初めて、相手はこちらのセローに気がついた。
「新車ナラシで今日初めての林道持ち込みなんですよ」とMR。
「へぇ、今のセローってこんなカラーなんだ」


ある日「KTMの神様曰く…………」

貴方の行きたい林道はどっち?」。


「今年の新色ですね」
 KTMと似た様なカラーのセローにもう一度目を止めると、二人は再び林道の入口に向き合った。
「先どうぞ」
「どうも、そちらも気を付けて」
 軽く会釈すると、二台は質感溢れる独特の排気音を奏でて突入していった。その加速たるや林道ワープと言うべき速さだ。二人とも上手いと安心出来るライディングだと思った。
「うわ、ツーリスト履いてる!」

 この時MRは、初めて品川?ナンバーの先頭がトライアルタイヤ装着であることに気がついた。ただでさえ戦闘力のあるフリーライドに虎クロスかよ、それで楽しいって、どんだけハードな道なんだよ!
「KLX持って来て探すか?」
 これは楽しそうだ、と細く笑んで通勤用のジェットヘルを被ると、ピカピカのセローを林道に押し込んだ。手元の地図には西側が林道の県道とある?廃林道なのか?
「さて、ローストちゃんの廃道性能はどーかな?」
 
KTMの排気を嗅ぎながらMRは林道に突入した。


「こっち」


  集合! 「早起きは三文の得だといいなぁ」 2

「お早うございます」とKonちゃん。
「おはにょうございましゅ」まだベッドから出られないMRの心臓は余りの眠さに突刺さった言葉が意味する真理を理解するまでに、いやそもそも目を覚まさない努力を必死に撥ね除けようとしている理性とおぼしき制御システムが作動を開始すると同時に、MRはバネ仕掛けでボタンを押されたアンサーハットの様に飛び起きた。
 因みに冷静に着信時間から逆算すると飛び起きた割に3分以上掛かっているが、はて?「いかん、脳死状態だな」
 それにしても天候もアレだし今日は8時頃合流かな?とか思っていて6時にモーニングコールを貰うとは思わなかった、昨日は部落の飲み会だと言って置いたのだが。
 まあ、出る時電話下さいと言った筈だが?と睡魔と二日酔いを振り切って用意とともに
玄関を開けると、これ見よがしにハイエースがいるではないか?
「マジかよ」到着してから電話してんのかよ。
聞くと、おぉじぃさんも予定到着30分前にバイクを出してモーニングモクしていると、見た事のあるワゴン車の男に声を掛けられたと言う。そしてそのまま拉致られる。
「勉強熱心だなぁ」イカン、脳下垂体にまだ抜けてない酒があるな?方向感覚というか三半規管も泥酔してそうだぞ、俺?
 そんな体を引きずって金曜夜に積んだバイクとキャンプ用品のチェックもそこそこに二台は一路いわきに向かった。大丈夫なのか?俺。
45分程で谷田川のセブンに着く頃に、やっと朝食を受け止める気分になる。
 食後に7時と言う事で、サラリと熊五郎さんにメールすると、今郡山は安積の辺りと返信が在る。実家の軽虎かもしれないが多分高速だろうと重い、いわきインター出口のコンビニで待ち合わせを伝える。
 国道45号線も一時間そこそこに指定コンビニに辿り着くと、何と二台程先を走るヴォクシーが彼の車だった。
 駐車場で再開を喜び会う。セカンドシートを外して運んで来たのはKonちゃんから譲り受けたあの1型セローだ。流石のKonちゃんもこれには驚いた。
「懐かしぃ〜」
 早起きが良かったのだろうか?何となく幸先の良いオープニングだな?とか思った。

 雨振って
 意志固まるかな?
 マジで>
3

 いわき中央インター前の天候は雨。
午前中は半ば諦めて実は未だ決めかねてるキャンプ候補地を順に廻る事となった。
 まずは福島が誇る?酷道399号線沿いの某トイレ付き登山口に到着する。



