プロジェクト”Web"

File-2

2004.9/26 Challenge!

そこには、ダート者全てが夢見悦楽があった。
そこには、
漢の浪漫をくすぐる甘いささやきがあった。
そこには、
人生左右するめくるめく迷路恐怖があった。


Web PROJECT-3  旧米沢街道迂回「蟹が沢林道」探査ツーリング



本日の参加者全景。いつもの林道探査メンバーである。


 プロローグ

1


 その昔、その道は米沢街道と呼ばれ、戦国武将達が戦のために、また参勤交代のために歩った主要街道であった。一般には喜多方から大峠(旧道112号線付近)を通って米沢入りする道を指すのだが、実は福島ルートも存在し、江戸時代後期には宿場も完備され賑わうようになる。

 しかし時は移り、移動の手段に動力付き自動車が登場する大きな変化が現れると、道はそれに合わせて位置や広さを変化させ、現在の道路は3代目(4代目かも?)となり、今も多くの人々が気軽に通過する道路となった。
 そして、元の街道は廃道まがいの林道となり、現代にその痕跡を留めるだけとなった。

 算 段

2


 昨年から当Webの定番コンテンツとして掲載される「林道日記」や、幾つかのHPでその存在が確認される旧米沢街道。現在は(当コンテンツ内で)林道高津森/産が沢線としてあるが、この林道はその先にある蟹が沢には橋が無く、徒歩以外の渡河が不可能であった。

 時期はずれであるが隊長MRは板谷からジムニーで、突撃隊員SJ30V氏は福島側からバイク(DT)で突撃し、ともに途中スタックの憂き目に遭っていた。(因みに彼のDTは通過したが)この事実を付き合わせた折りに、蟹が沢の上流から板谷に抜ける林道の存在がクローズアップされたのだ。 しかしSJ30V氏が走ったウン年前当時はほぼ獣道で、バイクしか通れない道だった。だがそれは、MRの行った今年春の蟹が沢現地調査と状況が違うのだった。

「これは確認せねばなるまい」かくしてこの企画が成立したのであった。

 この探検が成功した場合のメリットは、
何と言っても福島西北部から直接山形県板谷峠までの未舗装林道区間が確保?されることである。(それをメリットと考える人が何人いるのだろう?)多少旧米沢街道から沢づたいに迂回するものの、五色・滑川を経て板谷峠にぬけるルートはかなりの距離があり、ともすれば未舗装区間の方が長いかもしれない。

 しかし不幸にも当日の予想は雨のちくもり、参加を締め切った後にも決行の是非を問う確認のメールが入る。降水確率40%を超えたら中止と釘を刺すが、ギリギリ大丈夫らしく決行と言うことで、夜の9時半頃にコープマートであわてて焼き肉を調達する。

夜半に止んだ雨にホッと一息して寝る。


北山林道入口。昨年春から1年半ぶりである。



 霧 雨

3

 本日の降水確率が60/40%なのを知ったのは、全員が集合した8時半である。幸いバイクは隊長だけだし、食材も買ってしまったのでもう後戻りが出来ないと腹を決め、コンビニで飲み物、おにぎりなど補助食品を蓄え出発!。

 案の定というか予報通り福島から雨、隊長がCopper君に\(\o-)ヘン〜(-o/)ゝシンッ!! 市街地を抜け、福島市免許センターを望む北山林道に突入する。いやいや滑るスベる!誰か何とかしてくれ状態で林道を突き進む!北山林道を駆け抜ける順番に本日の参加者を紹介しよう。

 例によって先頭を走るのは
XLR250Baja-Adventureを駆る隊長MRである。今回は勝手知ったる林道が大半なのでボックス装備のままである。続いてKUMAさん一家のJB23Wジムニー、一家3人を乗せて車は難なく林道を走破する。その驚愕のリジットアクスルコイルスプリングの挙動を拝みつつしんがりを勤めるのはSJ30Vさんの同名のジムニー(ぁ、逆だ)550cc2Strokeの何処か懐かしげな排気音がこだまする。今回はSJ30Vさんに食材・機材等の荷物を全て持って頂いた。

 北山林道は昨年の路盤崩壊部分も修復され、林業関係者が伐採機材を持ち込んでいた。
良く管理された山というのは日本の営林事業の根幹であるが、実際にそれを遂行するのは現在の人員・予算などの諸条件の中では大変難しいことだろうと推察する。しかし道がよいと山菜取りの車の出入りが多くこんな雨の中ではさらに閉口してしまう。もっとも、すれ違う相手もきっとMRのバイクを見て同じように思っている事だろう。

