朝6時半、高原の発電所はまだ目覚める前だった。
シュプールの様な雲に走行中ながら、思わずシャッターを切る。


夏の"誘われて" 南会津ツーリング
〜2011"SouthAIZU"DoubleTour! Round1-Summer 01〜



●プロローグ〜夏のロングラン〜

 その道は大規模林道飯豊檜枝岐線の一部にして、現在は放置されている林道であった。
「続いてますね」傍らで峠を仰ぐS氏が、念押しするかの様に呟いた。
「でも時間切れだよ、取り敢えず集合場所に行こう」
 DNAの連鎖の様に旧道と絡み合った暫定新道を戻ると、2台のバイクは再び国道289号線に戻り駒止トンネルを通って指定された古町温泉の旅館に向かった。
 7月のこの日、二人はこの道を挑まなくて正解だった。
 何故なら、
この時はまだ
「落石通行不能」だった筈なのだから。

Photo Album


多々石林道?の様子見をする。


旧道と新道が織り成すDNA。
いつかあの橋も渡りたい。


更にパイロットロードは上り詰める。


"戸板峠"かつて一度だけ通過した事が在る。確か「多々石林道」だと思ったが・・?。


●お誘い
 連絡を受けたのは数週間前に届いた一本のメールからだった。
 リンク先の「SundayTouring.com」管理人Nory氏から
「奥会津にツーリング行く予定ですが、お時間が合えば如何でしょうか?」とお誘い頂いたのだ。

 震災以降、浜通りは無論の事、県北などは比較的線数も高めと言う事もあり山は控えていた訳だが、会津なら大丈夫かと考えた。そして、ふとS氏に
"何処か行くなら連絡下さい!"と言われていたのを思い出し、連絡を取ってみると仕事次第という返事だった。
 先方も何やら世話になっている方と2台という事で、良い感じじゃないか?
 S氏が往ける様になったのは前日の夜、恐る恐るメールするが返信無し、大丈夫か?
取り敢えず往ってみる事にした。
 そうして当日、集合場所の旅館前でMRは唖然としてしまう。
「おお、これはあのKTM250EXC-Fではないか!!」

公道仕様化初ツーリングなのか!。
 旅館から出て来たNory氏らと初顔合わせ。挨拶もそこそこに、先輩格のyterasawa氏から本日の行程のご相談を受けるが、彼のWR250Fのハンドルには既にナビ、お手元のiPhoneにはやはりリンク先のみしぇるさんの手書き地図と、ほぼ完全武装。
「何処かお薦めの道がありますか?」などと意見を求められる。
 折角来たのだから、取り敢えずお二人が当初予定の林道を廻って見ては?と言う事で、まず駒止地区を廻る事に成った。



到着!お呼びとあらば即参上!


古町温泉の旅館からスタート本日も良い走りを・・・!



旧道を辿る。13年だけの3桁"酷"道をゆく・・・


 MR的にも国道289号線を中心に午前中は北側の駒止周辺を廻り、昼食の後に午後から南側の七ヶ岳周辺の林道という算段が成り立つ。七ヶ岳には懸案もある。
 写真撮影が終わると4台は駒止峠に向かって走り始めた。

●ドキドキ
 駒止の旧道に入ると、懐かしさが込上げる佇まいにしばし見惚れる。伊南側は現在の規格に照らせば"普通林道?"と言っても過言ではない極挟の葛折れ、折り重なる様にヘアピンが連続する旧道は時間すら止まっている様な長閑な風情が漂う。
 山岳道路特有の駒止、曇ったカーブミラーや消えかけたセンターラインが、歴史ある旧道を忍ばせる。
 昭和45年に国道指定された駒止峠は標高1130mと高く、県道?であった冬場はしばしば交通が途絶する難所だった。
 生活道路と観光資源活用の視点からトンネルが切望され、国道指定の翌年にはこの旧道の下を通る「駒止トンネル」が国の直轄工事として始まり、全長2.2Kmのトンネルと接続するバイパスを含む全長11.7Kmが昭和58年に「駒止バイパス」として開通する。この工事期間に、この狭い道が国道(酷道)だったのだ。




道幅約4m〜?普通車の擦れ違いもやっと、
という道だ。


新旧の駒止も揃う。


峠を下った所、かつての茶屋の裏からある「玉川林道」


「界林道入口」通行止め看板と共に俯瞰する3人。
かつての極悪荒れ林道は、今どうなっているのか?今日の所はスルー(爆


 峠を登り詰めると、下りに入ってすぐに空き地がある。90年代に三郎小屋とよばれ、美味しい蕎麦を出していた峠の茶屋が合った所だ。
 そこから裏山に登る様に始まるのが玉川林道である。標識を撮影し、林道に入って行く。
 玉川林道は南北方向へのショートカットにも使える峰越え林道である。と同時に大窪林道や界林道が東西に接続されるハブ林道とも言える道だ。
 駒止側から入ると相変わらずの締まった路面がお出迎えしてくれる。
 界林道の入口で停車、ここ数年続く通行止めの現状を見たいが、取り敢えず冷水まで逝く事になる。

時間があれば逝ってみたい東区間だ。



   玉川林道は駒止までのショートカット
林道でもあり、車の往来もあるので
注意が必要だ。



 殆ど解らない位のユルい峠を抜けると道は玉川の源流に沿って下り始める。大窪林道の終点分岐を過ぎる頃、小さな沢越えのコンクリート橋がそのままジャンピングスポットとなるMRお気に入りの区間だ。

