ご使用上の注意!

このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。

走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて
無断で補正しています。

また、
掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容による
いかなる被害も当方は
保証致しません。




令和元年台風19号被災林道報告。

Vol 1 /福島県/浜通り/いわき地区/いわき市、広野町、楢葉町


巡回 Photo !

林道乙次郎線(東区間)峠から下り初めの源流沿い付近。


 誰が呼んだか「林道パトロール」森林管理署と全くの無関係であり、勿論誰かに頼まれた訳でも無く、ただただ林道を見て回るだけのけったいなパトロールでございます。
ネットスラング?の「自宅警備員」が的確な表現?というか行動原理かもネ。
 改めまして、福島の林道を俳諧する自称福島の林道巡回員?のMRです。
 春も3月に入り、いよいよオリン
ピック春の林道。廃道シーズンですね!
 しかし残念ながら、昨年秋に来襲し日本の太平洋沿岸部に多大な被害をもたらした台風19号
(国際名ハギビス:カテゴリー5)により福島県内の林道は大きな被害を被ってしまいました。
 それでなくても阿武隈山系は原子力災害により車両の出入りが厳しく規制され、特に二輪車は国道6号線すら分断による通行途絶という状況が9年も続きました。
 それは致し方ない事態ですが、林道を管理する福島森林管理署なども大変だったと思います。
 そんなわけで、やっと徐々に除染が終わった道から通行出来た訳ですが、せっかく通行出来た林道も今回の台風で状況が変わっております。
と、言う訳で
パトロールの報告です。
 先に言っておきますが、被害は甚大なため今年一杯通行が不能な林道も多々在ります事、ご了承願います。


沢までざっと20mくらい?


また、簡単な目安として
(A)被災してるが通行は可能。
 
 林道管理者が片側のみの簡易ゲート等で現場対応、または未対応
  もしくは放置。

(B)通行が困難な被災、四輪車の通行は不可。
  
林道管理者が林道両側に通行止め看板と比較的強固なゲート等で
  現場対応あり。
  林道路盤の半分以上が流出欠損し
物理的に車が通行不能な状況。
  または道路構造物(橋・路肩・法面など)に著しい被害が出て
  二次災害を念頭に通行する必要が在る林道。
(C)被災により完全に道路が途絶、通行不可能。
  
林道管理者が林道両側に通行止め看板と比較的強固なゲート等で
  現場対応あり。
  林道の全長において
1カ所以上の林道路盤が流出欠損し、物理的に
  徒歩以外の通行不能な状況。
  
道路構造物(橋・路肩・法面など)に著しい被害が出て二次災害の
  危険が極めて高い道。

という個人的ランクを付けておきます。


ファイル1
 林道乙次郎線(東区間) 1
四倉地区/当ページナンバー
F-018



キタコレ!


写真右手の沢から土石流。沢の普段の水量は殆ど無い。


側溝を破壊した濁流はアスファルトを引き剥がし押し流した。


 
民家の庭先を分断する林道の絵面で90年代からの有名林道である「乙次郎林道」は、木戸川ダムの北側に位置する乙次郎集落を中心に東西に林道を林道で結んだ生活道路である。
 ダムが無い時代は太平洋側の楢葉に出る東ルートと川内村に通ずる西ルートをひっくるめて「乙次郎林道」とオフロード雑誌などに紹介された林道である。

 しかし平成24年に木戸川ダムが完成すると、旧木戸川林道と乙次郎部落がダム本体を持って繋がり、西郷村に出る
西区間と統合されて「県道240号線」に認定、平成28年に県道全線が舗装化され西ダート区間が消滅した。



「濁流はそのまま道路を押し通る!!!」


100m程流れた濁流は更に勢いを増して、路肩が軟弱な部分で下の川に流れ込む。


 今度今回台風の被害に遭ったのは残された東区間である楢葉町ルートである。
 
ここは今回の災害の特徴が良く解る被災だ。

 比較的大きな枯れ沢(降雨量の多い時だけ沢に水が流れる)が1日100mmを越える猛烈な雨量で土石流が発生し、暗橋で渡る林道を道ごと流出する被災状況である。
 今回の台風の特徴でもある
平均降雨時間72時間(おおよそ3日程度)、平均降雨量110mm(場所によっては1年分の雨量)阿武隈山系の最北端に当たる宮城県丸森町筆甫(ひっぽ)の総雨量は588mmに達している。

Map




「状況終了」でもアスファルトの下まで水来てるな。


 
枯れ沢そのものを破壊し、ショットガンの様に流れだした土砂や流木が、
1)一気に暗渠排水や側溝を詰まらせて、膨大な圧力に耐えられなくなった道路ごと押し流す。
仮に流出を免れても
2)林道上に流れ来んだ土砂がアスファルトや路肩、ガードレールなどの道路設備などを流したり路上に大量の土砂や流木を残す。




「部落の目前」裏山が流されているぞ……!


