廃道日記(Riding・Report)


県道指定をしたものの・・。
その道は明治の頃からずっとそのままなのか?。




振り出しに戻る。

廃道日記 25「栃木県道28号線"不通区間"」






 「県道」とは

地方それぞれの自治団体が認めた
「地域流通の基本となる重要幹線網」
となる道路の中で、

県が指定する
「主要地域間連絡重要幹線道路」
である。


しかし世には、指定されたにも拘らず
時代の連綿から零れ落ち、
未だ
幹線道路足り得ない道もある。

一世紀を経ても道路として生成出来ず、
森の澱となる古道・・・

人呼んで「未成線」と言う。



ご使用上の注意!
このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。
また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。



 その功罪

 その道らは、盟友あづさ2号氏が暫く前にレポートし、その後に廃道界の雄"ヨッキれん"氏が走った道であり、既に通行が可能である事が確認されている道である。

 八溝山系は、東北と関東に跨がる山と言う事もあり、こと林道に関しては地元の反応が過敏である事は否めない事実である。例えばオフロード雑誌などに掲載されると双方からのツアラーが増え、やがてトラブルが起こり、結果的に林道が閉鎖されるという事が絶え間なく起こるのだ。八溝に限らす花園や四時辺りでもご同様である。
 今回、他に幾つか林道を訪ねたが、基幹林道以外のピストン、抜け道は総て通行止めという”拒絶”に近い状態と雰囲気だった。
 会津の林道などでは、道ばたで休んで写真を撮ったりしていると「おめえさん、何処からキタえぇ」などと声を掛けられたりするものだが、今回は近隣の部落民の視線もいささか冷たい感じがしたのは何故だろう?
 ただ単にワイルドにダイナミックに走れればいい、などと言う時代はとうに過ぎ去って、「林道を管理する側と何かしら共存してゆく必要が在るんだろうなぁ・・・」などと取り留めも無く考えさせられたツーリングである。
 自分にしても楊枝峠の先例があり、林道にしても廃道にしても、その公開がどんな影響を与えるのか?という事が、こちらの想像を超えて問題になるのかも知れない。
 その功罪を判断するのは、少なくとも自分では無さそうで、判定次第で取り返しのつかない事になる可能性を常に内包している事を考える必要があるのだろう。

 そして、この道もその一つなのかも知れない。
 この日廻ったのは
「茨城県道248号線」「栃木県道28号線」である。

 迂回がてらの・・・

 
時計は既に2時を回り、そろそろ帰りのルート選択と言う所だった。
 八溝と言えば林道だらけの山では在るがその半分は舗装林道だ。舗装林道に限っては殆どの所が通行可能である。例えば福島側の県道八溝線(旧名久慈川林道)」もその殆どが舗装化されて大森林道までの分岐までもはやダートは殆ど無い。橋の竣工待ちの状態で通行止めではあるが、一昨年から問題なくバイクの通過は出来る。
 と言っても工事が休みの日曜祝日の話なので、バイクと言えど平日は通行が出来ないかも知れない。

「イヤイヤ、通行止めは通行しちゃイケナイわけだから!」by神様
 この日も超有名な「真名畑八溝線」をナナメに交差する某林道は完全ゲート封鎖!徹底的にバイクが入れない様な状態で、
「そこまでして閉め出したいんかい」と首を捻る程である。
 そして、気がついた。
「この辺に有名物件があったよな?」



某分岐林道ゲートとの間のパイプは溶接だよ?。
そこまでして排除したいんか?


八溝公園線入口。
造っておいて
「通行止め」とはこれいかに?。


延々直線の舗装路を走ると、水飲み場に
もう一つ簡易封鎖がある。

ネットで拝見した時より人の匂いがする?。


「ああ、やっぱり・・・?」まあ当然なんだが、
更に厳重に封印されているわな。


イヴァ〜ラギィィ〜県営?八溝林道入口。
昭和33年着工、同56年竣工。
全長6.439m/全幅4m。

 しかも地図を見るとナナメに中通りに戻るルートセッティング、仮に通行が出来なくても、迂回ルートを組めば最悪高速で帰れるナ。
「ッて、ナラシ運転中だがな・・」
まあ、高速70km/hで帰ればいいか?
 と、言う訳でやって来ました栃木"険"道248号線「八溝山公園線」だ!
「終了」
 約3Km、つづらのヘアピンの先にあるゲートは単管パイプが追加されて完全固定されていた。
「ま、仕方あるまい」



それがここだ!? ゲート増えてるけど荒れてない?


林道ではなく県道の?
最初は茨城の八溝林道の案内かと思ったが、
茨城県のだった!
この道(県道28)の元は林道なのか?



