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このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの
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走行距離は主にバイクで測定し、
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Pohto2018v

2023 秋の飛び石連弾ツーリング、その2
ふりだしに戻る。



 飛び石のプロローグは明治のかほり。 8

 そうして、めぐって来たのは11月23日だった。
 もう紅葉どころか、初冬の佇まいと言える時期となってしまったが、これは予定の行動である。この際紅葉は見れたらいいな程度の感じでメインは事前に情報のあった通行止めが解除となった降雪前の駒止周辺旧道と林道である。これも4年振りの通行止め解除である。
つーか、職業柄に秋は忙しくて休みなんか取れんのよ。
 そしてもう一つ、3年越し、いやかつて5人がかりで突破した旧々駒止峠(江戸・明治道)針入〜駒止峠から実に9年振りに、反対側の山口側の土場まで行く計画を立てたのだ、下見だけど。
 この日は久し振りにエヴリィにKLX125を積載、前日23日の夜に出発した。



晩秋の駒止峠をゆく!

 焦がれた大地へ、 9

 そんな訳で深夜零時に国道286号線は道の駅きらら286に到着し、そのまま車中泊とした。
 当初は旧道沿いの空地を予定してたが、夜に熊の襲撃を受けてもツマラナイのでフツーに道の駅とする。
「だってねえ、用足しに車の外に出たら襲われたじゃ、シャレになんねぇ」
 まあここで襲われない保証も無いんだけど、まだマシかなぁ?と、取り敢えず寝る。
寒いので恐る恐るエンジンをどうしよう?と耳を済ますと駐車車両のほぼ全8台がエンジン掛けっぱなしだった。
 なんか2台いるキャンピングカーもかけてるよ。
 翌朝、軽く朝食をパンとコーヒーで済ますと8時頃に予定の旧道に移動する。バイパスから駒止峠の看板のある旧道に入り、最初の三叉路は左の舗装の旧道へ。そしてかつてゲートがあった空地に行くが、誰か個人で伐採した木を置いて居たので諦め、更に登ってヘアピン手前の広い路肩に駐車、ここをトランポ地とする!。
 
KLXを降ろしハンドルにスコップを付ける。念の為装備だが、爆竹と共に対クマ用決戦兵器にも対応している(マジか?>俺。
 ていうかエンジン掛けてる限り
デルタ4のレース用エキゾーストが既に俺の周囲にバリアを形成しているハズだ!(笑。
 何の根拠もレスのままRSタイチのジャケットの袖を通しヘルメットや
iPad mini を装備し出発する。
 再びバイパスに向かって旧道を降りて、先程の三叉路を今度は曲がる。
 そこでバイクを降りて撮影とGPSをセット。背後から駒止トンネルに向かって猛烈に登る大型トラックのディーゼルエンジンの唸りが響いて来る。
「さて、行くか」


旅先Photo !

対猛熊用決戦兵器、装着
まあ、何も無いよりかはいい。



晩秋の駒止峠をゆく!
この道は現駒止トンネル掘削の際の土捨て場で造られた道らしい。

「旧道は直進!」という土手登りなんだがトツゲキ!!


 何気なくクラッチを繋いでMRはKLXを発進させた。
 舗装旧道から分岐して向かって左に雑木林の法面を、右に1m半ほど下がって田園があるこの林道の現在は、農道と山に入る道といったところだ。未舗装ダートの道幅は凡そ3mぐらい、冬とはいえ法面から雑草が大きくはみ出して、慶寅が丁度という位の幅にしか見えない。

 この道の時間軸を遡れば、
旧道の駒止峠がまだ現役の頃の昭和40年台に現在の駒止トンネルから掘り出された大量の土砂が大型ダンプで片側交互通行で運ばれていた道である。
 そのかつてのダンプ道は張り出した尾根先をゆっくりと右回りで迂回すべく、まずは手前で左に曲がり始める。右下の棚田も最後の1〜2枚は休耕田だ。流石は元ダンプ道で半世紀の時間にも破綻はない。
「ココだなぁ、多分」


「うりゃっ!」
うりゃうりゃうりゃうりゃぁぁあぁ!