林道を横断して川に流れ込んでいた……


という主だった二つの事例が大半だった。
 乙次郎東区間である楢葉町ルートは2)に該当し、通行止めの主な理由は路盤欠損に拠るものであった。




県道35号に到達。


(B)通行が困難な被災、四輪車の通行は不可。
2)林道上に流れ来んだ土砂がアスファルトや路肩、ガードレールなどの道路設備などを流したり路上に大量の土砂や流木を残す。



ファイル2
 県道249号線「上戸渡広野線」
(いわき市小川町上小川周辺から広野町下箒平周辺)
2
四倉地区/当ページナンバー:
未掲載。



「なんじゃこりゃ」


「全部流出ぅ!!!」道も川も小屋も畑も、総て流された様だ?。


県道249号線。
現在路上に掲示されているのは2タイプ。
これは番号型。



下箒平入口に在る通行止め看板と
ヤる気ないパイプゲート……


これが名称型。

「県道上戸渡広野線」とある。


 
この道は林道が昇格して県道になった道で福島県下でも珍しい、未だにダート区間が存在しながらここ10数年放置されている県道である。

 
その林道とは80年代に一世を風靡したロングダートである浅見川林道であり、当然道路開削は昭和40〜50年代に富岡営林署で行っている。(それだけ時間が在っても未だ全線舗装が終了していないとは………?)



ゲート封鎖から僅か200mほど。直ぐ裏の法面が落ちた様だ。
ここで軽虎以外の通行が物理制限される。



「枝林道は散弾銃」猛烈な勢いで流出の跡が。



「箒平資材運搬線」と言うのか。

 浅見川林道は箒平部落を中心に東南に作られた基幹林道であった。
 
尚、昭和38年に浅見川林道約19Kmは県道に昇格している。

 令和2年2月現在、
広野町に出る東ルートは既に被災補修も終了し、問題なく通行出来る。




「もはや何も言えない」
僅か700m程の作業道だが、死亡フラグだ?


警戒標識「路面凹凸アリ」……え?。

 問題は四倉側に出る南区間である。
 箒平から浅見川の源流越しに進む区間は
生活道路ではないため、被災後半年が通過した現在も放置プレイのままである。

 この県道は当ページオススメであった
「銅山周辺林道群」への二次アクセスルートであり、県道46号いわき浪江線と共に阿武隈山系を東西に挟み込む縦走県道でもあった。



「洗い越し」かよ!
どうやら県道249ではこの標識の意味が違う様だナ(爆w


枯れ沢が濁流に呑まれる…

暗渠廃水は完全に沈黙。


 不幸中の幸いと言うか、車は無理だが
バイクは通過が可能と判断する。
 ただし二次災害の可能性は非常に高いので、
全くオススメしない。
 また、ここからアクセス出来る
黒森林道(県道247号線/廃県道)も既に通行不能なので林道抜きで通過なら自己判断でお願いしたい。



オイオイ、まだ流水してるぞ!……大丈夫か?。


その先も御覧の通り……舗装の下を濁流が通って、舗装が浮いている。


「未舗装区間3連発!」
舗装の上を水が走り未舗装区間の砂利を押し流す。


第2区間。

第3区間。


「一番上から既に濁流流入しとるわ」


「中曽根橋」昭和三十九年竣功、富岡営林署謹製。
この橋を建造中の昭和38年に浅見川林道約19Km(当時の林道末端がこの橋らしい)
県道に昇格しているので、この橋は営林署管轄で作った最後の橋と言える。


県道に指定後にも拘わらず、親柱には
「浅見川林道」と銘打たれる。


 ご覧の通り、県道区間は旧浅見川林道がそっくり昇格した道路であり、下箒平から四倉に南下する道には「中曽根橋」という富岡営林署謹製のPCコンクリート橋が現役で架かっている。
 今回の写真は広野町の箒平から南の四倉に南下している順だ。


 この僅か8Km程の源流区間に洗い越しと呼ばれる場所が5カ所ダート区間が断続的に3カ所、そして数カ所の林道の入口が点在している



橋を渡ると川から離れ、風景が変わる。
ここまでが広野町。



舗装もここから変わる、見通しも良くなる。
ここからはいわき市。



でも県道はヤバい!
 
