温泉ツーリングスポット








奥土湯温泉 川上温泉
半天嵒窟風呂

(福島県)




東北に数少ない
洞窟露天風呂





●"洞窟"とはこれいかに?
 川上温泉と言えば、2016.7月にブログでご紹介した「立湯・千人風呂」があるが、川上温泉には都合3つの浴場がある。それぞれに強烈な印象があるようだが、今回は「半天嵒窟風呂」をご紹介しよう。
 いわゆる洞窟風呂と言えば、岩手の夏湯温泉が思い出される。相当に古い記憶では、クラブの夏ツーリングの下見でGWに訪れた記憶の方が強烈だ。
 当時は89’ZXR750のMRに、お供はRG400Γ/FZR250という顔ぶれ。夏油温泉はその温泉郷にへ繋がる県道がまだ冬期通行止めという事態に陥ったが、道路に雪は全くなく、ゲートと法面の隙間をZXR750が抜けた事で「解禁前の夏油温泉」を味わってきた。
 まあ、味わうも何も、残念ながら温泉は残雪に覆われていたり、雪解け増水のため流木や落ち葉が堆積し入浴は叶わなかったが、県道の舗装路を悠然と歩くつがいの鹿などを見る事が出来た。



2016年は1月と12月に訪れた。
共に冬とは思えない暖かな日だった。


「名湯と川温泉?」勿論「日本秘湯を守る会」会員である。

 
 その年の夏、念願の洞窟風呂に入浴が叶ったが、仄かなランプの灯る暗い洞窟内は足下もよく見えず、お客さんが多いせいも在って難儀な入浴だった覚えが在る。当時は混浴だった気もするが、ハテ?

 そんな曖昧でネガな印象を払拭すべく、MRはなんと土湯温泉にあるという洞窟風呂を訪ねたのだ。
それが「川上温泉・半天嵒窟風呂」である。
 
今年秋(H28)に壊れたボイラーの為か?600円と成った料金(改定は同年4月だった、さもありなん)をカウンターで支払い、勝手知ったる風呂場に向かう。
 
千人、あすなろの両湯は中二階の廊下を左へ、洞窟風呂は右に曲がってさらに階段を上り、二階に当たる所で奥に温泉の”のれん”を確認する。
「おろ?」
 扉を開けると行き止まりの階段の様な風情の脱衣所と、手前の立ち位置の半分がこれから登る最後の4段の階段に浸食されている洗面台がある脱衣所だ。


旅館は定石通りに斜面に建っている。
故に一階/中二階/二階という順番だ。
ここは中二階の廊下にある案内板。


のれんを潜り、さらに中三階へ少し登る。

脱衣所は廊下のラストの四畳半?
12個の篭が並ぶ。貴重品は受け付けカウンターで預かってもらう。



実は脱衣所の1/3も階段だ。
小さな洗面台にはドライヤーも装備。
一台だけど。

 先客が二人いる。脱衣所をカメラに収め、服を脱いで外に出る。
 ゴツゴツとした岩場はガッツリと打たれたコンクリートの補強をされて、屋根の掛かった見た目は
洞窟風呂と言うより出水した鉱山坑口の風情だ。
 抗口の左右を見回すと、
今は閉鎖されている様な洗い場や打たせ湯の遺構?を横目に、フツーにオケで湯舟からお湯を汲んで体を洗う。
 賭け湯しながら、
先客が同じ湯舟からお湯を汲み、そのまま洗髪に使っているのを見て、ちょっと驚く。



シャンプー&ボディソープはあるみたい。
扉ごしに、
あれが通称「穴湯」か?



「嵒窟風呂」(がんくつぶろ)スゲェよ。


「これは野趣溢れる温泉だ・・」湯舟に足を入れて
「なぁっっ!」いきなり縁で足を滑らせ腰から真横に湯舟に転落してしまうMR。
「ぷあっ!」
 わははと声が聞こえ、振り向くと洗髪してたじいさんが笑っていた。
「大丈夫かい」
「あ、はい・・」

 改めて起ち上がり湯舟を歩いて洞窟入口に向かう。
ああ、びっくらコイたぜ!


"嵒窟"というより"抗口"と言った方が
正しい感じだ。



「だって支保工があるんだもん」
これのお陰で温泉水没鉱山の味わい?そもそもこの岩盤とコンクリで
十分強度在ると思うが?



この湯舟、上から見るといわゆる「T字形」で岩盤の壁に対して左右に、壁を抜く方向が洞窟でくり抜かれている。
 外の湯舟には丸太で組まれた屋根があり、本館2階の屋根に覆い被さっている。川沿いの南側が開け、初冬の柔らかな日差しが湯舟を斜めに照らしていた。湯舟の入口側は2段になっていて座れるが、先ほど滑ったのもここだ。よく見ると結構湯の華が体積している。


岩盤を刳り抜いたふりをしてホースから
注がれる温泉は源泉温度59℃、
勿論加水されているが、熱い!


この露天、洗い場が無いという事実!。
おいおい、直接湯船からお湯汲んでるよ。




 その立地条件故に、洞窟風呂は以外と明るかった。
 洞窟部分はざっと10m程だろうか?
 開口部が縦横4m程の文字通り洞窟で約50センチ前後水没している。両翼は階段状で30センチ程の段差が在る。断面も半丸ではなく奇麗な四角だ。
 一番奥の正面壁の真ん中にお湯の吹き出し位置が在り、そのせいか熱が籠って奥はサウナの様な感じだ。
 
源泉59℃に加水だが、夏はとっても熱い!飯坂の鯖湖湯なみに熱い。
 
温泉自体は無色透明のお湯だ。僅かに緑がかって居る印象ももったが、降り積もる湯の華に比べればマシな方だ。基本露天だから熱逃げは万全、景色こそ少々遠いが、良い露天だ。
 人が引けるのは待ちつつ、カメラに風景を納めるが2時間近く待っても好適にならないので上がる事とした。
「良い風呂だ」
 
なにより「明るい洞窟」という洞窟風呂のイメージを払拭した名湯だった。



吹き込んだ落ち葉が流れてゆく。


入口フロアには並びに休憩スペースがある。
フルーツ牛乳を一気飲みしてしまう。



ああ、堪能した!。熱いので冬限定だな?天嵒露天は。


川上温泉半天嵒窟風呂」
入浴料:大人600円 子供:300円。
日帰り入浴 /時間帯:AM9:00~PM9:00 金曜日のみ:PM3:00~PM9:00

温泉成分/川上温泉(温泉井戸4/露天掛け流し)
●泉質 単純泉/源泉温度59℃(半天嵒窟風呂は二つの温泉井戸から合併給水

   温泉成分/温泉緯度(掛け流し)

●泉質 低膨張、弱アルカリ性、高温泉。

●適応症 自律神経失調症・不眠症・うつ状態。腰痛・神経・打ち身・五十肩・捻挫などの慢性期。関節のこわばり・胃腸機能の低下・軽症高血圧・冷え性/末梢循環傷害・糖尿病
軽い高コレステロール血漿・軽い喘息または肺血腫・軽い痔。
そのほか病後回復・疲労回復・健康増進など。

●御注意
「立ち湯・千人風呂」と「半天嵒窟風呂」は男女で日替わりです。

HPに日程があるので、確認してから行くといいですよ。
http://oko.jp/welcome.stm