ご使用上の注意!

このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。

走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて
無断で補正しています。

また、
掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容による
いかなる被害も当方は
保証致しません。








補習の第三幕〜NewYearTour〜





 プロローグ「消失」 1

●前レポ「復習の第二章”石巻の林道”」のラストより。
 
ここで11時のアラームが鳴り響き本日のタイムアップを知らせて来た。
 改めて地図を確認すると確かにここにも轍はあるが、MRが目指す水沼山とは方向が違う事に気が付いた。
 
目的の山はもっと北西側だ。
「これはブラフで、本線は峠の西側かも」
 
しかしその推論を裏付ける時間的余裕はなく、MRはそそくさと来た道を戻って行くのであった。


旅先Photo !

「今日も朝からヘアピン登坂」積雪で滑る。


 
その2週間後、MRは窮地に立たされていた。
 この二日目の後半、当日に突然落ちた愛機NikonAW100は、てっきりバッテリーアウトだと思って予備に交換して使用したのだが、
その後の撮影データがMac上でマウント不可という事態に苦慮していた。
 撮影データをwin機で一度落とし、これをメールで転送するという自分でも良く解らない荒技で一部の映像データは復旧出来たが、
電池交換以降の撮影データの殆どは壊われたか、展開不能であった。
 「これは・・・再録か?」
 だがしかし、11月はオリンピック峠などのイベント、年度末は仕事が絶好調に忙しく機会を逸していた。



空気圧は0.5ぐらい。
積雪5cm程のウッズセクションを何なく登る。
そして・・・
 
2018年新年、おとそ気分も覚める1月7日、MRは再録の為三度目の雄勝峠にその身を置いていた。
 
 補習日当日。 2

 
時計は9時を廻った所だった。 女川町の駅裏にある臨時庁舎の裏から日蕨(ひわらび)の林道に出る道は、3ヶ月前の帰りとまるで道が替わり、林道入口に向かうのに何度も町営集合住宅と真新しい分譲住宅の中を他のクルマと共にグルグル廻るハメに陥っていた。



「正月から一週間以内の通行量」ざっくり10台程度が入ってる。
(無論、往復5台という可能性もあるが
(笑w)。


前回公開したルートだから、
説明程度に画像を上げておきます。

 でもまあ明日も休みだし、正月にも係らず分譲地では大工さんらが慌ただしく仕事をしていて、その明るい風情に何故か安堵する自分が居た。
 9時半、女川駅裏の部落に起点のある
「林道日蕨小萩山線」を上り詰め、「民有林林道安野平線」との分岐である三叉路に辿り着いた。
 クルマを女川方向に回頭し、通行止め林道にお尻を向けて駐車する。
 例に因って「民有林林道安野
平線」は工事通行止めだが、雄勝峠の峠付近は工事をしている訳では無い。



いかにも正月晴れという感じの青空。
その身を捩るように空に向かう木々に生命の不可さ、潔さすら感じる……。


「馬の背がある!!!」京ヶ森馬の背というべきか。


さらに登って行く、この区間の
「最標高位置」へ……



これは警告看板のみで特段の通行規制を敷いている訳では無いと仮定する。
 接続する県道192号線が通行止めなので何処にも繋がらないという意味と思われる。バイクを降ろすと三叉路をさらに登って支線終点(と思われる五叉路)まで登る事とした。

 そして、当日反対側と言える西側から登った小萩山林道はスルーし、
例の杉林にトツゲキしていったのである。
 その五叉路には既に新年の初走り染めに訪れた一団の、あるいは個人の、
思い思いの足跡がくっきりと5〜6センチ積もった雪に刻まれていた。
  2種類のEDタイヤ、スプリントタイヤ、そして雪道定番の110ツーリスト(公道可能トライアルタイヤ)、何とトレールタイヤにビジネスタイヤまである。



多分ここが峠、というか山頂?。


京ヶ森から雄勝峠へ……

「カブで来たのかよ、オイ」
 まあ
確かにカブはオフバイクという認識はMRもある。
 何故なら、
純正でチェーンがあるバイクはカブだけなのだ。
 除雪用のホイールローダーだって雪道は全車輪チェーン装着がアタリマエ、
二輪車で唯一



「到達!!!」前方、民有林林道安野平線雄勝峠付近。



電波設備がある……。
 
"一般用にチェーン"(しかも前後に)ある。
カブはそれだけでオフ車と断言出来る!
 あとはここでUターンした軽虎だな?これは。バイクでも積んで来たか?
 登り口まで歩いて写真を撮る。
 積雪のある舗装林道と違い木立の中の幅30センチのケモノ道はほぼ乾燥していた。