 植物をよけながらの行軍中MRが例によってスリップダウン。お疲れモードでキック休みしていると「私が…」とSJ30Vさんがおもむろにキックをかまし、ようやく再スタートとなる。
 北山林道も奥羽本線(山形新幹線)を望む区間に出るとそこは一面の雲海。霧で全く視界がとれない。誰だ今日走ろうなんて行った奴は!
(決めたのはおいらだが)霧雨の中、時間の関係から林道産が沢線はパスし、高湯高原に抜ける林道にアクセスしてゆく。


徐々に霧が深くなってゆく。



イン側のカルいV字口に足を取られダウン。

かからねぇ〜!

奥羽本線側に出る。何もみえん。



 断 定 4

 高湯高原周辺の林道は北山から比べると有効道路幅が広く、フラットダートの路面状況も
相まって雨の日でもバイクで走りやすいが、避けきれないススキの連打攻撃で、まるでこん
なデザインなのかと思うような柄物Kappa君に2段変身していた。

 しかしその道幅もY字路に当たるたびに少しづつ幅が狭まり、蟹が沢林道支線2号(多分)に突入する頃にはバイクのハンドル幅程の道となってしまう。しかも、こんな天気なのに6台程のジーピングと出会い、ジムニーといえど擦れ違うのは苦労を要した。因みにジープ軍団が来たのは掲示板で話題になった蟹が沢から牧草地を経由して高湯高原キャンプ場に出る(筈の)あの林道である。我々はそこを右折しいよいよ五色林道との合流点となる砂防ダムに向かう。
 やがて闇夜の様に暗く深い霧の中を抜けると、台風の目の様にぽっかりと視界の開けた砂防ダムに辿り着いた。

「ここだ!」予想に違わず、そこは五色林道からジークライト鉱山の支線を経て蟹が沢林道支線2号に繋がる、県境とも言える砂防ダムなのであった。砂地に幾つかの轍が残るが、全てUターンしているようだ。

「間違いないですね」ジムニーから降りてきて写真撮影するSJ30Vさんの瞳がキラリと光る。
林道の高台からこうして見ると、よりはっきりと解る事がある。昔SJ30Vさんが通ったと言われる更に上の砂防ダムは崖崩れで埋まり、林道自体も路盤崩壊して廃道になっている事。かつて資材搬入のために鉱山側から川辺にあった導入路が川に流され寸断されている所を見ると普通なら通行不能と判断しよう。

「バイクでダムのすそは登れますね」
「ジムニーでもあのくらいは登るが、問題はその先だなぁ」

水が砂防ダムの淵に行かない様に2m程の土盛りがしてある。断面がテーブルトップの状態で頂上付近の幅は3〜4mである。
「取り敢えず、飯にしよう」
3台は沢縁にピバークとなった。



高津森線起点。
当日は画面奥からバイク側にターン。


林道標柱。(昨年春撮影)


高湯ハイランドへの無名林道。左が高原牧場、
我々は右(直進)する。蟹が沢線(っと思われる)
が表記はない。


直進1Km程でY字路に当たる。
右が1号線(多分)我々は左にゆく。


さらに直進1Km程でまたY字路に当たる。
右が2号線(多分)左は例の牧草地へ。


昨年5月の写真。沢を降りた砂防ダム内で撮影。
右上の雪だまりが崩れた旧2号線(多分)。



蟹ヶ沢2号線砂防ダム全景(写真3枚を繋いで制作)。


今回の調査隊行動ルート。幸い沢の水も少なく、地盤も通過可能な堅さだった。


早速ドカシーを張って焼き肉な昼食としゃれこむ。


ふっふっふ、全てを焼きつくすのだぁ〜!
子KUMAちゃんは沢への石投げに夢中。 さて、腹ごしらえもしたし始めますか?


 昼 食

5


 当然昼食は焼き肉である。でもこんな所で熊でも出てきたら?ここ前に警報でてるんだけど。

「大丈夫です」とSJ30V氏が胸ポケットに爆竹をチラリ、君は忍者かね?

