
沼ノ平から流れ落ちる「白糸の滝」あれも一種の温泉水である
冬にも凍るのだろうか?。
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「オトーサン!キタネー!」
というレッドに、
「ザクとは違うのだよ!ザクとは!」
という実に大人げない捨て台詞を、実の息子に取り敢えず言ってみる。

軍手が刺さる枝。夜は見たくないなぁ。
とはいうものの、子供の動きが見えないのは不安なので、
「隊長は先頭を切ってゆくのが常識なんだぞ!」
とレッドを煽ててみると、
「そうだよね、当然だよね〜!」と快く先頭を歩ってくれる。
それにしても、大人でも息が上がる登山道を飄々と登る子供を見てると、手前のオヤジ加減を思い知るようだ。

手前の石段との落差は70センチ近い。普通の大人でも躊躇する坂でジャンプ!度胸有るのか?意味解らないのか?
でもやっぱり子供なりに必死なのか?ヘビを踏んだのに気づかないまま登ってゆく。20センチ位のちぃいさな奴でちょっと安堵。やがて尾根筋にあがると視界が開け、船明神山が見え始める。その奥にあると思われる安達太良山は霧に隠れて見る事が出来ない。
それにしても、レッド君は黙々と、いや歌を歌いながら喜々として登ってゆくなあぁ、ちょっと見直してみる。てっきり「疲れた〜」とか言われそうだった憂いを吹き飛ばすようだ。
そして、再び視界が開けたとき、登山道はT字路となり、目前に沼ノ平の鉱山跡が見えてきた。
「これが、全部温泉なのか???〜〜〜( ・_・;)」
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展望台を過ぎると本格的な登山道の様相となる。
子供の足には歩幅が広い。

写真手前もつづら折れのヘアピンコーナー、
レッド君は好調です。
尾根沿いに出ると空への道が拓ける。紅葉も始まっており、取り敢えず記念撮影。
沼ノ平が見えてくるT字路を左(西)へ。
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標高1000mにある極楽。いや、かつては地獄の鉱山だってのだが・・・?
聞くところによる「川全部が温泉」だ。
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先ほど抜かれたハイカーに、
「下りはきついから気をつけてね」と御指南頂いてはいたが、実際沼ノ平に降りる道は「ほぼ崖」で6歳児の足ではきついかな〜?などという親心は全く無視されて、レッドは転がるように沢のようなルートを下ってゆく。
その速さはデジカメの焦点で追い切れない程で、写真を撮っている間に我が子が視界から消えてドギマギする事が幾度と続く。いつの間にか転倒したのかズボンの右側が泥だらけだ。例によって「停まって!」とか「危ないから!」なんて声なんざ聞いちゃいねえ。
「俺のハナシを聞けぃぃ〜!
(`ヘ´)」
と叫ぶと、ブラインドコーナーの先で笑い声が聞こえる。下り坂の障害物競走が楽しくて仕方ないようだが、気が気ではない。
まるで「バイク技能養成ルートのようなS字」を下ると、突然道はなく、登山道はボタ山の上に出てしまう。
たちまち路面ミューを失ったレッドが転倒。起きあがるにもボタに足を取られる。
ボタ山の道沿いには何か動力機械のプーリーの様な残骸が埋まっていて、イヤが応にも「死者の出た廃坑」という感じだ。やがて「バイク技能養成ルートのような一本橋」(落ちたら熱投地獄)を怖々通過すると、目前には見た事もないような廃れた情景が展開していた。
「なんじゃ、こりゃ〜〜〜( ・_・;)」
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お前、実は木のマタから生まれて来たんだ。

バイク技能養成ルート1号。
「転倒すればボタ山温熱地獄」

バイク技能養成ルート2号。
「落ちれば熱湯荒湯地獄」。
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見渡す限りの残骸・・残骸。