 行ける!これならイケるぜっ!とばかりにGPSをセットしトツゲキした。
 写真の番号通りに進んで行くが(2)最初のヘアピンを皆さんの様に豪快にターン出来ない。
 事実上セロ発進で登る(3)までのターンはカントのついた登りスリバチ状の右コーナーだ、



安野平林道から県道192号線。
林道側
雄勝峠から県道側雄勝峠への連絡(短絡)林道?。


「眼下に県道192号線を見下ろす」


一応リボンも付いている。これがあると完抜というイメージがある。

 コーナー入口が急で比較的長い助走区間が有るにもかかわらず木の根と薄暗い林で足下は未だちゅる状態で125の僅かなパワーをゴッソリと削り取るが、前回と違ってエンストせずに曲がれた!直後に間伐の切り株に引っ掛かって停止する。
避けきれない。
 (4)(5)と何とか杉林Zコーナーをクリア。登り切ってしまえば後は稜線沿いのウッズセクションだ。
 積雪によって、先行者のコースレイアウトが大変判り易く、勿論一度走っている事も在ってサクサクと峠まで到達する。



残念?「ジャンプ台閉鎖!!」
こんな所で冬期オリンピックかよ?




県道192に合流。

「さて、ここからだ」
 取り敢えず安野平林道をピークまで登って廃林道へ左折、この辺からイメージの通りに足りない写真を撮って行く。
 驚いたのはジャンプ台に制限の木の根が打ち捨てられていたこと。
 
何事もオイタの過ぎない程度に愉しむのが長く走る秘訣だ。
  ジャンプ台を過ぎると間もなく県道192号線に接続。殆どのタイヤ痕は左折し、県道のピークである雄勝峠に向かっている。



県道192号の“雄勝峠”は奥だ。



雪の「ふるさと緑の道」残るは単車の轍と鹿と兎の足跡のみ。


「あんたら、どこへゆく?」

 MRは念為、例の公園まで下って行って写真だけ確保する。
4〜6台。いやいや戻ってる可能性も?積雪5~10センチはある。
 こんなAライクラスを追うだけ無駄なので引き返して大多数の人たち?と同じ方向へゆくが、重ねて林道まで戻って補強写真を撮っておく。
 再び安野平林道に舞い戻ると尾根ルートに戻らず、
ここで初めて先行者に習って林道を終点まで行ってみる事にした。



「もはや何も言うまい」




「再び安野平林道の、その終点へ」
ここからあとは下りのみ。


みるみる雪が溶けて行く。(爆w

 無名抜け道へ。 3

 安野平林道の終点付近には、
かつて来訪した時と同じ東屋が未だ残っていた。
 「おぉ、まだ残っていたか」
林道をそのまま下って行くと、その先で県道に合流する林道終点部を示すはぼ破壊されたゲートと、対照的に20数年前となんら変わらない峠の東屋が見えて来た。いやいや、流石に変わらなすぎるぞ?一回くらい、震災前に改修してそうな勢いだ。



「あっ!!この東屋は」その年の春、
かつての愛機KLX250BAJAはMRの身替わりに永遠となった。



どうしたらこうなる?


“腐ってやがる”早すぎたんだ

それは当時のままではないのかもしれないが、その時と同じ風景を僕に見せていた。
 そこは見るに他の来訪者にとっても良い休憩所なのか?沢山の足跡と専用の通路が出来上がっていた。
 その先に見える県道の合流点は、何だかやる気のない閉鎖が見て取れた。

 東屋の近くに在る看板はいつもの遊歩道を案内するものだが、既に看板は飛んで落ちていた。思うに県道閉鎖前に痛んでいたものだろう。
 ひとしきり撮影するとKLXに跨がり林道の終点に到達、県道192号線に再び合流する。
「あ、イヌだ」
どう見ても狩猟犬である。
 首につけているのはGPSかな?飼い主に打たれても困るので、取り合えず逃げるか?
と、
 向き直った目前には何だか目を見張る豪快に登る山道に一筋の轍と、その道を塞ぐかの倒木があるが、皆さん登っておられる。



「終点ゲートが見えた」どう見ても役目を放棄したようにしか見えないが。


ゲートの先に県道192線の先にヒルクライム」|県道が助走路になるな。




ここだな?登れるかな。
 
 助走路に当たる部分が県道の舗装路なので、KLX125でもいけそうか?
振り向くと嬉しそうに迫るショッカーさっきの猟犬!
「うおっ!ポチが来やがる」
 ひとしきりデルタが吠えると、あっさりとKLXは赤土の斜面を駆け上がり、倒木の根元に乗り上げたところでエンストして停まる。


v
「一気に登る」ポチ(仮称)が着いて来ちゃった。
どうしよう?