 休みだとは思うが、中で管理者と鉢合わせしても楽しく無いので、ここは素直に戻り、栃木県道28号線から栃木県管理の八溝林道に右折する。ここも舗装林道で、しかもやたらと通行量が在る。県道入口の鳥居を観れば判る様に、そもそも拝観目当ての観光林道なんだから仕方ない。
 でも、それならさっさとさっきの八溝公園線を供用すりゃいいのにね。等と思いつつ、わざわざハイキングで舗装林道を歩く初老の集団を追い抜いてゆく。スイマセン、喧しいバイクで。
m(__;)m
 県道よりも林道という事だが、地図上の位置関係を掴む為に、通った事のある道を組み込んで置けば、苦もなく理解出来ると踏んだ選択である。
 この場合、真名畑八溝林道周辺がそのルートとなり、いつもの福島県道377号八溝山林道の更に西側にその道は存在した。


林道八溝山線の表記が在る。無論茨城県の八溝林道だ・・・。
つまりここが終点?

写真右上から、
中丿沢林道:>及び旧久慈川林道>現 福島県道377号「八溝山線」。
腐沢林道:>現 茨城県道248号「八溝公園線」。
八溝林道:>茨城県営「八溝林道」(現在も同じ。総延長は約7Km)。
 この3本を結ぶ赤丸までの赤線も、現 八溝林道(もしかしたら栃木県道321と共用?)
赤丸の位置:が現在の分岐点。「至黒田原」の方角に山を下りてゆく。
 (これが本来の県道28号線。この通行止から"不通区間”。28号県道指定は昭和49年)
この地図に昭和37年竣工の真名畑八溝林道が無い。茨城県営「八溝林道」が33年着工なんので、この看板は33〜37の4年間の間に建てられたと思われる。


間伐の合間から冬の太陽が顔を覗かせる。


今年は緑と黄色がいいね、赤系はイマイチだね。

その「仮定区間」或いは「暫定区間」と言うべきか・・??
 栃木県道28号線。取り敢えず道の解説なんかはヨッキ氏に”押し付けて”
実際に走ってみようか?
 突入

 実際に現場に起つと、この道の在り様が感じられた。ここを一つの峠と思えば、車道として明治から在りそうな風情を感じるからだ。
「あれれ???」




雑木林と杉林のコントラストが在り過ぎて、組み合わせがひと苦労(組み合わせかい<俺。


車が走り易い様に木が添えてあるが・・・
軽く10年は放置プレイ続行中か?


ウネウネの地形図を正確にトレースする。
その実直なまでの道造りに頭が下がる。

 これもやはりネットの成せる技なのか?2007年春のヨッキれん氏の時とは趣が違う。古めかしい木製のゲートを押しのけて、単管パイプの新座者が文字通り幅を利かせていた。キチンと新規に組み出されている様だが?。

 

杉林の深い緑とともに、広葉樹の味わい深い黄色の色合いが広がっていた。

 そしてこれも予想通りに、その横に侵入スペースがあり、チャリやバイクの轍が森の奥に吸い込まれていた。
「御同輩は既に踏破済みか?」
 夕暮れまで後僅か、
ヘルメットを被り直すとMRを乗せた新生ニコは同じ様に森にその身を滑らしていった。
 最初こそ暗い森に入り込む印象だが、間もなく間伐区間に入ると日が差し込み、雑木林と植林地の境界線でもあるこの林道を明るく華やかに照らし出していた。



綺麗だ 晩秋のこういう道は大好きなんですよ。


「こいつはアタリだな」
 決して山に入るべき時間ではない夕方4時の突入。デジカメの苦手な光量限界まではもういくばくもないだろう。しかし、
朝夕の日に照らし出される紅葉こそ紅葉の真骨頂では無いだろうか?
 造林の為に小型トラックも入れる道幅と経線は確かに存在した。無論、それなりの整備も必要では在るが、その気になればあっという間に大型車も通行可能な3mまで拡幅出来るだろう。

 やがて本格的にヘアピンコーナで地形図通りの下りが始まる。
 奥まったヘアピンは殆どが沢筋と言うデフォルトであり、どれも申し訳無さそうに水が流れている。
 たいした事は無さそうな沢だが、撮影の為にヘアピンの奥に入るとそこは鉄砲水の惨状である。どんな小さな沢でも決して侮る事は出来ないだろう。

 奥は細道

 八溝側から1.5km程入り込んだ所で、ヘアピンを境に道は更に細り、路肩の谷側の傾斜もキツくなってゆく。
「素晴らしいぃ」
撮影の為に下りると、落葉は脛まで埋まる所もあり、驚かされる。
 約6尺(1.8m)程在った道幅がこの辺は4尺(1.2m)前後まで狭くなる。

 
杉林と狭い道幅の為に風が吹き抜けぬにくくなり、林道上は一面の落葉が絨毯となって敷き詰められる。
 ふと、路肩に測量杭が打たれていた。道路のためではなく、植林地の面積を測ったモノと思われる。


「素晴らしいぃ」


暗い所では光量落ちが激しく、
写真が撮影しづらくなって来た。


これから冬を迎えるというのに、
実に「潔ぎ良い」風景である。



路肩には測量杭が4〜5本打ち込まれていた。

 杉林に切り刻まれた夕日が、切れ切れに林道の路面を照らし、晩秋の落葉にオレンジのスポットライトを浴びせかける。その一瞬の見事な色合いに感嘆する。
 狭まった路面は更に荒れ始め、林道には時折落石が目立つ様になる。既に普通車の通行はほぼ不可能で、軽自動車すら怪しい状況だ。
 だが、これがいわゆる明治時代の、「聯道(荷車を通さざる里道)」と云うモノでは無いだろうか?そして林道であるが故に、100年以上もそのままここに在るのではないだろうか?
 

