温泉ツーリングスポット


もにわの湯 露天風呂


(福島県)


飯坂温泉から、秘湯感を増幅させる迂回路をざっと10分・・国道を15分・・・・

「もにわの湯 全景」R399が使えないと、とたんに利便が悪い。


●「秘湯の条件」を思い出させた温泉
 温泉王国福島には、千年を越える昔からその村の人々に慈しまれ愛された古の温泉もあれば、村の再生の切り札として今世紀に入って拓かれた若い温泉まで、ありとあらゆる温泉が混在する県である。
 さらに付け加えれば、浜通り、中通り、会津と山脈によって分断された地域が、それぞれ独自の気候風土を伴って、単なる入浴に留まらないリラクゼーションを我々にもたらしてくれるのだ。
 しかし「秘湯」とは?貴方の感じる秘湯とは、どのような場所を想像するだろうか?
 修験僧の
行基は主に700年代に全国各地に出没し、温泉開湯(つまり発見?)をしている温泉ライダーなじみの人物であるが、拓いたと伝承の在る温泉の数は17ないし19にのぼり、東北でも作並・芦の牧・東山温泉などが行基の開湯とされている。
 いずれも口伝であり一部には行基が没した749年以後に行基が発見したとする温泉すら存在する訳だ。1300年前は何処も秘湯中の秘湯だが、現代ではいづれも車で数時間という所ばかり、行基の名前にあやかった温泉地のメジャー化を指す物と言えよう。
 これらは総て交通の利便がよく、思うに温泉まで険しいルートが存在すると、秘湯感が増すのではないだろうか?。
 
例えば姥湯温泉
 MRが初めて訪れた秘湯 姥湯温泉は1988年頃。当時は滑川温泉まで舗装で、その先は路肩もバイクも車もたまに落ちる様な凄まじいダートが延々5Kmも続いていた。しかも全線ブラインドコーナー状態、トドメにスイッチバックのコーナーである。
 つまり
「通行に困難」「スイッチバック」の二文字は
『秘湯 姥湯温泉』"秘湯"感(ステイタス?)を上げていたのである。
 ところが、二十年後の2009年にはほぼ全線で舗装化が終了、件のスイッチバックも何気に普通の道路っぽく、最小回転半径3.9mの軽虎なら難なく曲がるのである。



穴原温泉、福島市飯坂町湯野(角間下ロックシェッド)
付近が落盤通行止め。迂回路待ち



達筆な看板があがる。
『もにわ』平仮名の中でも特にバランスの難しい字ばかりで構成されてるよな?


国道13号付近から幾つか立てられる看板。営業時間が短縮している。


 駐車場には20人乗りの小型観光バスが来ていたのには驚いた。
完全舗装化されたアクセスルートには既に
秘湯の雰囲気はまるで無い!のである。

 もにわの湯(市営温泉保養施設)
 茂庭の湯は飯坂温泉を流れる摺上川の上流部にある市営温泉施設である。
 
今回ご紹介するもにわの湯は、摺上川ダム調査試掘の際に発見された温泉で正式名を広瀬源泉と言う。
何故、今頃もにわの湯なのか?
 現在東日本大震災のため国道399号線は当分の間通行制限があるのだ。
(福島県道路総室・異常気象等による規制Top)



もにわの湯正面全景。入口左側は休憩所?みぎはトイレと機械室である
奥に大浴場の突端が見える。


浴室の洗い場は必要にして十分だが石鹸持参。


10人程度が寛げる大浴場。


ガラスを挟んで外は露天風呂がある。

 この為本来なら国道から自由に来れる温泉が、いきなり交通の便が悪い、すなわち『秘湯』状態となったのだ。(ヲイヲイ強引だな>俺)
 ハッキリ言って
「よく迂回路に使う事を国道維持出張所が許したな?」と思う程の裏山の農道を走らされるのだ。
 傾斜も一部では15%越えてねえ?と思う激狭激坂激ヘアピンで、三島のお株を強奪したかのような経線である。


 一般のドライバーは余程でないと通らない迂回路は、完全片側通行なので待ち時間も長い。迂回路の片道は10分程だが車が15台以上連なると待ち時間は30分を越える事もある。
 こうして多大な犠牲を払って・・え?米沢から来れば良いって?
 イヤイヤイヤ、鳩峰峠は嫌と言う程狭ァいコーナーを走らされます。
 稲沢林道も同じ、茂庭関林道は近いがほぼ全線フルダートです。
オフ系風呂ライダーは薦めますが、それ以外はヤメた方がいいですね。
ほら、秘湯感が増したでしょう?