第一候補、二ツ箭山登山口。
20台前後の駐車スペースを持つ登山口で、循環式トイレと水道施設があるが飲料禁止だった。
すぐ上が住宅の為、却下。


まず、最初に国(酷)道399号線から
県(険)道249号線へチェンジ!。
見ての通りの舗装林道で、更に森が深くなる。



第二候補の「五社山ふるさとの森公園」到着、ここに決定。


「出撃準備!!」さて、フロントタイヤ付けなくちゃ!
皆、そわそわいそいそと準備中。
(Photo By 熊五郎)


 悪くは無いねぇという雰囲気の中「ここは民家に近過ぎてイヤ」という意見を了承して、次へ。でも実はここからが試練の道程。
 北に向かう道は、
とても国道とは言い難い酷道399号線の中でも屈指の酷い区間である。
 緩い霧雨の中、ハンドルを回すのがイヤになる様な現行の法令では不可の細長い舗装路がのたうち回る。フルペイロードの悪茶君なんか黒煙吐いて登ってたよ、とは後ろで見てたおぉじぃさん達の目撃談。
ヂーゼル車か?ウチの悪茶は?

 途中県道249号線に乗り換えて進路は広野町方面へ。この県道は林道が昇格した道で、元の名前が浅見川林道という。1990年代には乙次郎・木戸川と並んで3大ロングダートを呼ばれていた有名林道の末路である。
 浅見川から峠を抜けて五社山の山頂に程近い森林公園に陣を張る事となる。こんな所に夜現れるのはイノシシくらいだろう?
などといいながら荷解き。
 峠を越えると雨のあまり振らなかった様でアスファルトもかわいているではないか?荷物をバタバタ置いて行く。
 実はMR、タイヤ換装がギリギリ間に合わすフロントタイヤが組み込めないまま持って来た。先にバイクを降ろした人にキャンプ用品の下しと管理を任せてタイヤの組付けを行いようやく車からKLX125を引き出した。
 準備が整う間に、公園整備用の道があるので見て来てもらったりして時間稼ぎ(笑w
「どう?路面状態は」
「雨上がりに赤土は滑りますが、林道だから大丈夫なのでは?」と、熊五郎さん。
 ことわざを祈る様に噛み締めて、二日間初日の走りがスタートした!



一番古い設計のファーストセローと新しい設計のトリッカーを並んで給油?
(Photo By 熊五郎
)


発奮してます、私。
久々の山歩きで!

 テントやタープは張ったままで、そろそろ行きましょうか?
(Photo By 熊五郎
)


  長いモノには、もうグルグル巻かれちゃう!> 4

  公園の管理道を走って貰いつつ、こちらの準備を整えて、いざ出発。
 公園はそのまま林道のダート区間に接続していて、まさに裏山状態。ここが五社山黒森林道の五社山区間である。
 雨上がりの林道はそのガレた路面も相まって実にトリッキーなのに、ヤル気ムンムンのオオカミさん達がおばあちゃんの振りをして襲いかかって来るイキオイである。

 さてここで、貴方がオオカミなら怖く無い程度に漲ってる参加者4名を紹介しよう。
 トップで難儀してるのは今回のルート企画者である
MR&KLX125だ。その後ろにサンコイチとも臆され?る一型フランケンセローを操る大峠マスターの熊五郎氏、大柄で筋肉質の体にほぼスケルトンなセローが125に見える。
 その後ろにこのグループのセフティネットとも言える
おぉじぃ氏&二型セロー225が間を置かずついて行く。
 殿は前の3台の一歩引いて観察している
トリッ改&Konちゃんである。



「神様の道!!」思うに"廃道の神様"って貧乏神?。


 
「嗚呼、夢の競演って奴だな?これは」
 ここ4〜5年、それぞれは知り合いだが一同に介して走り合う機会がなかったDTMの名物パッセンジャーが正に今!雨上がりのスリッピーな路面をモノともせずコーナーを攻める様を、その伝わる熱気に走りながらも感動していたMRであった。
 五社山黒森大内林道は名も無い峠を越えて、夏場に伸びきってたっぷり雨を取り入れた薮の中、途中廃県道247号線でもある大森林道との分岐に出る。

