温泉ツーリングスポット






日中温泉 ゆもとや
露天風呂

(福島県)



復活の露天風呂へ




●思い出のない「思い出の温泉」

 日中温泉といえば思い出すのは、朧げながら国鉄日中線だろう。
 年老いた母が言うには、父が当時の母方の祖母を連れて正月の温泉旅行に連れ出したのだが、その経緯は判らない。私が最も幼少の記憶として
広い雪原の中、真っ黒な列車に乗った事(多分に蒸気機関車、検索ではC11又はC12と出る)、それが怖かった事、ポータブルレコードプレーヤーを買って貰い、ソノシートの「黒猫のタンゴ」を初めて聞いた感動しか覚えていない。
 駅からタクシーで山奥の温泉に行った覚えがあるが、時間距離感が無い。
 とにかく辺りが真っ白で自分の背の高さ(多分幼稚園前?)より雪があった事、豪雪で驚いた気がする。

 
日中温泉ゆもとや旅館も、かつては喜多方の北の一番奥に鎮座したまさに奥座敷であった。
 開湯は江戸末期の文化3年(1813)、峠伝いに地下栂鉱物資源の開発に際して発見されたと言われる。
 しかし
昭和47年(1972)に日中ダムの建設が始まると日中温泉は閉業を強いられる事態となる。
 だがご主人の温泉に対する情熱が新たな源泉の発見につながり、完成したダムが運用開始した翌年となる平成5年(1993)に現在の場所で再オープンする事となった。
(因みに入浴は2019年秋で、勿論中コロ禍は無い)

 
その場所たるや、ダム好きが泣いて喜ぶ高さ101mのロックフェルダムの真下に位置し、県道から旅館に向かう一直線の道の奥に、壁のように立ちはだかっていたのだ。



日中ダム全景。
そこじゃない、ゆもとやに向かう直線と看板。


日中温泉「ゆもとや」本館正面。


玄関から一直線に大浴場。

 
 フロントで可愛い着物姿のおかみさん(?)に
入浴料800円を払い、正面フロアをまっすぐに旅館の奥へ進むと、客室に向かう十字路の先に温泉ののれんを黙視する。
 喜多方近在の日帰り温泉が350円ぐらいの値段なんで、
今日は豪華な風呂だねぇと思いつつ暖簾を潜る。

 何の変哲も無い四角い脱衣所だが必要にして十分な広さと、洗面台やトイレなどの設備がある、ただ鍵付きのロッカーはないので貴重品は最初にフロントに預けた方が良さそうだ。


脱衣所は普通、流石に綺麗。
南側に脱衣篭、コインロッカーなどは無い。


「かわいそうな高倉の湯」解説無しかよ(獏。


 
 
誰もいない貸切状態だな、よしよし。
 脱衣所の浴室入口側の壁には各浴槽の効能を書いた板が吊り下がっている。
3枚の板は
内湯で「栂峰(つがみね)の湯」露天の「高倉の湯」と「飯森の湯」の説明だが、何故か「高倉の湯」に解説なく、ただ写真が貼ってあるだけだ、何じゃこりゃ?。
 服を脱ぎ終わるまでにこの難問は解けないので、とりあえず浴室に進もう。


窓ガラスを挟んで外に大きな露天風呂がああぁああ。


「内風呂は加熱循環」ほぼ無色透明。


「内風呂も悪く無い」完全に貸し切り状態、最高だね。


 先ほどの解説にある通り内湯「栂峰(つがみね)の湯」は脱衣所とほぼ同じ幅で繋がる。
 
汲み上げた温泉を加熱し一定時間循環濾過した温泉である。

 手桶にお湯を汲んで体を洗い内湯に入る。ほぼ無色透明のお湯にわずかに湯の花が混じるお湯はさっぱりとした入り心地で、沸かしているので露天より少し温度が高い。
 
源泉湯温が42℃という事だから温泉井戸が遠いのだろうか?冷めてしまうので加熱?
 換気してるが基本密閉空間なので余計にそう感じるかもしれない。
 シャワーは南の壁側に6台付いていて、シャンプーも完備している。
 軽く体と頭を洗って
誰もいない露天風呂に引き戸を開けて進む。

 まとわりつく霧雨が火照った体を急速に冷まして気持ちがいい。内風呂と違って”いかにも鉱泉らしい茶褐色”のお湯で軽く足を洗って”源泉掛け流し”を標榜する「飯森の湯」船に浸かる。あ、鉄のかほりがするね。


6セットのシャワーが並ぶ、ここも綺麗。
流石に旅館は管理が行き届いている。


鉱泉をろ過すると、これほど透明に成るんだ?
と感心するが、
効能は?