「冷湖の霊水(ひゃっこのれいすい)」で最初の小休憩。
 ここの水苔の青は何回来ても一度たりとも同じ「青」に遭遇した事がない深い緑と、鮮烈な清流に心と喉を癒す。
「うまい!」
 
初めて呑むNory氏も唸る名水である。コップで掬うとまったく不純物がなく、真夏でも非常に冷たい。
 冷水を堪能すると、戻って大窪林道に入る。駒止湿原の尾根沿いを一直線に東に向かうロングダートだ。
 見通しが悪い、コーナーが狭い、何時でも砂利ジャリでグリップしづらい林道で、あまり良い印象はない。
 先行して豪快に登って行ったS氏も下りに成るとたちまち追いついてしまう。
やっぱり滑るんだろうナ?と思いつつ、唯一の展望場所でブレイクする。崖っぷちの下には50mはあろうかという断崖絶壁と、遠くに国道400号線を望む。



「冷湖の霊水」わざわざ水を汲みにくる人も居る名水。



小休止。ツーリングって感じでいいね。
霊水の説明看板が在る。



眼下に国道400号線を望む。夏に来たのはずいぶん久し振りだ。

●ジャングルスウィング
 大窪林道起点から旧国道400号線に出た所で先導がyterasawa氏に変わる。
 封鎖された旧道だがバイクは難なくスルーし、一時下郷に東進、本日の
「yterasawa氏的お目当て」である「木賊平・土羅入林道」に入る。
自分の聖書Tマップルには通過マークが記されているが、覚えのない林道である。

 先頭からyterasawa氏/Nory氏/S氏/MRという隊列になる。沢沿いから道が離れる所で支線分岐「白根支線、延長1.35Km」とあるが、R400迄抜けるかはアヤシイ。



大窪林道のゲートが開きっぱなしだと思ったら、国道の峠そのものが通行止めに変わっていた。
現道は峠をトンネルで越えている



再び旧道を走る。
「夏の日差しと緑が眩しい」


国道のヘアピン区間
、クリッピングから猛烈に加速してゆくWR250F。


お目当ての林道は・・・
此処か?



新旧の標柱が立つ分岐点。「木賊平・土羅入(土羅入)林道とある。


川沿いを上って来た林道は、本線が山へ
支線が川沿いに進んで行く?
支線名は「白根支線」




 さらにT字路。ここを左折して、ゲート

を潜って行く。木賊平土羅入線は、
どっち?






yterasawa氏のWR250Fはナビで慎重に道を選んで山側(右)をゆく。
 二つ目の分岐は左折、直ぐにゲートが在るが開かない。路肩からスルーしてゆく。
 今度は分岐に林道表記がない。エンジンが掛からない間に距離が開いてしまうが、これを良い事にカメラを出しっぱなしとして撮影モードでリスタート。
 予想通りに
その先は盛大な薮とともに"廃林道"となっていた。殆ど使われない理由は落石や倒木に因るものだろう。

 

先頭のyterasawa氏が急制動!いきなりエンジンを止めている。
「どうしたの?」
「クマだ、熊!」
「小熊かな?」


葛のアーチを抜ける?


ドーン!と木が落ちている。
廃林道の真骨頂。


ここは・・逝けるのか?。


「時は満ちたようだ」当時の状況をNory氏は自身のHPで語っている。(笑w




続いてNory氏がゆく!。


ヤル気ムンムンのS氏!。

 興奮したyterasawa氏を尻目に小熊は視界から消えていた。
 MRやS氏は経験的にエンジンを切らない。母熊に襲われる可能性が高いからだ。
 北海道のヒグマと違って基本的に人を好んで襲わない月輪クマも子供を守る為に人を襲う事もある。
 クマ避けとも言えるスーパートラップの排気音が山中に響く。

 再び走り出すと落石、倒木とスリリングな展開で、仕上げは渡河、かなり深く、泥が堆積していると思われた。
 気が付くと、よく訳の解らないカメラ視線で撮影会になっている。
 沼の様相の沢越え、yterasawa氏がまずクリア。

















 
だが想像以上に深い。続いてNory氏、S氏は出口付近で大きく泳ぐが無事クリア。
 最後のMRは出口で転倒、出口付近に大きな石が埋まっていてつまづいた。イキナリの転倒?
 その後も片手撮影運転の為か?轍の深い所で転倒、貴重品を落としてしまい、皆さんを林道出口で待たせてしまうというていたらくであった。

 その林道出口には「木賊平・土羅入(三引山)林道」とある。どちらの分岐から別線なのだろう?。


「木賊平・土羅入(三引山)林道」出口終点。
何処からか?と言えば矢張りあのゲートからだろうか?




〜2011"SouthAIZU"DoubleTour! Round1-Summer 02〜
後編へ。
Round2-Autumn 03
2011秋の紅葉アタTout!
Round2-Autumn 04
2011秋の紅葉アタTout!
同じレポを掲載
http://sundaytouring.com/Entry/229/
管理人:Nory様
同じレポを掲載
http://yterasawa.wordpress.com/
2011/07/26/touring-in-aizu/
管理人:yterasawa様