残骸によって構成される、残骸・・・?。
取り敢えず記念撮影。廃材の中から使える材木を選別して作った?かのような木道・・。
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この廃れた状況はなんだろう。
かつての鉱山は原型を留めぬ程に破壊し尽くされ、灰燼に帰している。その中から、辛うじて使えそうな廃材を用いて、新たな造作がされ、それすらも10年単位の時の流れに、やっと・ギリギリ・皮一枚で繋がるようなか細さでどうにか役目を果たしている。そんな印象である。写真の橋も支柱の組み込みは鉱山の支持杭のそれのようで、橋として組んだ物に見えない。つーか構成材も外して来た枕木のような木だ。紫芋のような鮮やかな柴色はかえって不気味な程である。
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橋は沼尻温泉の源泉から分岐している。
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その橋の下流にどう見ても誰かが作った湯船?を発見!
ここらで、ええやろ。「レッド!スコップだ!」
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丁度滝壺っポイ場所は大人が入るにグーッド!しかし落ち着きが悪いのでスコップで堆積した砂利や湯ノ花を取り出し、撤去する。掘った砂もまるでボタ山の土のよう。湯ノ花や硫黄結晶のような白い石も混じる。湯の温度は丁度の37度前後か?目前のでかい石の下からもこんこんとお湯が湧き出ていて、なぜかここは無色透明だ。上から流れてくる本流部分は白濁しているというのに?

硫黄泉ではあるが、それほど臭くない高湯温泉なんて独特の香りだがここは泉質も良いのか?さらっとしている。
よく見ると、川のそこかしこで泡立っていたり無色透明のお湯が湧き出て熱い所がある。ははぁ、ホントに源泉地帯なんだな〜。
湯船は数えただけでも5つ以上はあり、というか何処でも温泉なので、ここ掘れワンワン状態でスペースさえあれば大丈夫である。先ほど登山道で抜かれたおじさんもどう見てもせせらぎのような場所で寝っ転がって風呂を浴びている状態である。

砂浜のような場所で早速工事中。スコップより先は源泉が泡を吹いており、砂も熱い。
源泉は直接触れない程、熱いのだ。
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只今温浴中。背中を転がる小石が実に心地よい。
うむ、気分良し!

レッド、入浴中。スコップで掘らないと少々浅い。
でも、気分良し!

源泉部分。毒ガス注意で近年も硫化硫黄に巻かれた方が居る様だ。
毎分1万リットルの豊富な湯量だ。
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荒涼とした砂漠に舞い上がる砂嵐を連想させる湯気が、延々と送湯管にまとわりつく。
眼下には、かつての繁栄の残骸が累々と続く。

かつての鉱山事務所の場所には唯一無二の索道が生き残る。
自重50tはありそうな巨大な石にワイヤーの身を任せ、最後の息をしているようだ。
ヒューヒューと、吐息とも風鳴りとも取れる音が乾いた大地に時折響く。
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箱の部分でお湯の熱気を放出している。
いわば「減圧機」?。

高さ6mはあろうかという索道の櫓。
おそらくは昭和初期に築かれたであろう石舞台の上に立つ。
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中にはどこからかバスタブを持ってきて川にセットしているオヤジもいる。
入っている人も様々で、老若男女を問わない、ちょっと若奥様っぽいグループやどう見ても大学の温泉同好会のような男女の連中も居て、まあ、目の保養になるなぁ〜。レッドも静かに・・基地を造成しているようだ。
取り敢えず手前に源泉の吹き出し口があり温い部分から徐々に触らせて熱い事を確認させて、近づかない様に躾る。すると珍しいのか、今度は吹き出し口を探し始めたので止めさせる。
何をするか解ったものではない。
風呂からナゲットでレッドを釣って揚げ、食事を採る。こういう場所のオニギリの何と美味しい事か。
食事が終わると沼ノ平を一回り散策する。源泉の側にいったり上の湯船に覗きにいったり、俯瞰で撮影したりして、ようやく帰路に就く事とする。
鉱山の残骸を眺めつつ送湯管にそって歩くといつの間にか例の崩れてるらしい近道に出てしまう。つーか送湯管の管理道路なんですね、登山道じゃなくて、純粋な作業道なのだ、この道は昔から。その証拠に今でも唯一残った索道によって、硫黄を温泉におろしているのである。途中にはかつての送電設備や幾度と無く修理交換した塩ビパイプが無造作に捨てられていた。しばらくは登山道のような道も、白糸の滝の東峰に辿り着く頃には戻った方が良かったと思うほど険しく切り立ったルートを歩かせてしまった。
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