 
すかさず路地を右折するとここからは黒森林道区間、またしても名も無い分水嶺目指しての登りに転じるが、分岐から明らかに車が通る道となって前がよく見える様になる。
 峠の直前に右から枝道が合流するがこの道は電波塔に向かう専用道路らしい。
 下りは一ヶ月に下見で走った時と変わっていかにも仮設のコンクリートっぽい舗装が打たれていた。
 グリップ良好で下りのアベレージもいい、すると、2時間前に車で通った県道249号線に出た。
「早速、問題の神様の元に行ってみましょう。」
 MRは左折して件の林道に案内した。黒森出口から5分程度の隣沢筋なんだが。



チェーンで簡易封鎖されてる。
バイクは通れます。


長い直線だが俯瞰で見ると
ヘアピンコーナー!


「ここだ!」フランケンセローの先!南に下る道のようだ。
(Photo By 熊五郎)

 
 林道入口で写真撮影のあと、満を持して入って行く。100m程でゲートが在るが、脇にバイク道が出r来ている。
道は頂上にある電波塔までの一本道の管理道だ。だが最初のヘアピンで他の電波塔に分岐する道があり、MRらはその左の広場に入って行く。
「これか〜〜!」
木にぶら下がった小さなちいさな表示板が、低いながらもドスの利いた声て囁いた様に見えた。
「猫啼山」と。

速い者負け経由、
勝ち逃げ負け行きの
 バスに四人乗り?>
5

 その道はバイク一台分の幅しかない、直線ながら割と急な見通しの限り笹薮の下り。勿論下りきって繋がる様な道でもなければ、緩やかな明るい爽やかな林道ではない。
 足下にはバイクの轍が散見出来る。やはり
地元の誰かが、走っているのだ。
「じゃあ、先頭はジャンケンという事で」


誰が書いたか小さな表示、かわいい。
しかし足下を見ると。


何げに熊笹の生えた急な斜面が滑る道、
可愛いくない!


「往きます!!」ちっとも嫌がらず?に飛び出すおぉじぃさん。

あらよっ!笹薮なんか 全然気にならないKonちゃん。


「じゃあ、勝った人が先頭勝ち逃げアリと言う事で!」
え?じゃ勝ったら負けなのか?
「誰よりも真っ先に(道を)味わえる、と言う事ですね」
 
ね、じゃねーよ!皆、心の中で突っ込みつつ止まらない笑いを堪えてジャンケンポン! 先頭の栄光はおぉじいさんの手に渡り、以下Konちゃん、熊五郎さん、MRと続く。
 突入すると暫く腰の高さまで在る笹薮がつづき、案の定道は登る下るのを2回反復する。やまやまGPSの地図上では等高線の区切り無い高原山裾だが、20mいかない範囲内でそれなりに落差があるのだ。
 2回目の下りはそこそこ急で、そこだけ森が拓けていたせいで日当りよく、路盤は雨上がりの赤土の上に落葉というスリップ要素満載の状況だ。
 タイヤ痕もあるので確かに誰か走っている。熊五郎さんが急坂を一往復して改めて皆飛び込む。
 三度目に登った所でいきなり進行方向にクロスして植生が変わる。
 
境界の先は造林、振り返る山はいわゆる雑木林である。
「しかも右折かよ?」
 
植生のキワは植林道であることが殆どである、
 
唐突に右折、正面に僅かに踏み後も感じられるが先行者の轍は一斉に右である。
 確かに地図で右に猫啼山を確認した。相変わらずキワの登りが続く。


顔がずっ〜と笑いっ放しの熊五郎さん。
余程嬉しいんだろうなぁ。


うわぁ
バイクで行くトトロ道?。

「木が避けテクぅ!」

熊笹が消え、雑木林に成って来た。

「いい塩梅だな」セロリストなら涙モノですよね〜?
               (↑人文字違いで危険な奴ら?)