「ロックフィルをバックに露天?!」
正面が飯森の湯、左が高倉の湯。良く手入れされた庭園が綺麗だ。


「適度にぬるい、だれかビール!
鉱泉は体に纏わり付くような濃密さがある。この茶褐色がいかにも効きそう。


「温い・・・・」
 外だと確実に40℃を切ってるな?38℃くらいか。
 無言のまましばらく肩までお湯に浸かると、やっと落ち着いた気がする。
 そう、温度差で一瞬肌寒く感じてしまうが、温くとも熱量はあるので暫く浸かると暖かい程である。
 夏は勿論、脳溢血を恐れずに一杯引っ掛けながら入るには
最高のぬる湯なのだ。
 しかも旅館らしい檜桶のまあるい湯船と相撲場の屋根を思わせる丸く太い柱で支えられた屋根がに周りの木々がいい味を醸し出している。
まさに
独占!豪華露天風呂。
 風呂桶の端にもたれて、漫然と霧雨に濡れて揺れる色づいた紅葉が、実に色っぽい。
うおお、ノンアル持ち込むんだった!(多分禁止)

 今度は隣の高倉の湯に入る。
「あったけぇ・・・」
 解説に説明もなく写真のみという高倉の湯は、要は加熱した源泉である。


流石、源泉掛け流し!!


電気で表現する「ランプの湯」
いつか泊まってみたいな。



「隣は割と熱い」そして始まる露天循環……。


「山のいで湯守って」
ぜひ現場で御愛読?下さい、温泉愛を感じられますよ……。


 当然お湯は薄茶色の源泉色で味わい深く、肌寒い外に居ても内風呂と同じ温度を感じるので、実際はやや高めに沸かしているのは想像にかたく無い。
 高倉の湯の壁にはオーナーのお客への思いが綴られて、一時廃業からの復活はお客様の応援の賜物である事。
 再び温泉旅館を再開できた喜びなどが書かれていた。
 こうして実に1時間程、
二つの露天をまさに「循環風呂」して、飽きる事なく楽しんでいたが、新たな入浴客が登場したので頃合いを見て引き上げる事とした。

 まあ欲を言えば、かつてダムに沈んだ小檜沢沿いの旧館のようにせせらぎを眺めながら、というのも良いが、高倉の湯に貼り出されたオーナーの感謝の念を読むと、昔以上に
温泉宿の情熱という熱を露天風呂の形で堪能できるのは素晴らしい事なのでは無いかと思いつつ、長風呂の日中温泉を後にした。


効能が良すぎて虫も集まる。


はうぅ。好い温泉だよ。



「四季の移ろいを眺めて」ここも独占状態、最高ス。


日中温泉 ゆもとや(旅館)「内風呂/露天風呂」
 
日帰り入浴/時間帯:11:00〜14:30
 入浴料      :大人800円 子供400円。
温泉成分
●泉質:ナトリム・カルシウム_塩化物・炭酸水素塩泉
    (露天は源泉掛け流し及び加熱、内湯は循環ろ過方式)
 


●源泉温度:42.3℃*ph6.6
●適応症:神経痛、筋肉痛、関節痛、
     五十肩、運動麻痺、
     関節のこわばり、うちみ、
     くじき、慢性消化器病、
     痔疾、冷え性、病後回復期
     疲労回復、健康増進、
     きりきず、やけど、
     慢性皮膚病、慢性婦人病、
     虚弱児童

●日本秘湯を守る会 会員宿
●ホームページ
 http://www.aizu-yumotoya.com



帰りたく無い、ビール下さい。



次の温泉へジャイアン剛田!。