 摺上川ダムに向かって茂庭地区に唯一在るJAスタンドを過ぎると、すぐ左手(南)に施設の看板が掛かる橋があり、左折して看板に沿って進むと広大な河川敷に温泉保養施設が見えて来る。折角の空き地なんだからキャンプ場にでもすりゃいいのに。
 七ヶ宿の関から入る茂庭関林道経由なら、入浴前に給油と言う手も在る。
 正面玄関から入ると嫌が応にも真っ正面になびく
「女湯」「男湯」のれんに目(まさに見た目の視線)が逝ってしまう。大人250円という飯坂温泉内でも手頃な入浴料を払い番台で券を渡すと、オバちゃんの笑顔もそこそこに真っ直ぐもにわの湯ののれんを潜る。



露天風呂全景。
手前は一段浅く若干スロープがつくので、一人の時は寝湯も出来る。6月の新緑が眩しい


玉石を積んだ(乱積み?)壁にお湯の注ぎ口がある


突然の雷雨。新緑が一層美しい。
塀が高すぎて無粋だな?



風除室に張り出される成分分析表・・

 平面図から、全体が八角形をした大浴場は内部を十字に切って脱衣所と浴室に分けた均等の作りで、パンフレットの写真を見ると、鏡に映ったかの様に女湯が逆配置となっている。
 そこそこ広い筈の脱衣所は所狭しと脱衣カゴと棚が置かれて窮屈さすら感じる。浴場の入口にブロンズアクリル製の風除室があり、その壁に温泉成分表が貼られている。

 ロッカーのカギをかけると早速風呂に!
浴室に入ると手前に九つの洗い場が在り、その先に浴槽(内風呂)が鎮座する。浴槽のガラスを隔てて、外に箱庭と露天風呂が横たわっているシンプルな配置だ。体を洗ってまずは内風呂で暖まる。
僅かに色の付いた温泉を愛でつつ露天のお客が引くのを待って外に出る。

 引き戸のガラガラと言う音が何かデカイと思ったら・・・「夕立だ」
間もなく、煌めく稲妻 轟く雷鳴と共にバケツをひっくり返した様なゲリラ豪雨が雨樋を濡らし箱庭の木々を激しく揺さぶる。
 その自然のリビドーかと思う様子をゆったり温泉に浸かりながら眺める。
 雨が小降りに成った所で箱庭に出て雨で体を冷やし、再び露天に浸かる・・・を繰り返す。
雨音を聞きながら人気の無い露天で絵を切り取って行く。囲いがもうちょっと低いと周りの山もよく見えていいのに、とぼんやり考える。
と、聞き慣れない音楽が流れ始める。何と蛍の光だ。内風呂に居た2〜3人も風呂から上がって帰り支度を始めた。
 震災以降、国道の崩落のせいでもにわの湯の営業も午後5時までとなっていたのを思い出した。
 そう考えるとやはり人出が少ない。番台のオバちゃんもこの話が出ると寂しそうだ。



源泉名「広瀬温泉」かつては野湯で、ダム工事作業員が入浴したという。
野湯のうちに一度入りたかった!。




 つまり、秘湯感が出ると言うコトはそう言う
事だ。最初から秘湯ならいざ知らず、突然秘湯
化してしまった健康センターでは、やはり売り
上げ第一と言うお題目もあって、そんな"情緒"
は要らないのカモしれない。

温泉こそ日本文化の頂点の一つだと
思うのだが・・・?


泉質:アルカリ性単純温泉(低張性)
源泉温度:40.9℃
     (42℃まで加熱循環)
効能:神経痛・筋肉痛・五十肩・
    切傷・火傷・冷え性
入浴料:大人250円 子供120円
営業時間:9:00〜21:00
     
(震災以降9:00〜17:00)


もにわの湯全景2。奥に見える白い階段の様な物が「摺上川ダム」。

画面奥の米沢に向かって、ダムと同じ高さにあがって行くのが399号線の付け替え新道である。
キャンプ場作れよ!土地余してるなら。