そこは、
もう……。


終わっているどころか


完全に逝っている
じゃんよ。








ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。

「これが2014春の甲子峠」

さて、逝くか。




2014 春の甲子 RevengTour ! -02



今回のルートは県別マップルで既に羽鳥側は林道抹消。下郷側は掲載。TouringMapple2012.3版に掲載(林道表記なし)


峠には甲子山への登山ルート入口が在る。この峠には5〜6台の駐車が可能な空き地がある。

 西郷村村道
「林道甲子線」
5


峠から見える最初の薮に突撃する。
植生は旺盛だが、その足下にはちゃんと道が在る。

 本当に林道の名残りがあるのは峠のゲートの見え係りだけである。
 木々に隠れた路面は既に荒れ果てそこらじゅう落石と雑草にまみれて、軽自動車の車幅も無効としていた。



日焼けのない落石注意。奥へと道は続く。


 3台は大胆かつ慎重に駒を進める。
 昨年ここを通過した動画から路面状況はおおよそ見当を付けて来てはいたが、
実際に単車で入り込むと画面で見る以上に荒れている。

 これは某動画サイトで閲覧した動画から約1年
(2014.5月現在)を経過し、現在の林道には昨年秋の降雨災害や残雪流出に伴う物が増えたからだろう。
 今年の話はまだ何処からも出て無いので、さっきの110ツーリストのグループ共々今年トップの突撃グループだろうか?。
 こんな所に何時から沢が在ったのかと思ったら、道路に流れ出た沢水が道路上の植生を盛んにして、アタックの車と言えどここの薮で足を止めるだろう。
 そして、崖ぎわの道から見通せる絶景の中にはこれから行く茨の道もしっかりとフォーカスされていた。
 浅い木漏れ日の中に立つ落石注意が異様にすら見える不自然さだが、西郷村が国道指定しようと目論んでいた心根がチラ見出来る。10年前にまだ現在の国道が建設中に設置された標識だ。
 前に通過した時も見てる筈だが、改めて確認するものの覚えが無いな?。
 その先にはかつての野宿コーナーまで道は在るようだが・・・?とにかく進んで見よう。
 先ほどと同じような小径から、今度は路盤に沢のような洗掘と涌き水のような清らかな清水が…イヤイヤ、早くも不安が適中かよ!どんどん沢が深くなってるよ、イヤな予感だ。
 
 やがて先程と全く同じに地形から今度は小さな沢となって、落石の先には真っ赤に燃えた太陽の様な赤土の大崩落が見上げる高さで威圧していた。

「道じゃねぇ、崖だ」


いきなり広場のようなコーナーに出る。
「ここが野宿コーナー」


「三途の川」そんな感じ。
ナゼナラバ…


川を過ぎると石だらけだから。
「最早崖だよナ」

 
 瀕死の林道 6

 車が通らない為に道幅は1m程と成り、その道幅を更に埋め尽くす真っ赤な土に根の浅そうな雑草が低く広がっていた。
「どう見ても崩れているな」
「道幅が在るように見えない」
「つーか、土手にしか見えない」

それでも、取り合えずトツゲキしてみる。それが基本だ。
 
 雑草に隠れて岩石や倒木も多数あるので、慎重に登る。さらに先に落石もあったので物理的に車幅が無くなる。
その先は………!?
「真っ赤な斜面」
路肩は無い。読んで字のごとく、これがホントの「道幅一杯の斜面崩潰」



賽の河原!」
拳大の石ころがゴロゴロと……

さらに予告は続く。


またしても
赤い法面が……!!。


「うはぁ!!」流石のおぉじぃ氏も
河原に足を取られる。



 進行方向の左の草むらをうっかり踏み抜くと崖!断崖絶壁どころか路肩のコンクリートも落下して道がオーバーハングしているのだ。
これは怖い!
 そして目前の路面はまさに拳大の石がまるで河原の様にゴロゴロして、どうやらここが三途の川の河原の様だ。



「キターー!!! 更なる崖登り」


「完全に埋没」
極めて厚く覆い被さる土砂。
元の位置から1m以上堆積している。



つまりさっきの清らかな沢が三途の川という訳、マジですか?
どうやら神様は俺達に
「ここで踊れ」と叫んだ様だ。



一瞬だけ、かつての道の表情を取り戻す。狂気の最後に残された良心の様に。



那須・甲子連山を一望する!。
手前が1540mの甲子山、奥が1835mの旭岳だ。


ちっちゃい?つーか区境?なのに余りにささやかじゃね?
この三途の川は?。

 あの
おぉじぃ氏すらスタンディング出来ない「才の河原」がここなのか!
 更に猛烈な崖登りをこなすと、まるで何事も無かったように、冷静なもとの表情を見せる甲子林道である。
 切り立った岩塊を垂直に切り落とした道に、崖っぷちのガードレールがある僅かな区間に躍り出る。

 視線を水平に見回せば、現国道289号甲子トンネルを腹に宿した甲子山(1540m)と那須連山の北端である旭岳(1835m)を一望出来る休憩ポイントだ。
ここまで、甲子峠、野宿コーナー、展望ガードレール区間と、気の休まる所は僅かに3ヶ所。
 全く、何と言う事だろう。
 これだけ荒れ果てて、いつ通行不能になりそうで最早3年、イヤイヤ「林道の案内板」管理人うーたんさんが取り上げなくなって5年以上だ。