が、メインとなるこの県道249号が被災して通行止めの為に出入り出来ない状況なのだ。

 特に、かつての2010年代カソリ氏お勧めの廃県道247の西側にあたる黒森林道が通行不能である。
 県道はさらに三叉路の南側も路盤崩壊させている。ざっと見回せばこの県道が地形上沢の次に低い窪地を通っているのが解る。



「マジでヤバいぞ!」もう、クルマは不可。


「うおっ!てるよ」。


 山の地名において「窪」は湿地帯である事が多い。
 
案の定この道も水の通り道になってしまったのだろう。濁流に道路脇の側溝や暗渠排水が破損して、大量の土砂と供に舗装路を侵食し、アスファルトの下を水が潜って舗装路を打ち上げさせるのだ。
 
下地の砂利を流された舗装路は歩くと木の橋を渡るような軽く響く音を出すので歩けば直ぐ解る。



「黒森林道(旧県道247号線)入口に到達」
つーか林道側からも凄い流水跡!


「現在も状況進行中(爆奥が三叉路。


「側溝破損部(源流)到達」並みの軽虎でも足が浮く舗装路面、笑う総車線。
 

赤い矢印の所に
通行止めのビニールが曳かれ、通行止め。
 
 その際、足裏に
「たわみ」を感じたら直ぐに引き返す事だ。
 
その下はアスファルトだけが残って下は洗掘となって転落の危険が在る
 
バイクやクルマではたちまち転落事故を起こすだろう。雪山登山の滑落原因である「雪屁(せっぴ)」と同じ現象を起こすのだ。
 三叉路から注意深くKLXを進めると30m程で路面崩壊の先、黄色いビニールの規制線があった。
 どうやら四倉側からここまでは通行可能な様だ。
(と、言う事は猫啼山は?)


(B)通行が困難な被災、四輪車の通行は不可。
2)林道上に流れ来んだ土砂がアスファルトや路肩、ガードレールなどの道路設備などを流したり路上に大量の土砂や流木を残す。



ファイル3
 「林道黒森線(県道247号線西側区間)
3
四倉地区/当ページナンバー:
F-088



「酷いな」物凄い砂利が流れ出した跡。


「タイヤ痕アリ……」え?。
 黒森林道は当ページオススメの県道249号線から常磐線末継駅に繋がる停車場線であるが、県道に指定されたのは西の黒森林道、北の五社山黒森大内林道の交わる三叉路までだ。
 因みにこの一帯は
ウリ坊王国と呼ばれる程に何時通過しても何処かで子連れのイノシシに遭遇する。
 
あのカソリ氏が聖書に書き出す程だ。
 これも原発事故の後遺症だろうか?だからといって
巨大化もせずに普通のイノシシだった(イノブタにも成っていない純正)りして、改めて「放射能を浴びると巨大化」という短絡的SF発想が頭をよぎる。

 さて、黒森林道と言えば県道249から最初の峠となる電波塔管理道の分岐迄の直線区間が魅力の林道だが、
今回は入口のこの部分から波乱の状態だった。
 接続する県道249号線に流れ出た大量の砂利は、まさにこの黒森林道から流れ出た物だ。このほぼ総て?がこれから向かう
峠の分岐まで約2kmの路盤流出の結果である。
「なんだこれ?行くしかないのか?」
 
そして誘う様な2台分のバイクのトレッドパターンが悩ましい。
 これがまた登れど続く三途の河原を遡上という素晴らしいタスクである。



「黒森林道峠まで直線登り」路盤全面流水跡!


「うわぁ(爆コレは死亡フラグ、回収は不能か?。


「深さ1mくらいか?」峠までの約2Kmの登り、全部洗掘かよ。
 

「唯一の登りコーナー」
小さいけどやっぱり洗掘が続く。


キタコレ……。

 途中、緩いS字コーナーの先にジムニーも転落する巨大な穴が現れる。
 隣りの沢に爆発的に流れ込んだ跡、MR的に言う
「林道ブラックホール」である。
 その先は完全に三途の河原状態だ。遠く壁の様に見えるのは
埋設部分が完全露出した道路を横断する側溝のあられもない姿である。
 
その段差、目測80センチくらいか?
 
昔男体山林道で見た事在るが、あの側溝は40cmくらいだ。ちなみに足下の頭大の石は殆どが動いて力を掛ける事は出来ないだろう。まさに河原。
 
 基本的にというか、選択の余地なく路肩の縁の部分を走ってゆくが、何度か目に写真撮影ポイントに停車したら
そのままリアが落ちた(爆
 これを引き上げてさらに登って行く。ちなみに落ちた所はT字路の様で、支線から流れ込んだ大量の水はそれが支線だったのか沢だったのかも判らない程に流出していた。