 砂防ダムのコンクリート縁と沢の落差が2mほど在り、これを利用し霧雨除けのドカシーを展開。沢の水に濁りはなく、増水などもない安定した流れであり、まずは一安心である。
 本日は家族連れなのでSJ30Vさんがテーブルを持参。これに普通にガスレンジと鉄板を乗せてジュージューと焼き出す。KUMAさんが鉄板奉行?で鎮座ましまし、周りをうろうろと準備するMRとSJ30V氏。笑いながら子守するKUMA奥さんと子KUMAちゃん。特殊リポビタンも振る舞われ
「美味いんだなこれが」
 コンビニのおにぎりを頬張りながら牛肉に舌鼓を打つ!熊出没の危険と隣り合わせの大自然のなかで食べる飯の美味さったら、まさに「筆舌しがたい」旨さである。食事が終わるといよいよ
「ShowTime!」

 まず現地を詳しく再確認。やはり例ののり面が最も安定して走れそうである。因みに、たった1台、恐らく大型バイクと思われるが先に通過した御方がいらっしゃった。ちょっと残念だが、車で越えた人はまだのようだ。
状況のチェックが終わると、満面の笑みを浮かべSJ30Vさんが2Stジムニーでお手本アタック。
 アクセルの止めが早いのかエンジンが吹け切ってしまうのかテーブルトップの頂上付近、フロントタイヤが掛かった辺りで今一歩上がりきらず、三回目のアタックでようやく登り切る。
 次はKUMAさんのJB23W、雑誌などでは良く特集ネタとなるオートマ車の登場である。新車に付き念のため登り始めをスコップでならしアプローチアングルを稼ぐ。先にSJ30V(う〜ん紛らわしい)が走った後なので路面がこじっかりする為か、2回目に成功する。
 SJ30Vのご厚意でMRがジムニーでアタック、難なく1回で登り切る。(このためにわざわざ別の所から愛車を降ろしたSJ30Vさんて?)

 当然、XLR-BAJAにしてみれば、普通林道状態で通過する。



エネルギー全力噴射!中のSJ30V。
2stサウンドだけは力強いが、一歩及ばず。


スージーちゃんのナンバーが曲がったのを見て、
いきなりアプローチを整え始めるMRとKUMA。


おりゃさ!
とばかりに駆け上がるが、明らかにパワーがサス・ミッションに食われてる感がある。


とはいえ、オートマながら二度目のアタックで無事揚がる。


しかしここで対角スタック!窪地に石を積めて脱出する。


バイクにはタスクにすらならない。


150m先にもう一つ渡河。沢の名前は確認出来ない。

水深も浅い。なんと言っても足下は石畳である。


 突 破

6


 壊れた作業道の出口でKUMAさんが窪みで対角スタックに陥るが、セオリー通り窪みに河原の石を積め無事脱出。二本目の沢は難なく通過し、ジークライト鉱山から五色林道・新五色林道と繋いで、五色温泉に無事到着する。

 鉱山から特に霧がひどく、バイクは途中から先頭を車に譲って走った。今年の酒池肉林道御用達と化した温泉で一休み、この時期になると少しぬるめのお湯ながら霧でホワイトアウトした風景を眺めて楽しむ。子KUMAちゃんはおとうさんに着いてきて、愛くるしい笑顔で風呂場を闊歩し、他のお客さんと共に場を和ませてくれる。奥様にもきっと息抜きになったに違いない。(多分)
 風呂から上がる頃には完全な雨となり、3台は板谷峠を諦め国道13号から帰還したのだった。

「酒池肉林道探検隊、今日もゆく!」
「いやぁ、今回は面白かったぁ、
久々のクロカンでしたね」
「ノーヒット・ノーダメージで、次もどっか行ってみまひょ〜」

 エピローグ

7


 かくして予想通りこの道は1本で繋がり、本来の旧米沢ルートから大きく逸れながらも現行の国道13号線を使わず、直接五色林道経由で板谷峠に結ばれた。
 と言っても正式な林道ではないゆえ、間違っても
普通の車や大型四輪駆動車で行ってはいけない。徒歩・自転車・バイクが容易にトラバース出来るが、今回の様な天候不良な場合、特にビックバイクなどは五色から蟹が沢に下った方がより安心である。
 
熊が頻繁に出没するので、単独行は出る限り避けた方がいいだろう。前にも事前情報があったので念のため。
http://www.fks-wo.thr.mlit.go.jp/press/2001/20011011/20011011_01.htm
無論の事ながら、
ジークライト鉱山操業中の平日は五色林道に大型ダンプも多く、まず鉱区の道路が通行禁止になる場合もあるので、これもお気を付け頂きたい。



無事、謎を解き明かした(核爆)探査隊の次なる目標とは?