ご使用上の注意!

このデータは、
あくまでおいらの走ったルートの
覚え書きです。

走行距離は主にバイクで測定し、
旺文社発行のツーリングマップルにて
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2021林道罹災証明書 01-2
「奥山林道」裏鳥海山にて
ふりだしに戻る。




川も林道も狭まって、いよいよ後半戦!。


 忘却の轍 2/その先にあるモノとは? 5

 先ずは奥山林道の生死確認だ。
 
森を抜けると川幅が一気に半分くらいになっていた。
 広い河川敷はもう消失し、鳥海山の岩塊を身を捻らせて躱してゆく。
 それに合わせて林道もダイナミックな景色を提供して来る。


旅先Photo !

再び日向川の右岸を併走して登る。


また橋を渡って左岸へ。


上の林道から濁流が流れ込んでいたな
それ以外は綺麗な橋だ。奥に車が停まってる。


「銘板はあれどその名は無し」。
昭和40〜50年代のPCコンクリート橋なのだが。



 そして銘板がのっぺらぼうの古いコンクリート橋を渡る下は、川幅が半分以下になった日向川だ。今まで進行方向左側の川はここで右側に変わる。
 すると今度は森林組合か県の観光課辺りが建てたであろう
丸太組みの大型看板がある三叉路が現れる。

 黒いワゴンRは釣り人か?車内は無人だが天井設置のロッドホルダーらしきものをチラ見する。
 
ここは右折して川をまた渡る。
 
橋の仕様がほぼ同じなので林道開削時に同時竣工した橋と推測する。さらに800m程で大きなT字路にブチ当たる。



「森林を守り育てる治山事業」
“林野庁東北森林管理局”名義の大形看板が建つ方が本線。


濁流に流され来た砂利が、ここに
溜まってる。
凄い量だよ。


コンクリート舗装だ
恐らく一度路盤崩落して補習したのだろう。


 
気象庁の自動降雨観測所があるT字路で、本線は直進、右折は支線らしい。
 直進方向に例の通行止めと携帯ピクトの立て札がある。この辺あたりから、フカフカの砂利が敷かれて少々走り辛くなってゆく。

 地図を見ると今の端は支流の小黒瀬川を渡る橋のようだ。
 直進はそのまま小黒瀬川と共に遡上するようだが、地図に道は記名が無かった。
 
S字に進むと再び道路右手に日向川の主源流の一つである「女郎沢川」が現れる。 
 しかし今度は鬱蒼と茂る雑草に大きく視界を遮られ沢は見えない。道幅がグッと狭まり、いよいよ感が湧いてくる。突然、路面が平滑になる。
「コンクリート舗装だよ」
 
絶対に通行確保する行政の力を感じるコンクリート、ええと?なにか重要施設とありましたっけ?
 
だがそれは思い出す暇もなくMRの前に現れた。



「気象観測所がある…」ここにも携帯ピクトが建ってる。

「…T字路」女郎沢川を渡って別な枝林道が在る。
起点の立て看板に書いてあった「黒瀬支線」か?。


現在地確認。支流の黒瀬川に沿って
画面下(南東)に向かう林道だな。
 
 「水源設備か!
やべ、全然覚えてねーで」

 町営、八幡町の取水施設、これは恐らく水道水の水源と浄水施設だ。
 箱庭のような芝生の広場に管理棟と浄水施設の低いコンクリート施設が連なってタグの付いた水道配管で結ばれている。
そしてここから、道が激変した。
 
 マジでタイヤの溝が
 無いのは……!。
6

 
明らかに、火を見るより明らかに通行を前提に整備していない。完全放置だ。



「水源設備か!!!」うわ、全然覚えてねーや

盛大に蝕まれてるな。


洗掘は続くよ何処までも。
何処までだよ?


「誰か逝ってる!」て?。

 緩やかで僅かに登る右コーナーは浄水場をゆっくりとフェンス越しに見渡しながら、しかし浄水場の敷地が終わるな否や、見応えある深さの沢のような洗掘が視界の限り前方に連なっていた。
「こ、これは
・・マジか?」

 
油断していた、
いやいつも結構何とかなるさとタカを括って失敗するのだが、今回はマジやばくね?。
 ここ数年あちこちで見ている
路盤崩壊の前兆である「林道沢化現象」だ。甲子林道の羽鳥側と言えばピンと来る人もいるのでは無いだろうか。
 