 
植生境界は一部小さな堤の様で、バイクで走るのは程よく泥濘んだ長い一本橋状態である。
 しかしそれも、2〜30m程でコロコロと変わり、クルマが入れる幅になったり急に細く成ったりとしながら、地図的には山頂に向かっていた。
やがて、登り勾配が終わり緩やかに下り始める。
 道と言えば道だが、伐採道よりさらにか細い埴林道に入り込んでいるのは間違い無い。集中していた先行車の轍も分散してしまい、確認がとれない。
と……
「出た〜〜」



「ん?あっちかな?」
迷うのもまた愉し。


「これもいい道かも!!」とKonちゃん。
いやいや、気に入って頂けて嬉しい限りです。


 唐突に目前が開けると予想通りの山頂付近である。
 左右に山が無く地図で見た地形通りの平場まで、南側から林道が来ていた。ヘルメットを脱ぎながらゆっくりと周りを見渡す。

 いやいや、伐採道でもなく作業道だな。東側にトラスフレームの仮設とも常設とも取れ沿うな、比較的簡易ながらも高さ15mはあろうかというアンテナ設備が設置されていた。
 ここからは
明らかにブルドーザーで均して造った道を四輪駆動の4トントラックで無線基地機材を運び込んだような道である。
 しかも、どう見てもフォローのしようが無い程に本来の道(この場合は伐採道では無くおそらくは登山道)をまさに
ぶった切って造られていた。
 その為か?道のあちこちに登山道の標識が建っていたのだった。
「猫啼山ってどっちだい?」
「ん〜、あっちかな?」
「いってみまぁす!」
 まだ走り足りないのか?すかさずKonちゃんがステアケースをモノともせずに法面を越えて、東側の尾根にバイクを走らせる。
「すぐ頂上だけど、三角点みたいの無いよ」
「いや、あと500mくらい誤差あるかも?もっと西側だよ?」
「ふ〜ん」
それよりも、だ!


つーか、これが"道"と言って頂けるだけ
でも
嬉しい。


好い感じにタスクがあっていい感じ。
まるで何処かのエンデューロコースのようだ。

ついに道が下り始める。


「山頂か?」違います、500m以内には来てるみたいですが。


 これはいわゆる我々の探す「本線」は何処だろう? 当然ながら道はアンテナで終了なので、この作業道を戻る事に成る。
 やまやまGPSを見ると、前回、反対側の八茎鉱山(つまり銅山林道千軒平支線)から来たルートにほぼ合致してはいるのだが、反対側から来る(来てそうな)道筋はまるで見つからない。
 それどころか作業道も登山道にもブロックパターンが刻まれ、先輩方が徘徊しているのが良く解る。
「MRさんが見つけた以外にも出入り口があるのかな?」
 都合2ケ所登山道を分断した作業道は、大きなY字絽に差し掛かった。
 南に進んでいた作業道は急遽左折!進路を東に転進すると25%はありそうな激下り坂となって一目散に山を掛け下って行く。
 もう一方はナビ通りに猫啼山に向かう道だが、軽虎かジム二ーらしき踏み跡も在る。
「こっち行ってみます」
 
猫属性のあるおぉじぃさんと熊五郎(なのに猫属性?クマなのに?)さんが右折してゆく。
「ちょっと往ってみます」とKonちゃんが激坂を降りて行く。
 おお、まるでスキー場だな?カメラを構える間も貰えずに立ち尽くすMR。
 すぐに熊五郎さんらが戻って来た
「隊長!山頂に向かうとおぼしき道があります」
「エリアが狭すぎて方向が見出せない、ここは動いて方向性を確定させよう」丁度そこにKonちゃんも帰って来た。
「土場みたいな所に出ましたぁ」

作業道が登山道をぶった切る。
いいのかこれで?。


「加路川下山口分岐」地図をみても縮尺がデカくて何処か解らないよ。


どう見ても山頂に見え無いんですけど!
ここか?