「旧々明治道からバイパスを眺める」
かつてのダンプ道に削られて、でも上がると平場だ。そうは見えんがな(笑。


 その道が左に曲がる刹那、MRは背後の風景を何度も振り返りながらKLXを停車させた。
 
バイクを路上に置いたまま、ザクザクと路肩の法面に登ると、察しの通り段差の上は幅1m程の平場だ。
 林道の一段上から振り向いた風景は、
かつてヨッキれん氏の見た風景が初冬の風景に変わって今も変わらず残って居た。
「ここが旧旧駒止

実は手前の倒木周辺が沼(爆。
道幅が3m近く在るぜ。

峠の終点だな」
 足で登ってみると道の路肩に側溝を掘って居た様で大分埋まっているが少し窪んでいた。
 バイクで登る為にはその部分だけでも薮を刈っておく必要がある。背中のザックからノコギリを出して邪魔な枝や熊笹などをやりすぎない様に撤去してゆく。
高さ的にハンドルに干渉しない程度の仮払い、しかも斜めに登るラインだ。パワーの無い125にてライン取りは超重要である。
 改めて装備を戻し、ヘルメットを被って想定侵入位置にKLXをバックさせる。
「行けっ!」
 
気合い一発、無事明治道に登り上げる。上がった所でエンスト、足元の木の根にリアが引っ掛かって止まる。
 山側にゆっくりバイクを立掛けて降り、少し歩いて進んで振り返り、次の道筋を考える。
「フロントは超えたんだがな」




下から「第一ヘアピン」大八車が廻せる広さ。

 晩秋の惨劇。 10

 3mほど先に、踏み跡と水流れが一体となった横道が上の段から来ているが、その水が抜け辛いのか下の道は窪地があって倒木の成れの果てなんかもある。
 ここは7m程先のヘアピンに向かって地形也に直進する所で、雑木林の中は下草も枯れて見通しは悪く無い。でも足元はブッシュ残ってる感じで分かり難い。
ガタン!という音

気温マイナスなのにもう暑い。

共にバイクの方を振り返ると倒れてるぞ!KLX。
「えー、なんでぇ」
 
近づくと木の根から滑って落ちた様だ。林道に落ちた訳じゃないので下に廻ってハンドルとキャリアを掴むと、一気に持ち上げる。
 起こしても足場が悪く乗れないので1mほど前に押してエンジンを掛けて安定して乗れる所まで一速押しで前に出る。先程の窪地を避けて進みスタンドを立て、改めてバイクに跨る。
なんかもう暑い、汗だくだ。
 ヘルメットを脱いで跨ったまま休む。緩やかに吹く初冬の空気が心地よい。
「まだ一番下のヘアピンに辿り着く迄にコレかよ」
 ノーヘルで乗ったまま一速に入れて3m程前に出て停車、呼吸を整えバイクを降りるとヘアピンの奥に歩いて振り返る。



「ゆるくコンパクトな路地」

「第二コーナー」道の真ん中に立派な立ち木がいい感じ。


 
広いなぁ、下の段は道幅3mぐらいあるぞ。撮影しながら感動する。ここは車道ではないが、激荒れだけどちゃんと残ってるのは凄い。
 ヘルメットを被り発車、このヘアピンはこの後難なく走って登れ次のターンに。
 お次はさっきの横道の上、盛大に路肩流失してる。
 歩きの人はヘアピンまで行かずここをショートカットして、更に上の段に登る様だ。更に雨水は上の段とこの段の残り上のヘアピンまでの雨水もここでまとめて流水してる様で、約1mほど路肩からVの字にほぼ路盤がない。
「へりの10センチを行くか」イヤイヤ、行けんのかよ?
その為には法面にフロントタイヤを上げていくしか無い。
ヨシ!このラインだ、ゴー!