「ブラックホールの発生を確認」ジム二ーすら転落だな、コレ。


見渡す限りの洗掘……。

 ウリ坊王国までざっくり10分くらいの道のりなのに、1/3程度で既に15分だ?こりゃ峠の三叉路まで30分以上かかるな。
 県道までほぼ直線の区間から道は南向き直角に右に曲がり、実は左手に寄り添っていた沢と初めてサヨナラする。
 賢明な読者の皆様なら察しが付くと思いますが、本来法面から溢れた雨水は道路を横断する側溝で沢に流れるべきが、常態詰まってたのか土石流か?とにかく川まで行かずに道に流れ出た結果なのである。
 そして最早、
結果どころか道その物が川に、洗掘の川に成ってしまった訳だ。
 流石に沢と別れると路盤の洗掘が激減した。タイヤの幅まで縮小した洗掘が延々と峠に登っているが、明らかに峠に向って細くなる。



「現在も状況進行中コレも酷い。


「うはあぁ」横断する側溝に意味を問うてはならない。
 

「洗掘に浮かぶ島があるぞ」撮影後発進すると転落
それを更に撮影(爆!



「やっと細く」でも途切れる事無く続く。


「峠キター」まだ先が在る洗掘

 峠の数十メートルで洗掘は消滅、フラットな峠を越えて下りに転ずるとすぐに三叉路が現れた。
 
直進にゲートが置いてあるのが黒森林道本線、左に緩やかに折れて別れるのが電波塔管理道路で、案の定ウリ坊親子に出迎えられる。
 柔らかい所はイノシシが掘り返しているのでフラットな所は道路である。



「分岐点に到達」
ざっくり2km程の区間なのだが?

 
「ウリ坊王国入口」
間違えた!電波塔管理道入口(写真左)だわ


「下り始めるとすぐ洗掘」
登りと変わらんな?

 三叉路から20m程で右に作業道跡があるが、そこから大量の雨水が林道に流れ込んでいた様だ。
 暗橋にしても良い様な小さなPC橋があるが、川の水無く橋が大量の土砂で埋まっている。

 ここから節操のないジグザグと大ヘアピンで一気に標高を下げ、五社山黒森林道終点と県道249号暫定終点のある三叉路に到着出来る筈なのだが?
下りのS字区間に入ると早速洗掘が現れる。
 普段は水量の無い枯れ沢の谷で洗掘は土石流の跡とともに消え去り、暫く下るとまた洗掘が現れ次の谷でリセットされ・・・が続く。

 尾根端をぐるりと回って逆ターンとなると、谷が無いので細い洗掘だけが蛇の様に続く。
 大きなヘアピンで高低差を付ける林道は、当然の事ながらその間を沢が跨いで行く。そこは総て流され瓦礫を成すがかろうじてバイクは通行出来た。勿論未だに先行者の轍も健在だ。

 やがて仲間内で密かに「●○さん転倒コーナー」と言えば通じる半径の大きな名物コーナーまで来た!



林道を横断する側溝の前後の舗装は何とか無事だが。


洗掘は消える事無く在り続ける。



路肩の方が高いので、雨水が流れ出ない。


 ここから山の中の三叉路までは走って3分掛からない、一応のゴールまでもうちょっとの所だ。
 この状況では廃険道247は通行不能だろうから、
五社山黒森林道が生きていれば俺の勝ちだ!
「アウチ!」
ミチガ ナイ。
 
転倒コーナーの出口付近の路盤が土石流で完全に流されていた。その高さは10m、距離は7m程か?

 
終わった、やはり先行者の轍は2台ではなく1台ピストンだったか。
 ここは廃県道の隣りを流れる  川の源流部分だ。




そして路肩崩壊。同じような次の枯れ沢の谷で、路肩が御臨終してる。
 

細く長く深ぁぁぁあい洗掘


「魚っ!」暗渠の周りが大荒れ。
 

落石注意、退避所アリの看板が虫の息?。


 幾つかの小さな沢がここで一つに成るのだが、降雨量から来る爆発的な水量の激増は小さな源流の沢筋や一般的な道路側溝など、何の障害もなく押し流しただろう。

 この巨大なクレパスがその結果である。
直感的に
「これは今年は直らないな」と思う程の被災だった。



「流出寸前で立ち止まっている」
谷から溢れ出た瓦礫が暗渠の周りに堆く積み上げられている。
 

「アウチ!」黒森林道流出、通行途絶。
 

「ここで終了」

 なにせここまで来る迄の林道総てを補修しないと、重機すら入れないだろう。
それ程決定的かつ徹底的に破壊されていたのだから。

個人的判定は、
(C)被災により完全に道路が途絶、通行不可能。
1)一気に暗渠排水や側溝を詰まらせて、膨大な圧力に耐えられなくなった道路ごと押し流す。
の事例が延々繰り返し発生している状況で、勿論トドメは1)の路盤流出です。
当然、通過ランクは(C)、通過不可能です。


「新たな沢の誕生だな?


深い 10m近い深さが在る、先ほどの暗渠区間の下がこれだもの。
 


 
Vol 2 につづく。





  
次回予告。

 次は原町です。