がっつりと前回の轍が!。
KLXは現在倒木の根で越えられずスタック中、間もなく脱出の予定。


「そして登坂成功」

ポチくんはまだ県道にいる。
「良い子だ、飼い主の元にお帰り」
 そう呟くとKLXのエンジンを掛け直し、左右に車体を振るとKLXは倒木を乗り越える。
 ふいに太ももに何かが触る気配を感じて
振り向くと既にポチはMRの足下に追い付いていた。



「直後に猛烈な下り!」


「今度は弛めに登る尾根筋の道」


「大平洋と雄勝半島をチラ見!!」


緩やかに昇り降りをくり返す。


現在位置を確認しつつ前進。


思いきり登ってる?
「フルスロットルだ!!!!」

「クゥン」吠えない、ちゃんと猟犬の飼育を受けている。
「何だお前、ご主人様はどうした?」
 周りを見回し、耳を澄ませてみるが熊鈴やクルマの音も無く、青空に吹き荒む風の音しか聞こえない。
 もしかしたら最初から迷子なのか?いやいやいや、
猟犬が自分の現在位置不明ってそんな漫画みたいな事あるのかよ?
「飼い主が風下に居るとイヌが見失うかもしれないなぁ」
 いかに猟犬とて飼い主のニオイにありつけなければ戻れないかも?
 でもまさかMRが飼い主を探しに戻る訳にもいかないので、このまま先を急ぐ事とした。
 最悪飼い主もこのポチの現在地はこの首に在る発振器で分かっていると考える事としたのだが……。
 
目前には相変わらず10数台分の轍がテを変え品を交え最速安全ルートを探しつつ道を造っている。
 地図上約4Km位の尾根筋縦断道の最も海寄り(東側)に当たるこのルートは上品山から女川に連なるコース全体の中間地点である水沼山から北側のルートにあり、ここを抜ければ水沼山に到達する区間だ。
「おお、雄勝の港かな?」
 緩やかな峠の先に手前の薮に遮られつつも東側に大平洋が見えて来る。
大平洋だ!。



「登り切ったぜ!!!!」
ポチ!アシストどーもな!




「また登り始めた…」
振り返って撮影。
 
 かなり急な昇り降りの在る尾根コースだが、路盤が凍っている事も幸いして本来なら腐葉土と泥濘区間が連続する区間なのに大変グリップが良い。
 雪も軽く5〜7センチ程度の積雪なのでアクセルを開けるとM63が雪の下の凍った路盤に食い付いて行く。
凍って無かったら尾根筋の急坂は登れないかも知れない
 
地元ライダーたちも心無しかワザと轍を分散させて路盤が荒れるのをセーブしようと言う感じが見て取れる。
「おおおっ!大丈夫か?」
 名も無いピークで下り始めた山道は、道幅を考慮しなければ胸のすく様な高速コーナーに見える
激烈な下り逆カントが待ち構えていた。
どうもここは
大きな谷の様だ。



「馬の背だよ!!!」うわぁ、延々登って行くよぉ。


「良く登れたなぁ…」
まあ、左右はかなり恐いけど、路盤は
安定してたからな。

 ラストに。 11

 
激烈な下り逆カントの先は馬の背状態で再び登りに転じていた、が……。
「な、長げぇ〜」
 
KLX125の最も不得意である長く険しい登りが続いていた。
 
森林が覆いかぶさって坂道のピークが見えないのが無気味に思えた。
 GPSに目を凝らすとどうやら2つの尾根筋峠(山頂?)越えの入口に居るようだ。目前の道は山頂に達するのだろうな?
 


「…イヤな予感しかしねぇ」
当然、下りが在るのは判るが、空が広すぎる…?。


正面、上品山か?

 踏み跡幅30センチ?と目測するまさにキールのようなゴツゴツとしたコブつきの細長い上り坂をハーフスロットルのまま登りあげる。
 先ほどの下りと違ってグリップが効きKLX125でも登り切る事が出来た。
 三角点こそないがこの区間の最標高位置だろう。道は緩やかに下りに転じて行く。
「来たコレ!!」
 
これが最後の難関だと良いなぁ、などと言ってる場合では無い程の角度の、いやもうこれは下るじゃなくて落ちると同義語だろう?と思う程の激烈な下りが満を持して待ち構えていた。
 5センチ程積もった雪に一条の轍が残る。それは既に洗掘と呼べる状態だ。
「電波塔が見えるな」

