温泉ツーリングスポット


広河原温泉~2013~

湯の沢間欠泉 [湯の華]

(山形県)



広河原温泉改め、

湯の沢間欠泉「湯の華」となる


↓東沢(東沢林道) ↓広川原温泉の看板の上に[湯の華]の看板 ↓西沢(西沢林道)

広川原部落の末端で、市道は手前で合流する広川原川の源流二つに合わせて別れる
当然、往くのは「湯の沢間欠泉「湯の華」だ!。



●全国でも稀な「入浴出来る間欠泉」再び!

 
広川原温泉と言えばこのHPは勿論、旧クラブオフチームでも有名な温泉である。
 何しろ、クラブ最後の企画であった
「2000福島県境林道走破3カ年計画(秋限定/最終2003)」の最終年度の最後に宿泊企画として顔を揃えた所だからだ。そしてここは秘湯温泉マニアでは有名な「入浴可能な間欠温泉」である事だ。
 南東北近隣には宮城の鳴子温泉や栃木の鬼怒川温泉などに間欠温泉があるが、確か入浴は出来なかった記憶が在る、
 晩秋の頃、タイヤの無いKLX125を回頭したのは、福島側からスカイバレーを登って下りでZZRを煽り倒した所で、温泉に入りたいと思い立ったからだ。(「東沢林道」の林道区間に付いては林道日記に掲載)


県道からしぶとくある看板はここでも健在。
普通車ならここから更に30分程だ。


おお、ここが新しい旅館か!
露天風呂の周りに石が増えた気がする。



湯の沢間欠温泉[湯の華]正面全景。すっかり渋いっスねぇ。


 全線ダートの東沢林道は全長約8Km、アップダウンもそこそこあって風景も楽しめるピストンルートだ。
 旅館オープンに併せて道路沿いの沢や滝に名前をつけて看板が在るのも楽しい。

 林道の最後に沢を渡ると、見慣れた駐車場とラジウム温泉を連想する茶色い溶岩ドームが見えて来た。
 その奥にはクラブで山小屋宿泊した
翌年に建設された旅館[湯の沢間欠泉 湯の花]がそそり立っていた。かれこれ10年が経過し、程よく風雨を越えた外観はすっかり周囲に溶け来んだ風合いを滲ませていた。無論、初めて実物を見た次第だ。小さなバイクなので遠慮なく旅館正面入口の隙間に停める。
 鼻に鉄分の濃い香りが漂う、静かな山の中と言うイメージだったが、実際は源泉温度ギリギリの鉱泉を暖めるボイラーの音が山に響いていた。

 
ご免下さいと旅館に入ると早速おかみさんがやってきた。日帰り入浴を告げて上がらせてもらう。
 行面玄関前には大人8人がすわると一杯になる山小屋風の小さなロビーがあり、そのすぐ右側が男女に分かれた浴室だ。
ロビーからは旅館のすぐ西側を流れる「東沢」の渓谷美が堪能出来る。紅葉の頃は良さそうだ。入浴料500円を払いまずは浴場の脱衣所へ。

 極めて一般的な脱衣所の奥は普通に内湯が、その外には道路からも見えた露天風呂が在る。
 
入浴客はMR一人なので早速調査開始だ!


入口から入ってすぐのロビー。清潔感の或る
入口周りである。入って右(写真だと左)


男女に分かれて浴室が在る。


相変わらず脱衣所は質素にして清潔。
流石にもう真っ赤な手拭は無いか(笑w。



成分分析票。新しく取り直しているが、内容は同じの様だ。


 手早く体を洗うと内湯に入る。
 岩風呂風味もある浴槽は5〜6人で一杯になる小さめの湯船で、既に10年分のトロミに覆われて貫禄すら感じる。
 内湯は一応無色透明という事だが、見た目に僅かに黄色みを感じる。また時折、錆色の湯の花が混じる。
 普通に洗い場もある浴室は質素だけど必要十分、シャンプーもソープも使えるので、着替えとタオルだけあればいい。
 湯船の縁に座って硝子窓から外を見ると、丁度露天風呂の間欠泉が吹き上がった所だ。
ここでハタと気がついた。
 



露天の間欠岩風呂は混浴の予告。
バスタオルOKだが、間違いなくサビ色に染まる。


おお!! いい感じの黄金温泉じゃないの!




すっかり貫禄の付いた湯船、いい色合いだ。


シャンプーなども完備。山奥さを考えれば妥当な入浴料とも言えそうだ。


窓から間欠露天風呂が見える。


 
間欠泉を眺める角度と方向、前にも見た覚えが?と気がついた。
 ここ、昔の山小屋の脱衣所と向きと高さが全く同じではないか?一通り内風呂の撮影を済ますと内風呂の踊り場から露天風呂へ。
「同じだ〜〜!」
 まさに浴室のドア位置は山小屋時代と同じ、そしてここから混浴露天風呂なのも同じである!。
ここまで「露天風呂ありき」で作られた温泉て見た事無いなぁ。一軒は焼けてしまったし(泪



全く同じアプローチアングル!→
この露天ありきの立地がスンバラしい。


要するに前の山小屋のときの脱衣所が今の内湯と言う訳だ。


相変わらず塩ビパイプから吹き出す間欠泉、
思わず股間に挟み込む様にズレて寝そべってしまう。


  
泉質  :ナトリウム・カルシウム・炭酸水素塩・塩化物温泉
源泉温度:約35.1℃(ボイラー加熱での供給温度は42~43℃)
効能  :きりきず、やけど、神経痛、慢性皮膚病、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、
     関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え性、病後回復期、
     疲労回復、健康増進
内風呂 :あり。
入浴料 :大人600円/子供300円

まあ、お客さん俺しか居ないんだけどね(笑

 露天風呂は、相変わらず爽快である。
 初冬という季節柄、デカイ虻の心配しなくていいし、あとは間欠温泉を楽しむだけだ。
 入ってみると本当に改良や作り変えしていない事に、ちょっと感動した。
吹き出し口の塩ビパイプまでそのまま使われてるぞ。流石に今度は管理人のじいちゃんが小さな追い炊き用のボイラーを止めて帰ってしまって寒い露天風呂に入る、なんて事はなくなっただろう。
 風呂から上がって、ロビーで少し休む、というか、壁に貼ってある資料に目が冴えてしまう。明治(!)43年の温泉認可票とその後の写真や資料がロビーの壁に張り出してあったのだ。
そんなに古い温泉なのか?ここは。 



明治43年の温泉認可票と成分表一式。


明治43年の温泉成分分析票。内務省 東京衛生試験場の印がある。


認可は明治44年3月3日とある。


バラックが並んだ感じは現在とまるで違う。奥羽南線が明治33年福島〜米沢間開通、
明治38年には青森からの奥羽北線と接続、全線開通となるので観光客を当て込んだか?。


追伸。
 この10年で白川ダム周辺にはオートキャンプ場、コテージ村、リゾートホテル、そしてこの花の湯間欠温泉と森林組合は森林観光資源の開発に力を注いで来た。
例えばオートキャンプ場のハーレーダビットソンフェスタなど、既に定着した企画もあり、成功/失敗の是非はともかく、一定の成果が在ったと見るべきだろう。
広川原温泉も、単なる秘湯ではなく、温泉旅館として生まれ変わる事で、山小屋風の素朴な温泉を好む人々に受け入れられた結果と言えるだろう。
やはり、末永く続いて欲しい温泉である。