そこは、
もう……。


やわらか
林道。



大丈夫だ
問題ない
多分ナ。




ご使用上の注意!
このデータは、あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。
走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて無断で補正しています。

また、掲載される内容は
大変危険です。
当サイト掲載内容によるいかなる被害も、
当方は保証致しません。



「やっぱり逝くんですね」
まあ、折角だから堪能して行きなされ、いいあんばいの道だから。



旧西部林道2014「おまけ&エピローグ」


 スピンオフ 12

 西部林道、旧道。
 その廃林道は福島県内で初めてブラックホールが観測された道である。林道にぽっかりと空いている事象が始めて確認されたこの林道は、これまで幾台ものバイクを飲み込んで来た人喰い林道である。
 行政の都合上なんとなく付け替えられた羽鳥スキー場にかわって抹消された林道は更新の遅いマップルに導かれた幾多のバイカーがその手厚い、厚すぎる洗礼を受け、やがて伝説となった。
 
その年2012年の、MR脳内福島県廃道オブザイヤーの上位3位までにランクインされた林道である。
 この栄えある(いや、廃れてるんだが)栄誉にノミネートされる最大の理由が、先に述べた
行政摺り替え路線とブラックホール路面に尽きるのである。



前回、穴だらけの路面がきれいに流されている。


 と、脅しておいて……
何げに、前回より通り易くなってしまっていた!のである。
 さて、今回は甲子/鎌房とダウンヒルの続きで突入した。
 MRは通算5度目、おぉじぃ氏は2回目、あづさ氏はお初である。


道の半分が「沢?」。



うわ〜洗掘&笹薮のコラボだよ、大丈夫か?


これは??。


 
おぉじぃ氏加入の「薮部」的に表現すれば「玄関」そして「扉」と厚い緑の扉を押し開いて行くと、わりとあっさり林道は登場した。
「あれれ、おかしいぞ?」
 つぶやくと同時位にその理由が閃いた。
 
これは路盤浸食が大規模に起こり、要は路盤表面がごっそりと流されてしまったのである。
 まるで赤土色のアスファルト舗装のような、綺麗な地肌が露出していた。
敷かれていた筈の砂利がひとかけらも無くなっている。ここも、周りの熊笹が背伸びしたのでは無い、
グランドラインが下がったのだ!
 その先で一時的に安定回復するものの、あっという間に昔ながらの洗掘路面が現れた。 洗掘こそ深いが中央は安定しており、十分通行ができた。


道幅は残り1m、両脇に洗掘。
その原因!

[HBH-3](羽鳥ブラックホール3号)

半分以上埋まってしまった!つまり泥沼!


「おお、ブラックホールが浅くなっている!」
 シュバルツシルト半径が割れる間もなく上流から流された大量の土砂が、縦横1,5m、深さ1,5mを埋めて、半分のざっと70センチにまで復帰していた。
 浅いバスタブはもはやブラックホールには見えないが、
ざっくりこれは深さ1mくらいのレンコン畑状態である。


清らかな沢のせせらぎが聞こえる。


[HBH-2](羽鳥ブラックホール2号)
横断する配管が破損し、BHどころか道そのものが流出。


見た目フツーだが、両岸は洗掘だ。


 間違っても踏み抜いたら"死"あるのみ!であろう。
 向かって右の道の半分をホールが占め、左脇も洗掘で掘られている。
ラインは一本だ。
 スタンディングオペレーションで慎重に残る中央のヤマの稜線に、丁寧にフロントタイヤを乗せて行く。
 再びの扉の先には完全に周りが流され、道路から浮き上がり始めた横断側溝が現れた。
 路肩に流れ出した大量の水と土砂は側溝前の道半分に出来たブラックホールを巨大なクレパスに変えていた。



横断側溝がダムのようだ!


今度は中央部が流されている!
ごっそり流されているので、見た目より走りやすいぞ。


「どうやら何処もこの調子のようだな」
 前にも解説したがこの旧道は現行の羽鳥スキー場駐車場の5mほど下にある。
 その為雨雪の水は窪地にそってこの旧道に流れ込んでくる。ゲリラ豪雨ともなれば直接林道に振り込む雨より流れ込んでくる雨水の方が遥かに多いに違いない。

というか、
ここ数年の集中豪雨で相当削られている気がする。
 かつてKonちゃんとのたうった(彼は戯れた程度だろう)笹薮のS字はすっかりグランドラインが下がり、何事なく通過した。


倒木。誰かが通過のために切った跡がある。



HBH-1の手前で沢は道路外へ!


[HBH-1](羽鳥ブラックホール1号)
事実上の終演/埋まってますね。



 脱出/エピローグ 13

 そして、初めてホールが確認された場所は横断側溝が崩壊寸前であったが、路肩から無事突破した。
足下には路肩に落ちるほどに大きく迂回したジムニーらしき轍が残る。

そして、

「キテるわぁ〜!」
 ここにもあの甲子林道で我々の前を走っていた110ツーリストのブロックパターンを確認する。
 ファーストホール痕を確認すると先は三たび路面全面流失の憂き目に遭うが、洗掘はさほどでもない。
 反対側のスキー場入り口からくればヘブンズゲートとなる倒木地点を潜れば、スキー場の水道施設横を抜けて何事なく元の西部林道に合流した。

「今回は楽でしたね」(お
「流されすぎて楽というのもどうかと思うが?」(M
「コレで、ラク・・・」(あ
「でもこれ以上は道が存続出来るようには見えないね」(M


「ヘブンズゲート」がある。
基本通りだな。



路面が復帰、安定する。



無事脱出!あとは県道に出るだけだ、終了。


「ですね」(お
「今年は福島県極悪林道ベスト3から脱落だな」(M

 かくして、3人は道の駅羽鳥に無事帰還、遅い昼食と歓談の後解散となった。
 MRは一人モトパンから着替え、KLX125を悪茶に積むと岐路に付こうと道の駅駐車場を出る刹那、2時間程前に甲子林道ですれ違ったグループが帰ってきた。
「はやっ!」(てゆーか、俺たち取材に時間掛け過ぎ?)
驚愕の事実とともに、羽鳥を後にするMRであった。


旧西部林道(廃道)区間総延長:約2Km(全線未舗装)

TouringMapple2005.3版に未掲載(正確には表記ミス)


調査日(14'/6/03)の状況:
 
一番まずいのは、2009年以降に通行止めのトラロープが、プレートと共に喪失してしまった事だろう。
 
その為に、ある意味入り放題であり、誰か管理者などが制止すべきルートとMRは考えている。
 永年この林道を見て来て、今回は比較的安定していたものの、放置プレイの状態は変わる訳でも無く、これはむしろ
「更なる崩潰への警鐘」と見るべきだろう。
 ジムニーのような車が通過した痕跡もあるが、単独行は自殺行為である。
 車と違って二輪車ならまだ道幅もあり通行は可能であるが、
それでも、懸命なライダーや読者様には、入口からUターンを強く、極めて強くお勧めする。
そこから先は、
魔道である。