そして…

「降りれるか?俺!!!」
コレは…
フロントブレーキを不用意に掛けると前転する激坂だ。





「振り返って撮影」
水平?水平って、何だ?振り向かない事さ!
(出典;宇宙掲示ギャバン)。


 顔を上げると遠く、ほぼ正面に上品山。右の手前が水沼山だろうな。
 
やがて激坂はコースでも中々見られないような状況を呈して行く。道は途中から幾つかの枝別れを始める。
「本線無理」
 一目見て洗掘が滝のように段差の在る道なんて絶対前転する自信が在るぞ。しかもこの急角度で転がれば、まるで雪だるまのごとく谷底まで確実に逝けるぞ!
 とっさに比較的仰角が緩い左にハンドルを切る。写真を撮るにも足場すらない。自然とフロントが洗掘に落ちる。洗掘に沿ってスタンディングのまま目一杯リアに加重、一速でエンブレがっつり掛けてもモーレツな逆トルクは125ccの小さなピストンを高回転で回そうとする。勿論フロントブレーキは掛けられない。



「下り正面は下向き撮影」
バイクも入れようとすると
結構下向きになるカメラ。


「振り返って上向き撮影」
この激坂で跨がったまま後ろ向き
撮影はツライ。


「やっとバイクから降りて撮影」
ん〜?見た事ある風景だな。


「ここだぁ!!」
 意を決して写真を撮る為に
車止になりそうな石にハンドルを切って乗り上げ、やっと滑り落ちていたKLXが停車する。
 だが右足はペダルから放せない。
リアブレーキを掛けてカメラを持って風景を切り取って行く。

 ついでにバッグからポカリを取って、がぶ呑みする。
 一息付いたところでGPSで現在位置を確認すると思った通り2つ山の高い方が今通って来た所のようだ。
「行けるか?」
 
いや行くしか無いんだけどね、「もう戻れったって、俺のウデでは戻れないカモ(爆
 自虐が出たところで再び前進開始、とは言ってもその方法は限り無く消極的で、スタンディングしてハンドルをコジって当たっている岩から外すだけである。



「まだあるのかよ…(笑w


「5回目の登頂も無事達成」
勿論ケモノ道だけどさっきの激坂から見れば
十分登って下れる道だ。


「うおぉ!!!!」
なのにこの恐怖の加速感、後輪に加重が掛かる前に不安定なまま、たちまち落下加速するKLX。
 とっさにギアを一速に叩き込むのとまたしても轍に落ちるのはほぼ同時だったと思う。
 
轍に落ちた途端に減速が効くKLX、なんで?
 一瞬足下を見て直ぐに察しが付いた。多分、轍にタイヤが収まっていた方が接地面積が大きくトルクが発生しやすいのだろう?
 さっき決死で停車した瞬間とか、轍御外の路面はちゅるな上に平面なので、その割に接地面積が狭く、結果滑るのではないだろうか?
 それと履いているMX-71がハード系タイヤの為堅く、KLX125ごときの車重とトルクでは変型グリップしないからだろう。
 
そんなこんなで、どうにか激坂を無転倒でクリア!嬉しい限りだ。



多分、終わり(笑w


「間違い無い!ここは走った」この倒木、この道也に見覚えが在る。


「ああ、ここで写撮ったわ」勿論逆向きに。


水沼山の出入口。
無数の轍ばかりで、踏み跡は殆ど無い。
(Photo:2017.10.9)

 
 
やっとバイクを降りて写真撮影する?なんだろう?デジャブか?まだポチが居るぞ(笑w
「あれ?まだあんの?」
 
KLXに跨がり正面を見据えるとまた登りが残っているじゃないか?
今度はポチが先行して山道を登って行く、まさに「ケモノ道」だな?
道は差程キツい事も無く乗り越えると、確かに見た事が在る道だな。
「なんだ?水沼山に着いたんだ」
 そりゃ見た事あるよな?夏に秋にと通った所だよ、この区間。見覚えの在る倒木、ちょっとしたエンヂューロコ−スの様なアップダウンと続いてゆく、そして…。



(Photo:2017.7.19)


「おっしゃ!到達!!」

 当初の目的以上にこの区間を走破出来たのは、本当に幸運だった。
こうして、取り合えず雄勝峠〜水沼山間を無事通過出来たのだった。
 まさかここまで来れると思って無かったので、時間的にはここで折り返しとなる。
いや、これでいい。県道192号線か完全復旧する平成33年までの、僅かなひとときの夢のような「ケモノ道」
でね。
 さて、本日はここまで。トランポまで別ルートで戻り、また「ゆぽっぽ」で温泉に入って帰ろう。