晩秋の林道とは、こうあるべきだ。


コンパクト!まるで中央の木々がオブジェの様だ。



自然のテキスタルデザインを楽しむ。

 一世紀以上の時を越えて、未だそのままに在り続ける事が出来るのは凄い事ではないのだろうか?
今の時代はデータで構成されつつあり、どんなプロテクトを組んでも書き換えられてしまう時代だ。機密など無いに等しいと言っても過言ではないだろう。
 普遍不滅は世の願望だが、この林道は確かに今までそれを叶えていたのだ。
 ヘアピンの屈折度もついに極まり、その角度は普通車ではギリギリ1回のターンとなる。
 そんな道幅の狭い屈狭路の癖にヘアピンはやたらと奥が深いのは、すでにここがトラック等は一種のスイッチバック的に使われる事が前提となっているのではないだろうか?

 脱出 5

 時計は4時半を廻り、すでに暗がりでは撮影が困難な状況になっていた。
晩秋の廃道行、落葉との蜜月もそろそろ終盤となっていった。
 周りの雰囲気が変わる。非常に美しく整列していた造林が切れ、鬱蒼とした雑木林に出たのだ。



ああ、日が沈む!でも綺麗。


ようやく杉林を抜けた様だが・・・?


「なんじゃこりゃぁ」言わずと知れた"県道キロポスト"がある・・。
ヨッキ氏のHPでは
"31"も確認されている様だが・・・MRは解らなかった(笑w


ガードレールだ!道幅が6mになっている!
実に20倍の道幅差がある。

 日当りが良い道路上には草が生い茂っているものの、明らかなダブルトラックの上を走ると、森の中で感じたフワフワ感がナイ。
「下地は砂利か?」
 道路として作られた路盤では?と思った瞬間、路肩に黄色い三角柱が現れた。
「なんじゃこりゃ?キロポスト!」
ついにキタか!!
 続いて草影からガードレールが、遠く法面がモルタル吹き付けの壁となって現れる。



「舗装だ!!!!」仮定区間を渡り切る・・・・。
上に登りがある分岐路のハズだが完全に藪で沈黙している?


一応、管理する気はあるんだな・・・。
でも、完全封鎖じゃないし。

 時計は4時45分。僅か2Kmについつい時間を掛けてしまった。
つーか、普通に走れば15分程度の道程だった。
 さらに進むとゲートがあったが、これがまたやる気の薄い仮設ゲートであった。最早通行止めと言うより、
「明らかに我々を呼んでいる」ワザとじゃないか?と思う程だ。
 ここで道路は小さな分岐が在り、下の沢沿いからの同じく登るルートのようだが、ロードマップでは点線がきえてしまう。舗装の復活した28号線も新規の県道らしい規模となっていたが、繁殖力旺盛な雑草どもがその広さを覆い尽くし、道幅は本来の3割程しかなかった。



出た!ヘキサだ!生い茂る雑草の奥に、確かに"28"とある。


ここ数年に起てたのであろう、余り痛んでない。
地域表示が曲がっているだけ。


無事、通過。
枝道も気になる所だが・・・?。

 そして分岐の広場で、目前には燦然と輝く県道のヘキサが起っていた。

 確かに通じていた栃木県道28号線、茨城側と繋がるのは、一体何時頃の事なのか?
 人力の明治の頃に緩やかに峠を越え参拝する為に作られた道は、動力交通の前にひれ伏し倒れ、今後も立ち上がる事は出来ないだろう。また、そんな需要が今後の八溝山に在るとも思えない。

 知る人ぞ知る明治の名も亡き峠道は今後も静かに眠ってゆくだろう・・・。

調査日:10/11/14の状況:
 通行止めゲートの間の区間距離は3.2Km。まさに道の誕生と変遷の縮図と言えるだろう。
 周囲に民家等も無く、観光林道の一本に追加されても特段の通行量等は無いと思われる。

 路面状況は台風通過後の荒れた林道というイメージ。使われないので浮き石が多く踏み固められていない。
 地形的には安定しているのか?特に破綻した部分も無く通行が出来る。ただ、一応「廃道」?いやいや閉鎖林道なので、普段的に普通車両が通る事は無いだろうから、準備は万全に。



部落の一番奥か?
さて、日が沈む前に白河に辿り着けるかな?有意義な"不通県道"だった。

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