温泉ツーリングスポット


高湯温泉 共同浴場
「あったか湯」


(福島県)



下の温泉街から見上げる「あったか湯」全景。

建物裏側に突き出す屋根の下に二つの露天風呂がある。


階段はけっこう急だ。
階段の降り口にコインロッカー、脱衣所には無い。



小さいながらも感じの良い脱衣所。

この日もすごい混みようだった。
続々と車が入る。



逆転の発想
「難産だった共同浴場」

 MRを含む日本人の間違った認識から生まれた温泉リラクゼーションは、日本各地に一大温泉ブームを巻き起こし、地方創世の名の元、温泉脈の乱開発を増長させ、結果薄くなった温泉にツムラの業務用名湯シリーズを注いで体面を保つという歪な事態を引き起こした。
 今時、秘湯本(それじゃ秘湯じゃないじゃん(爆)なんぞを見ても「沸かし湯」「引き湯」「掛け流し」なる単語が、まるで一昔前のタレント候補、いやマドンナ旋風宜しく書き出され、もはや効能も有難みもちっとも何もなさそうに感じる。
 しかし、ブームに乗じて作れた所は、有る意味幸せ(本当か?)なのかもしれない。無い物ねだりのように、諸般の事情という足枷でブームにすら乗れない所も、確かに存在するのだ。
 だが、そんな状況を逆手に
起死回生の計画が思わぬ成果を生む時も、確かにある。
 そして、ご紹介する
高湯温泉共同浴場もそんな温泉である。
 高湯温泉はもともと福島市においては有名な温泉である。磐梯吾妻スカイラインの北側入口にある事から、温泉街を通ったり、旅館で入浴した事のある人なら、言われると思い出すであろう、あの「卵の腐ったような臭い」
硫化水素特有の温泉臭である。



男湯全景。 洗い場が少ない分、お風呂場は広く感じるが、相対的には小さな風呂だ。




高い位置にオレンジの明かり。


「硫化水素ガスが流入してるので、
注ぎ口に居ないで下さい」


普通の旅館なら、同程度の内風呂(メイン)の他に露天風呂(サブ)となるが。


 正確には酸性含流黄カルシウム・アルミニウム硫酸塩温泉(硫化水素型)という。(温泉分析表より抜粋)
 これにより血液系の適応、高血圧や動脈硬化、神経症から一般的なくじき・切り傷等幅広く癒す効果がある。 
 しかし、この成分が共同浴場建設に大きな障害となった。
 温泉井戸から共同浴場立地予定地まで近すぎて、逆に温泉認可が取れない事態に陥ったのだ。その理由は
水素にある。
 温泉と共に大量に放出される水素は、人体に恐ろしい後遺症を残す毒ガスである。これらを分離するには湯畑のような設備が必要だが、源泉まで60mという距離は、近すぎて抜気施設がぶっちゃけ足りないのだ。
 お湯の中に高圧で封入された水素などの毒性物質が湯船の状態でも放出される、これによって一般的な閉鎖型温泉は大きく頓挫したのである。
 福島県や保健所など指導もあり、打開策どころかコンセンサスも取れず、話しが暗唱に乗り上げた時、誰かが呟いた。
「全部露天風呂にしちまえば良いんだ」

『浴室を総て開放型の露天風呂にする』
このアイデアが逆転の発想となって次々と問題は解決してゆく。




大体10人ぐらいが定員かな?。白濁のお湯が効きそうだ。


ご覧の通り洗い場は三つしかない。
互いに譲り合って使うのが習わしであろう。



ううん、いいねえ。


 さて、話はさておき入浴しますか。
 30台程度の駐車場入口には週末とも成ると駐車場警備員が出て、交通整理に当たっている。温泉街の道路自体が有料道路の接続路線ということもあり、また丁度ヘアピンに挟まれたS字コーナーという意味合いからこれは当然の措置だ。
 警備員は入口の真ん前の休憩スペース側にバイクを誘導する。
 休憩所には灰皿があり、タバコを吸える場所は勿論ここしかない。
 入口のエントランスを過ぎると、右手に下駄箱、正面に入浴券の自動販売機。通路を挟んで左に番台がある。番台に大人250円の購入した入浴券を渡して、真ん中の通路に進むと突然の急な下りは露天温泉のデフォルト設定だ。
 ほぼ一階分を下ると正面に「男」の青いのれん・・何処も同じやな?と思いつつこれを潜ると、いきなり左手が脱衣所である。脱衣BOXは15人分しか
                    ない。
「湯船小さいのか・・?」
入ると、なるほど露天風呂。これならガスによる施設の滞留充満はないだろう。



「風情」ってこういうコトだよねぇ。
露天風呂の屋根にゆったりと巻き上がる湯気を眺めて星を見る。



一つ上の公園から遠望する。この温泉公園にも湯船があって足湯のようだ。

上の公園に在る足湯。

道路向かいの旅館から引き湯している。


壁には温泉マナーを訴える張り紙が・・・。


「はうあ!」
 そこでMRは考えても見ない重大な局面に気が付いた。
 元来、このような公共の場での撮影は極力他人の撮影はさけていた。当然と言えば当たり前、というより行為自体在る意味公共性を害しているとも言えよう(だったらやるなよ>俺)
 普通、内風呂に浸かって体が温まった頃合いに露天に出てくる、といった一般的手法がここにはないのである。(つーかできねーぜ)
 案の定、次から次にお客様が来場し、湯船は常に5〜6人がくつろいで、もはや撮影は不可能。今回は湯船の写真を福島市のパンフレットから転載させて頂いた。写真は無理と諦めがつくと、もはやのんびりと浸かるしかない。
 乳白色のお湯は成分が強く、金属はもとより、コンクリートすら硫化する。源泉温度が51℃ということもあり、熱めの温泉はかなり効きそうだ。

 お湯の注ぎ口となる樋には「水素成分が揮発するので注ぎ口に居ないで下さい」なる趣旨の但し書きもある。
 洗い場が3つしかない。これは温泉法によるとの事で解放露天にはこれ以上設備が付けられないらしい。お役人の考える事は、良く解らないな?
 1時間程粘ってみたが、人が絶える事はなく、いいかげんのぼせたので風呂から上がる。


 よく見ると脱衣所には温泉マナーを喚起する張り紙が出され、成る程と思い当たる項目も幾つか在った。



温泉成分分析表。人通りが多い為、脱衣所の撮影も命がけ(核爆



泉質:  酸性・含硫黄(硫化水素型)アルミニウム・カルシウム硫酸塩温泉
     (低張性・酸性・高温泉)
源泉温度:約51℃
効能:  高血圧症、動脈硬化症、リウマチ、末梢循環障害、糖尿病、慢性中毒症、
     にきび、しもやけ、やけど、擦り傷、切り傷、婦人病、神経痛、胃腸病
     皮膚病(水虫、あせも、アトピー、慢性湿疹、手足多汗症)
内風呂: なし。
入浴料: 大人250円(12歳以上)子供150円(1歳以上)






高湯温泉旅館協同組合
共同浴場
「あったか湯」
営業時間
9:00〜21:00
(木曜定休)

GWは木曜も営業してました。休憩室もあるので休めますが、食事などは売っておりません。飲み物は自販機のみ。当然、宿泊不可。


追加映像、雪見露天。