「ご苦労様!おぉじぃさんらが
山頂ルートを見つけたので猫啼山に往ってみよう」

「はいよ!」結果はすぐに現れた。おぉじぃさんらの道はどうやら登山道、それも山脈づたいに最初の宿泊擬定置だった二ツ箭山を縦走するルートのようだ。
「これは違う!」と思った瞬間、路肩に分岐とおぼしきふみ跡を見つける。
GPSをみていたMRが叫んだ!
「そこ右!山頂ルートだ!」皆さん躊躇なくバイクを突っ込ませて山頂に向かって行くと、見通しのない雑木林のまん中にぽつねんと山頂を示す看板が、ケルンとともに設置されていた。乗越の良く解らない山頂である。
「やった〜初登頂!」そりゃそうだ(笑w 早速記念撮影する。初登頂した事に因り、こちら側は前回の銅山林道支線には繋がらない事が確定した。
方向的にやはりKonちゃんが下った激坂方面のようだ。初登頂の感激が収まった所で、再び4人は取って返して作業道ダウンヒルを敢行する!
その下は………確かに土場だった。
あれ、やっぱり違うかな?と振り向いた所だった。
「あった!」MRらは遂に千軒平支線の末端、前回撤退した「神様ルート」南端に辿り着いたのである。




「にゃ〜〜」海抜827mの看板が木に縛り付けてある三角点?
裏返した鍋のような地形で山頂や峠感はまるで無い。



登れぬなら、登って見せようKLX>
6

 アンテナ作業道のある土場の西側の森から、唐突にバイクだけが飛び出した様な轍。段差になっている為、登る時に掘って大きくなっている。下る時はジャンプ台に成る為に段差から1m程手前に着地の窪みが出来ている。
間違いない。 すかさずKLXを飛び込ませるが、今朝までの雨がさらに前進を阻む抵抗となる。
他の3人も続いて森に突入する。そして、あの坂道を目の当たりにする。
「あった!ここですぅ!」
声は出るが、全く登れないKLX125、どうした佳子ちゃん(←愛称)

お・ま・た・せ!

ヒルクライムキタ〜〜〜〜!


 セロー軍団はあっというまに追い抜いて大坂の手前でバイクを停める。皆、トラクションの掛け方が抜群に上手い。早速自分の足でコースの下見に歩き出す。
「これはやっかいだねぇ」
「完全にマディだな、轍もスゴい」
「登れっかなぁ〜」
「俺、タイヤマズいかも」
 文字として書き出せば厳しい意見だが
全員顔は綻んでいる。
「久しぶりだなぁ、こーいうヒルクライム」
 いわゆる山の斜面を
Z形というかイナズマ形に切り返して登るありふれたルートなんだが、佳子ちゃんだと最初のターンにすら辿り着かない。
 モトクロス終了後に縦横に轍がある感じで、一度ハンドルを取られるとたちまち車体が横に向く。泥の塩梅が
まるで「羊羹」のような柔らかさで、今朝までの雨でさらに進化した「水羊羹」状態である。

 路肩には下って来て曲がりきれなかった猛者達の奮闘が解る窪地が幾つもある。それらがサラリと落ちた紅葉に見え隠れして、これは一種の地雷とも言えそうだ。
「取り敢えず、行ってみよ」とKonちゃん。
 下見が終わると早速アタックが始まる。流石に全員一回めでは登れない、何故かちょっと胸を撫で下ろすMR。
 それでも大体3回め辺りから登頂に成功し始める。道は上のY字路に出るので再び激坂アンテナ作業道を戻って来る。
まさに「登頂成功ビクトリーロード」となって、拍手で迎えられる。
 5回めのアタックとなって、残ったのはMRだけとなった。
「ちょっと貸りて登っていいですか?」
 見兼ねておぉじぃさんがテストランしてみると、2回めにはビクトリーロードを降りて来た。
「えええ〜〜なじぇ?」
これが圧倒的実力の差って奴なのか?我が目を疑うMR。
「やっぱまだ空気圧が高いんですよ、これだとコンマ5位ですかね」
「ビートストッパー入れたんだからもっと落としていいと?」
「あとやっぱり構造的にフロント加重過ぎなんですよ。もっともっとリア加重でいいと思いますよ」
 