「三段目を行く」僅かな面積で一気に標高を上げる


ガガーン!
 フロントはほぼいいセンだがそれでもリア落ちした。さながら枯れ沢を登るサカナの様に最悪の状態でタテに打ち上げられた。
「あいたたた…」縁にフロントを押し付けた反動で、MRはリアの足元に倒れ込んでいた。
「どうすんだよコレ」
 
立ち上がる、特に痛い所はない。
リアタイヤは枯れ沢の一番深い所を超えてるので、このままゆっくりフロントを法面から降ろすと上手く道


「山の輪郭に沿って進む」

路に復帰出来そうだ。
 段差は20センチ無いがバイクを立てるとリアタイヤは宙に浮く感じ、フロント持ち上げるとバイクがまた落ちそうなので周りから大きな石とか倒木とか持ってきてリアタイヤに噛ます。  ヨシ、土手からゆっくりハンドルを浮かせて……
何故かそのまま反対側に倒すオレ。足の踏ん張りが足りなかった様だ。幸い自分の体は谷に入る形で難なく出られるが、燃料タンクの給油口からガソリンが漏れてる。 流石に足場が悪くて持ち上がらないぃイィ。
 車体と谷の間に自分の右足を入れ膝で重さを支え、手を持ち返して一気にひっくり返す。
「オラァ!」垂直に起こせた所で寸止めし、車体を支えながら後方に移動し足場を固めてリアタイヤを推し上げる。
「上がったァ!」KLXは再び明治道の路盤に倒れながらも復帰する。



「明治道三段返し」林道入れると4段だよ。

「この辺ちょっと平場がない」踏み跡が少しあるがリボンはない。


 まあ、上がっちまえばコッチのもんよ、そこから起こすのは造作もない。このバイクに生傷が絶えない理由はコレである。
 改めてバイクを起こしスタンドを掛けて、再びヘルメット脱いで涼む。猛烈な湯気でメガネが曇るのを尻目にカメラを取り出すと現場の写真を撮影する。
 振り返ってハタと気が付き、更に一段上のヘアピン段に登ると、かつて日本の廃道で見た小さく畝る明治道が一望する場面がそこにあった。
「ううむ、感無量だぜ」

「髑髏のマーク!」(笑
 
見方のよってあちこちにマークがある?。

イヤイヤ、まだその段にKLX上げて
ませんよ、オッチャン。やる事やってからひたりましょう。
 気を取り直して三度バイクに跨り、もうずぶ濡れのヘルメットを被りたく無いけど被り、前進開始(笑。
 明治道でよく見かける踏み締められた幅1m位の道の真ん中に樹木がランダムに立つ味わい深いヘアピンをルートを模索しながら進むと直ぐに先程の横道の一番上に辿り着いた。
 路盤が欠損してるので猛烈に時間が掛かってしまっているが、道としては馬車や早馬が通る前提の緩やかな勾配の道なのだ。非力なKLX125に明治道がよく合うのはその小柄な車体構造と軽量ゆえである。森林鉄道なんかも守備範囲なのも同じ理由だ。
 計3段のヘアピンを超えると道は地形に沿って緩やかに左カーブとなる。下の林道の半分の半径で回る感じで、たまに細い倒木があるだけの、明らかに踏み跡の道が続く。



「これはダンプ道の入口跡かな?」このダンプ道は沢を挟んで
左右に跡が在り、当時はここから一方通行のループだったのかも知れない。
沢を渡る橋などがかつて在ったかも知れないが。



Pohto2018
作業道と明治道の合流点から直下の林道を俯瞰する。



 思わぬ撤退。 11

 小さな尾根を半周すると、下の林道と沢が高さを稼いで来て上の明治道に急速に追い上げてきていたが、ここで林道が分岐する。
 一本は対岸に暗橋で渡る本線?で2018年に探査済みだ。この道は沢の支流に沿って進み、休耕田の先で終了するが、実は休耕田の奥に本流に沿った平場が存在する。
 もう一本は橋の袂から、またはその手前からこの明治道に合流して来るルートで今真下に見える部分がそうだ。

 一見このなだらかな雑木林を思わせる場所が昭和40年代にトンネル工事の残土を満載したダンプが登坂していたのである。
なかなかに胸熱だな、この明治道。
 だがダンプ道が合流した辺りからその道は不鮮明で、藪が濃いダンプ道合流点を避けて山際の恐らく後年に作られた伐採道らしき窪地に逃げると、明治というより江戸末期の街道の様な杉並木が畝る道とともに両側に並んで続いていた。
「おおっ素晴らしい!」



 
 うわぁ「ほぼ廃道か!?」


「ここで泥濘トラップかよォ!!」

 水が流れる底が若干緩い路盤の古道を、KLX125は2速ギアでゆるり登ってゆく。
 恐らくは林道に雨水が流れ込むのを防ぐ為だろうが、まるで小さな堤の様な土盛の先は平場になっていて今来た古道もそこに繋がっていた。広場の途中に小さな沢が、いやいや湧水の様な流れがある程度だ。
雪解けで幾らか湿った感じだが問題なく行けそうだ。
ズボアァァ!
マジか?