道幅全体が川のように均一に流され、下の岩盤が露出するというアレである。

 浄水場から北側はワンスパンの長さが300mはあろうかという大ヘアピンの連チャンという経線なのだが、
この先ざっくり1Kmぐらい洗掘付き林道沢化現象の可能性は否定できない。
 
上り始めると、案の定突然のスリップが続発する。空気圧をちょっとだけ下げ、キックアップやスリップダウンに伴うジョルダーカットやパンクに怯えながらゆっくり登ってゆく。



「橋が無傷だ!!」先行者が戻ったか抜けたか気になる所だ。


道幅1m?
まだ少し荒れが残っているが、道はあるな。

「マテマテ!
河原の凹凸キツすぎて勢い付けなきゃ登らねぇ!」

 この時点に於いて既に
撤退の二文字が三次元境界点を突破した先に跳躍してしまった事すら気づかない程に、もう登る事しか考えられないMRの姿がそこのあった。
 立て看板の距離と浄水場の距離から、通行不能と言われる地点まで2Kmを切っていると思われる。
 
ここまで来たら、もう被災確認するっきゃねえ!



「キタ?」洗掘が 路肩に消える 廃道かな。



ヘアピンをインベタの更に
インベタ
で流れ行く濁流。



「すげぇハンドル
バンバン持ってかれる!

「キタコレ、
全面沢化現象!!」



 
タイヤなんてどうにかなるさ!(イヤイヤ、何かあったら終わりだから<俺
 先に行くに従ってバリケードがあるパターンか?とにかく入れるなら行ってみよう。
 
 エンドロール 7

 大きな水溜まりには、諸先輩方のトレッドが4本残されていたが、2台で来て戻ったのか?あるいは4人通過したのかは判らない。
 しかしMRのように辛抱堪らず奥山林道の生死を確認しに来たのは間違い無いだろう。

 そして三度始まる上り坂、連チャンヘアピンの最後のスパンだ。
 相変わらず無茶苦茶荒れてるが、全面沢化はかろうじて免れているだけという感じが続く。
 森の無い明かりと区間ではバイク乗った俺の背丈をゆうに超える亜熱帯植物のような奴が林道上に乗り掛かって光合成の為に巨大な葉を広げている。
ええい邪魔だ!
「3年もこのままとは、道路利用が見込めず予算が獲得できないのか?」いや実際多いのだ!そういう事例は。

 変な虫が付かないで、と思いながら次々と襲い掛かる枝や葉を避けつつ、足元のゴロ石を躱して登り上げる!
「ええ?もしかして県境まで行く?」
と思った瞬間、
その壊滅的な情景が目に飛び込んでいた。
 


「夏の裏鳥海山」東北の夏、東北の林道を垣間見る。

「少し大人しくなった?」でも洗掘は続く。



「路盤が半分流失してる」
この先に何かあったな?。

 道は暗渠排水の形を取って、普段は大した水量のない(実際地図に連続した窪みは表示されているが川のマークは無い)沢が大きすぎるくらいだろうと思われる約1m程の蛇腹管で堤防の形をとった奥山林道の下を貫通する形であったがその部分の大半が完全に喪失していた。

 その長さはざっと10m、深さも一番高い所で8mはあるだろうか?。
 
頑張った証の様に細く長く残った谷側の基礎コンクリートが虚しく立ち尽くしている。



「んん!?」

「終了〜〜」しかも何年も放置プレイっぽいぞ。


「物凄い圧力だったんだろうな、一瞬に持って行かれたか?」
 ひと目見て「通行不能」が宣告されるその情景。
 
日向川の源流である女郎沢川に流れ込む小さな沢に何が起こったのか?いわゆる鉄砲水、土石流であった。下流に流され朽ちている内径1mはあろうかという蛇腹管が、鉄砲というより散弾銃じゃないか?と思える夥しい大小の木材片が道路のコンクリート破片と共に眼下にブチ撒かれていた。あの台風19号では、この様な風景をよく見かけたのだが・・・。



「すげえぇ」岩盤というか、すげえ石の山なんだ。

現在位置。ここが終着点。


ここからは鳥海山もみえない。「引き上げるか」
 
納得もクソもなく、突き付けられた現実を飲み込むしかない。諸先輩は2名の折り返しだった、もはや誰も通過できない、
それが全てである。


 営林所でこの道路を治す予算措置も無いまま奥山林道は終わってしまうかも知れない。
それでもMRにとっては、何度も走った思い出の林道である。





 
2021
林道罹災証明書 01
「奥山林道」

 

区間延長:約11.6Km
 (全線ほぼ未舗装/起点〜被災地点まで)

02につづく