GPSで周囲を確認しながら進む!。


明らかにバイクだけの轍が出来ている。



またこのタスク!
勢いがないと登れない佳子ちゃん。


Z登りの下の段!ターンまで行かない。


助言を得て既に空気圧を下げていた佳子ちゃん。MRはやっと7回めにヒルクライムを制覇した。
他の人が3回制覇する間にやっと1回。ん〜〜みんなスゲー!としか言いようが無い。
「セローなら登るでしょ」と助け舟を出されるが、それじゃダメだ!KLX1255で、佳子ちゃんで登れないと。
 と、言う訳で、MRが無事通過出来た所でここはお開きとなった。
 既にお昼をとっくに過ぎていて、MRがアタック失敗を繰り返す間に非常食を持参した人は摘んでいた訳だが、改めて確認してみよう。
「お昼どうします?」
「軽く喰った」
「別に摂らなくても大丈夫」
「林道が楽しくてオナカ一杯」
 最後は精神論だったが、まあ早めに切上げ夕食にしようと話が決まった。
 近くの温泉で風呂も入れそうなので早い方は確かにいい。
一行は「神様ルート」を後にした。


銅山林道千軒平支線の末端土場から
戻ります。




銅山林道峠付近。写真前後が銅山林道。
左右に交差するのが登山道で、写真左が二ツ箭山へ。右は猫啼山へのルート。


残り物には福があるかもね?それが福かはその人次第だけど>
7

 まずは銅山林道千軒平支線を南に下る。
 神様ルート完抜&猫啼山制覇ですでにテンションが上がっている4台は、そのイキオイもそのままに支線を駆け下りて行き、銅山林道本線に合流すると林道終点の茱萸平に向けて北西に進路を転進、三叉路を右に折れてさらにスピードを上げて行く。
 銅山林道本線の千軒平から峠までは直線の多い高速ルートなのだ。夫婦の滝がヘアピン区間としてあるが、その後も見通しの良い区間が連なっている。



最初はグー!!。行った事が舞い所は勝ち逃げ優先。


 
対向する同業者に十分注意しながら、時にKonちゃんに煽られながら、ひたすらに登って行く。
 銅山林道の峠は、これまた二ツ箭山から猫啼山に連なる登山道と交差する。
「ここも実は・・」
「ああ、タイヤ痕がありますね」 そう、1時間程前に猫啼山山頂に向かう道の反対側がここなのである。当然というか、反対側にもバイクの轍があったのだが。
「行ってみますか」
「モチのロンです」
「取り敢えずジャンケンですね」
ジャンケンポン!でKomちゃん、熊五郎さん、おぉじぃさんと突入する。
「ここ初めてだから気を付け・・」 セリフの終わらないうちに飛び出すKomちゃん、フツーの林道は飽きるんだろうなぁ。
 しかし、流石にそうアマくはなかった。600m程先の道は杉林の間をすり抜けるジェットコースターの様な下り坂が立ち塞がったのである。
「これは、登れませんな」
 

道が沢状態。登れないので戻って来ました。


橋を渡って。


橋には通行止めの簡易ロープが掛かるが
緩い為くぐって来れる。



「最初の段差のステアケースがスゴい。下る時も腹が見える角度だね」
「さらに沢化してるし」
段差の先を下見に行った熊五郎さんが呻いた。
「同じ様な感じで階段状になっているみたい」
Komちゃんがセロッカーでグルグルと谷間の窪地を廻り登り口を探す。時折アタックを仕掛けるが登れない。
「間伐材がそのまま捨てられていてジャマしてる」
熊五郎さんもフランケンで入ってみるが同じ結果となった。
「上から下って来るしか無いな」
「マジですか?」本気で降りる気でいるトコロが凄い。
「次回の宿題にしては、ハードル高いな」
 4台はここを撤収し、再び銅山林道を峠から終点まで下っていった。
茱萸平の橋からは再び国道399号線に合流しもう一本林道をショートカットしてキャンプ地に戻って来たのだった。
 初日の成果は上々、取り合えず懸案事項の一つは解決したのだった。


橋から左折して国道399号線に向かう。


  川沿いは営林関係事業が行われているせいか、道が良い。



国道399号線に到達。

最後に一本廻ってキャンプ場へ!。




銅山林道群01
銅山林道 本線
銅山林道群02 支線群
銅山林道 千軒平支線
銅山林道 檜山支線
銅山林道 銅山支線
銅山林道群03
黒森林道/三森林道(県道247号線)
林道五社山黒森大内線
銅山林道群04
蛭沢林道
猫啼山縦走路
木戸川林道群01
電力管理道/地蔵峠線(仮)
七曲林道
木戸川林道

次の林道に進む。