「ふ、深い!!」
「オワタァ〜!!!!」
そこは平場ではなく全てが泥濘の、まさに泥沼だったのだ、


「KLX125、また大地に起つ」
これが自立するバイクか(笑。
ガーン!
 バイクから降りる左足がズブズブと飲み込まれてゆく、ルーデウスどうしてくれる?
 すぐに右足をテコに左足を引き抜く。右足は石を噛んでいて、これは沈まないようだ。
 スックと勃ったKLX125だがフロントは車軸近くまで埋没してる。
25センチぐらいか?リアはチェーンにかかる所なので15センチぐらい。
 写真を撮るにも足元を注意しながら沼の淵をゆく。一回りして沈まないルートに目星が付くと、おもむろにバイクを泥沼から引っ張りあげる。
なんかもう汗だくだよ。
 墨の香りがKLXから漂う。これは萬世大路新井沢ルートでも嗅いだ「濃密で醸成された泥の香り」(冬季限定)だ。つまりこの泥沼は何年もかけて形成されていて昨年の豪雨云々というレベルではない。



林道開削碑に到達、ここにも新しい看板が。


Pohto2018 探査写真より。


Pohto2018
「下から見るダンプ道と明治道」
の合流点。


Pohto2018
「こちらは下のダンプ道」
沢を渡って対岸に向かう?。上の平場はかつての田圃だ。


Pohto2018
下のオレンジ線が現国道289駒止バイパスと
トンネル
スタート先の実線は旧289駒止峠。赤矢印の先の点競が明治期の旧旧駒止街道。


 明治道に沿って流れ出た山のエキスを昭和のダンプ道がダムとなって溜め込んだ沼なのだ。
 そんな沼の山側、小さな水源近くが比較的浅くバイクでの突破が可能と踏んで早速突撃、突破して再び明治道に戻る。合流したダンプ道は泥沼の先は植林されて細くなり、今道と思わしきところはやや窪地となるここだけだ。
 今でも水路替わりに水が流れる。目の前は植林の幽玄な杉林が蛇行する沢に沿って続いている。
 KLX125をその入り口に上手く辿り着かせる。雨水こそ流れるが道床は硬くスタンドが立つ。
 バイクの自立を確認して、その先を見上げる。進路上にかなりデカい倒木が見える、あれKLX抜けれるかな?
一旦歩いて先を見てきた方がいいかも知れない。KLXのフロントのハンドルポーチからGPS記録中のiPadminiを取り出し記録を確認する。
「何っ!」



Pohto2018
「この俺、金色の」いやいや、どっかのオババ様じゃねえから。


Pohto2018
「沢END!!」完全に同化しとる、ここも点線の支線。




「さあ、戻ろうか」青空と紅葉のコントラストが素晴らしい。


 
例の地点まで約1km前後、仮にバイクを置いて徒歩でも時間かからないかな?いやいやそうじゃない__そうじゃない__違うよぉ〜!
 
残バッテリーが30%切ってやがる。何故に?
 車の電源から切り離したのは8時半ごろで、今は11時半になる所、流石に3時間で7割落ちは電費が悪すぎる。ちな、実は100%充電じゃなかったのか?
「しかも11時かよ…」ちょっと計画が甘過ぎたか?
 このままでGPSに記録を残せないのは辛い、今回は写真もPad頼みなので益々辛い。
「撤退しよう」 単独だから無理はしない。来年時間が作れれば再チャレンジすればいいのだ。
 先に倒壊している大木を目に焼き付け、俺は踵を返した。ああ、また泥沼のルーデウスを抜けなくてはならない。




「ダート区間終了の詔」バイクの向きが逆だが、
カメラ側が喜三郎小屋のある三叉路。





 
次回予告。

「駒止峠から林道へ」
 この時期の大窪林道は久し振りだ。ところが峠には、あの白い悪魔がいるのだった。



あれ?いつの間に三部昨に。
           
つづく