ここは前から落盤した林道部分。
法面にエスケープルートがある!。




まさに「賽の河原」。


 本当に良く生き残っているものだ。これは感動と言うより奇跡としか言い様がない。
「ガチの廃道の殿堂」なのである。
 この稜線区間でまっ先に崩れ、うーたんさんが林道データから外すきっかけとなった路盤崩潰場所に差し掛かる。
 ここは本来の林道は既に100m下の沢にその身を四散し、誰が造ったのか崩れた法面を迂回路に連絡している凄まじさだ。しかもこの迂回路自体、既に路肩がオーバーハング化(前回2008年時)していて、迂回路自体も危険なのだ。
 

稜線沿いのストレート!
今は薮が激しくとてもアクセルを開ける事が出来ない。。




「かつての分岐路」もはや面影すらない。


 今年も林道は何とか持ち堪え、我々を通してくれた。
 かつては甲子林道唯一の高速直線区間だった稜線ストレートに突入する。
 しかしかつての面影は微塵も無く、張り出した木々や盛大に繁殖した雑草に身を追われ、
もはや高速どころか「流れる雑草プール」状態である。
 
飛び出す枝を避けながら、分岐点で何とか停車した。
「何ですか?」
「そこ、甲子温泉に繋がる登山国道の合流地点」
「ええー〜」

 驚くのも無理は無い。


「旧甲子温泉への登山道は何処?」



「西郷村村道 甲子林道走破!」
この看板から鎌房林道!。




 T字路が在ると判っていても通り過ぎてしまいそうな薮だ。まるでトンネルの明かり取り区間の様にポッカリと青空を垣間見る。
「だれも通った感じは無いですね」
「踏み跡も読めないな」

林道のまん中に生えた木が、使われていない時間を暗黙に知らせていた。
走り出した稜線ストレートの最後に、それは現れた。
「キターー!!」
「西郷村甲子林道起点!
鎌房林道の終点だ」

 喜びとは裏腹に、改めてその荒れ具合に驚いた。露出した西郷村謹製の注意看板の横に広く深く穿たれた洗掘にゴロンと転がっているのは……あづさ氏?
もとい
ゲート支柱!
 深さ3〜40cmの埋め込みを侵蝕されて倒れた柱は、確か左右にと見回すと、木陰に矢張り答え合わせの様にもう一本の鉄柱が横たわっていた。
 
洗堀と残雪のみで押し倒されたと言う訳だ。


40センチ近く埋まっていた筈だが、
完全に露出、倒壊している。


何故転ぶ?大丈夫か!。



「そして鎌房林道へ!!」


 そして、三途の川と才の河原を稜線越しに突破した我々には、いよいよ「地獄の洗堀煩悩108巡り(仮)」が始まるのだ。
果たして我々3人と3台は、「生き延びる事が、出来るか?」
(ネタ古すぎだろ>俺)


●「甲子林道」正確には3つの林道の総合仮称。
 
区間総延長:26.2Km
A区間/下郷町管理林道「林道甲子線」
   (下郷町新旧道分岐〜甲子峠):区間長:11.8Km(部分舗装/全線廃道・通行止)
B区間/西郷村管理林道「甲子林道」(当レポート)
   (甲子峠〜鎌房山林道終点):区間長:5.0Km(全線廃道・通行止)

C区間/鎌房林道
   (鎌房林道終点〜西部林道分岐点まで):区間長:9.4Km(全線廃道・通行止)


調査日(14'/6/03)の状況:
 B区間/西郷村側"甲子林道"は震災の2年程まえ、つまり平成9年の秋には既に車の通行が困難となり、国道289号バイパスの開通とともに管理放棄がなされ、地図からもその路線が抹消されつつありますが、未だに現場では通行止めになっていません。(実はこの日には通行止めにしない理由もあったのだが)確かに峠にはその為のゲートがあるのですが、あれは事実上の門でしか無く、しかも門に閂どころか扉もチェーンもないのですから。
 11'/12’/13’と震災以降の豪雨災害を伴う大雨で一気に林道路盤の崩壊と洗掘が進み、通行不能となった甲子林道ですが、下郷側のように明確な道路封鎖はとくにありません。
 ただ、流れ出た大量の土砂と鉄砲水らしい沢のような跡が接続分岐する西部林道側に深く河川を刻み、鬱蒼と茂る大量の熊笹によってその深い洗堀がブラインドされ、羽鳥側の鎌房林道は誰がどう見ても廃道にしか見えない為、門柱こそ在れゲート閉鎖が無いと思われます。。

 先日に現地を走る限り、特に法面の崩壊で極端に道幅や路盤が撓んでいる部分が大半となり元の林道の姿を留めているのは殆ど在りません、まさに数える程しかありません。
 それでも、二輪車ならまだ道幅もあり通行は可能……イヤイヤ、
懸命なライダー諸氏や読者様には、命が!愛機が惜しいなら悪い事は言わない、甲子峠からUターンを強く、極めて強くお勧めする。

ここからは、
廃道を極めようとする煩悩を浄化する為のお遍路道である。